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第四話:同情の目って悲しいですよね・・・。




突然ですが僕たちの授業は通常クラスとは全く別の授業を受けています。

まあそれも人並み外れた頭脳を持ってるこのクラスにとっては当たり前なわけで・・・。自分でも、よくもまあ主席を取っていられると思う。少し前の僕なら諸手を上げて喜んでいたかもしれないのに。




「んでぇ??天才純サマが(俺を差し置いて)主席をキープし続けなアカン理由ってなんですかぁ??」


それが出来ないのはこの物体Xの所為だ。


僕の今の状況。なかなかクラスメイトが揃わない【VIPクラス】では、日々の授業は皆無。ほぼ自習となっている。まあその理由はもう少し後に分かるでしょう。


その自習状態で僕は桜井と芽に挟まれソファーで紅茶を飲むという和やかな――――いえ、無理するのは止めましょう。殺気が突き刺さる地獄のようなドロドロのティータイムをしております。


「・・・どうしても、説明しないと―――」

「アカン。ちゃーんと説明しろや??」


ニッコリと殺気の篭った爽やかな笑顔を向けられた僕は蛇に睨まれた蛙の如く身を縮めるばかり。助けを求めるように芽を見詰めるが彼女は“それ私も気になってたのよぉ”とSOS信号をガン無視。僕はそのまま少し離れて座っていた橘と俊にも視線を送ったが、彼らもまた興味があるのか意気揚々と話を促してくる。



「ほぉら!もったいぶらんとさっさと言っとけっ!!」


昌吾はぐずる僕を“ほらほらほらッ”と答えを催促してくる。その目からは殺気と嫉妬と―――大量の負の感情が送られてくる。凶器こそ出してはいないものも、今の彼の目は恐怖の鬼ごっこの時と同じだ。


・・・言わないと、ダメ・・・みたいですね。



「・・・カッコ悪いんであんまり言いたくなかったんですが・・・僕の家、貧乏なんですよ」


四人は一瞬ぽかんと口を開いた。うん、そうなるだろうと思ってました。僕は顔に集まる熱を発散するように話し続ける。


「僕の家は事情があって貧乏でして・・・高校に進学する余裕も無いくらい絶望的な経済状況に陥ってたんです。進学を諦めて就職しようかと悩んでいた僕に、叔母である学園理事がこの高校にこないかと言ってくれたんですよ。そのかわり特別なクラスに入って、役職に就き、尚且つ主席をキープし続けることが条件でこの高校に入れてもらったんですよ!!もう、いいでしょう!??桜井っくっつかないでくだ―――」

「じゅーん!!お前苦学生やったんかよぉぉぉ!!」


話の途中で昌吾は僕の腰に抱きつき目を潤ませてきた。

はっきり言って凄くキモチワルイですっ!!


「ああ、そんな事情があったなんてっ!!純っいつでも私に頼ってきていいわよーっ」


芽まで僕の頭を抱えるように抱きついてきて、ふんわりといい香りのコロンが鼻腔をくすぐって・・・じゃなくて!!!


「芽まで!!というか貴女知ってたでしょう!?」


なんなんですかこのカオスな雰囲気!!!


無事な二人を見ると彼らはニッコリと爽やかな笑顔をくれた。


「純。これからは金銭的な問題があっても大丈夫だよぉぉ。僕たちならお金ありあまってるから♪」

「じゅん・・・もう心配・・・いらない」

「なんですかその同情の眼差し!!実際ものすごく助かりますけど哀しいです!!」



未だにくっ付いている二人を引き剥がしながら叫ぶ。



そう。鷲夜学園はイワユル金持ちが通う学校である。


特にこの【VIPクラス】は、たまたま金持ちの中でも上層部の人たちが集まり、社会的にも絶大な権力を持つクラスになってしまっているのだ。ああ、もう必然なのか偶然なのか誰にも分からないですがね。



「あ。またイチャついてるの??」

「楽しそうだね。稟たちもまぜてよー♪」


剥がしても剥がしてもくっ付いてくる二人に悪戦苦闘していたときに背後から聞こえた楽しそうな二つの声。振り向く前に四本の細い腕に首を絡め獲られ背後から抱きしめられた。


(スペード)っ!!(クローバー)っ!!助け―――」

「「なーにぃー??純、なんか言ったぁ??」」

「見事なハモリやな」


腰にしがみ付く桜井がボソっと呟いた。



―――――如月 捺(きさらぎ なつ) & (りん)

スペード・シートとクローバー・シートに在籍する不思議な二卵性双生児コンビ。男女の双子のわりには仲がよくいつも一緒に行動している。そして二人揃って放浪癖があり、いつもフラフラと放浪しており教室に留まっている事はめったにない。

二人ともよく似た中世的な顔立ちをしている上に、制服を着ておらず、しかも体のラインの分からない服を着ているためか、親にさえよく間違えられるらしいです。ちなみに捺が男性で稟が女性です。

成績は学年九位と十位でギリギリラインに居る。しかし、本人たちは“わざとそうしてるんだよぉ??”といって気にも留めていないようですが。



そうこうしているうちにだんだん・・・


「ちょっ!!く、び!?しまって――」

「「きにしなぁい、きにしなぁい♪♪」」


・・・ちなみに、二人揃ってサディストです。





神様っ僕、まだ貴方の所には行きたくないんですけどっ!!





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