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1つ 望み、紡がれた物語
この物語の序章である始まりは名前で遊ばれた頃だ。
そう言われ、噺は始まった。
私が小学生に入る前の話だ。私は名前から便所と呼ばれていた。
子供である私にとってその一言は重く、辛いものだった。
今でも鮮明にその時を思い出すことができるよ。
その時かな、心を誰にも見せないよう隠し始めたのは。
正直、辛いの一言で済ませられているのはこの後が…いや、後で話すことにしよう。なぜそう呼ばれるのかもわからず、逃げ出しそうになったさ。
でも、楽しかったこともあっただけ良かったのかなとも思っているよ。
だからかな、名前を覚えていないやつがある程度いるんだ。
今こんな話をしたところで過去が変わらないのはわかる。でも、話させてほしかったんだ。
これで初めの話は終わりさ、キミは怖くないのか?
怖いのなら語るのはやめよう。でも続きを聞きたいと言うなら続けるよ。さぁどうする?更に辛い話になるのはわかるだろう?
『引き返すと言うなら今が最期のチャンスだ』
この話は始まりの始まりに過ぎない。
プロローグだけであと2つは語らなければいけないな。