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スキルを覚えよう

 メニューの確認が終わった銀次は、しばらくメニューの出し方の確認と練習をする。

 うまく意識することで、メニューのみ、ログのみの表示ができること、メニュー内の項目を直接開くことができること、ウィンドウの透明度の変更ができることが分かったので、なんとなく使いやすいようにしておく。

 いまは洞窟内で暗闇の中にいるので、もし明るいところに出ることがあれば、また見直さないといけないだろう。


 捌いたマイティラットの肉を全てストレージに収納していく。

 その際に、前に見かけた茶色の石がそれぞれのマイティラットの死体にあった事に気付き、ストレージに入れてみる。

 ストレージの中身を確認すると、魔石というものらしい。


 マイティラットの魔石:

  魔物マイティラットの体内にあった魔石。

  蓄積魔力は微小で品質も悪い。


 腑分けした内臓の中から取り出すのは、少々気が進まないが、後で使うかもしれないので、探してストレージに入れておく。


 捌いたマイティラットの肉を少し食べて休憩しながら、今後どうするべきか考え始める。


 まずは、洞窟から出られるかどうか確認するべきだろう。

 そして、レベルがある以上は、これを上げておいた方が生存確率も上がるだろう。


 今のところは、ネズミしか見かけないが、もっと強力な生物に襲われる可能性もある。

 戦うにしろ逃げるにしろ、レベルを上げておくに越したことはないだろうし。

 レベル上げのついでに、食料も確保しておきたいが、これは狩った相手次第だろうか。

 食べられるかどうかの判断は、その都度だろう。

 むしろ、竜なのだからたいていのものは食べても大丈夫なのではないか。


 食事休憩も終わりにして、銀次は探索を続けることにした。



 ◇ ◇ ◇



 洞窟の中ではもっと迷うかと思ったのだから、順調に探索は進んでいる。

 分かれ道があまりない一本道が多いのと、マップが見れたからだ。

 メニューがあるならマップもあるのでは、と思った銀次が念じると期待通りにマップが表示された。

 通った場所しか分からないが、逆に言えば通りさえすれば勝手にマップに記録されていく。


 それなりに登ったり下ったりしているが、今のところは1枚のマップに収まっているようだ。

 また、大きなマップだけでなく、周囲だけの簡易マップを視界の隅に置いておくこともできた。

 本当にゲームのようだな、と他人事(ひとごと)のように考えながら銀次は進んでいく。

 たまにネズミと遭遇し、肉と魔石を手に入れながら。



 ◇ ◇ ◇



 ネズミ以外の生物にも遭遇した。

 茶色でマイティラットより少し大きいくらいのトカゲである。

 強さはマイティラットと変わりないようで、同じように倒すことができた。


 捌いてみると、体の割に食べられる部位は少ないのだが、味はネズミより少し良かった。

 魔石も小さな茶色だ。

 トカゲの名前は、レッサーランドリザードと言うらしい。

 レッサーと付いているということは、より強い個体もいそうだ。


 トカゲはネズミより個体が少ないようで、遭遇率も低く群れも小さいようだ。

 そんな中に、1匹だけ黄色いトカゲがいた。

 味見とばかりに、屠る前に思い切り噛み付いて食べてみる。


(あばばばば)


 トカゲは麻痺毒を持っていたようで、痺れて動けなくなる。

 黄色いトカゲは瀕死なので動けないが、まだ攻撃を受けていない茶色のレッサーランドリザードと、どこから湧いて出てきたのかマイティラットが、こちらが動けないのをいいことに、好き勝手に齧り付いたり体当たりをしてくる。

 こちらの防御が高いせいか、特に痛みもなくダメージを受けている感触もないが、こたらが動けない間に集団暴行を受ける気分がいいはずはない。

 少し麻痺が取れてきて、そろそろ動けそうと感じてきたところに、瀕死の黄色いトカゲがペッとなにか液体を吐きかけてくる。

 麻痺がまだ完全に治っておらず、思うように動けないの銀次は、思い切り顔に液体をかけられる。

 すると、治りかけていた麻痺が、再びひどい状態になり動けなくなる。


(麻痺でハメて一方的に攻撃とかエゲツないな)


 高い防御のおかけで、ほとんどダメージはないが、全くない訳ではない。

 たまに鱗に傷がついたりしている。

 生命力自動回復のおかげで、直ぐに傷は癒えるのでやはりなんともないが、自動回復がなかったらどれくらいダメージを受けていたのだろう、と想像しぞっとする。

 ゲームのように見えるが、ゲームだとの確証はない。

 ゲームだとしても傷を負えば痛みもある。

 死んだら終わりの可能性がある以上、死ぬリスクは避けるべきだし、そもそも痛い思いなぞしたくもない。


(慢心せずにきちんと安全に狩りをしながらレベルをあげないとだな)


 そう思うが麻痺ハメは続いている。

 麻痺が弱まってきたところで、気合で体を動かし黄色いのを仕留める。

 もともと瀕死のダメージを負っていたのに、麻痺ハメのために近付いていたためなんとかなった。

 仕返しだとばかりに、残っている茶色トカゲとネズミを蹂躙する銀次であった。


 一通り狩った獲物を捌いて、肉と魔石をストレージにしまった銀次は、黄色トカゲに肉を前に悩む。

 一度ストレージに入れたので、レッサーパラライズリザードと言う名前は分かっている。

 そして、その肉の説明文(テキストフレーバー)により、食べると麻痺する可能性があることも分かっている。そして美味と書かれていたことも。


 思い切ってかぶりつくと、例のチャイムが鳴り響く。

 ログを確認すると、


 スキル【麻痺耐性】を覚えた


と表示されていた。

 どうやら肉を食べる、状態異常になる可能性がある攻撃を受ける(今回はたべただけだが)、状態異常の抵抗に成功する、のいずれかで耐性スキルを覚えられるようだ。


 なお、銀次は再度遭遇したレッサーパラライズリザードの肉を油断して食べてあばばばばとなることで、自らの体を持って耐性と無効のスキルの違いを知ることになった。



 ◇ ◇ ◇



 探索を進めていた銀次は、マップが1つ上の階層まできていた。

 特に階段とかがあった訳ではなく、上り下りを繰り返しているうちに辿り着いてしまっただけである。

 洞窟ならば地下だろうから、洞窟からの出口は上にあるだろうと予想していた銀次は、これで道はあっていると判断していた。


 上に階層では、新たな生物と遭遇していた。

 自分と同じ程度の大きさの巨大なコウモリである。

 当然空を飛ぶ上に、翼からかまいたちのような攻撃をしてくるので、厄介な事この上なかったが、ジャンプして前脚での攻撃を当てると言う強引な方方で退治していた。


(竜が昇○拳使うとかなんのダジャレだよ・・・)


 などと下らないことを考えていたが、コウモリの肉を食べることで風耐性のスキルを覚えていた。

 これにより、倒した相手の肉を食べることで、相手の特性に応じたスキルを覚えるのだろうと判断していた。


 なお、コウモリはケイブバットと言う名前で、肉も魔石も手に入ったが、苦労の割に肉は少ない上に不味く、銀次としてはあまり戦いたくない相手であった。


 また、この階層で遭遇した相手を注意して観察していたところ、簡易鑑定のスキルを覚えていた。

 相手の名前とレベルを、ストレージに入れる前に知ることができるのと、倒して得られた肉の名前や説明文についても、同様に知ることができるようになった。

 簡易、と接頭辞がついていると言うことは、恐らく詳細鑑定とかそんなスキルもきっとあるのだろう、と考えた銀次はとりあえず何でも鑑定しておくことにした。

 使い続けることで、上位スキルを覚えることを期待してである。


 この簡易鑑定により、それまでは捨てていた、トカゲの皮やコウモリの羽根が、防具や道具の素材になることが分かったため、捌いた後にストレージに放り込んでおくことにした。

 素材を手に入れても、竜である銀次に使い途があるのか怪しい所であるが、なにかに使えるかも、と言う銀次の貧乏性(ゆえ)にである。


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