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×5 祝祭の表裏  作者: 有栖川優悟
5/8

*参拾伍

おうぎ

 御崎みさきも取り戻し、いよいよ学園祭――体育祭と文化祭まで一週間を残すのみとなった。ここ銀庭学園の文化祭は一般の客も入るとのことだが、果たしてファンタジー喫茶の集客はどれ程のものだろうか。

「はいはい!私宣伝用イラスト描いてきたー!」

 衛宮えみやが持ってきたポスターには『神もいれば鬼もいる、世にも珍しいファンタジー喫茶!幽霊も出るよ☆』と書かれていた。事実しか書かれていないというところがまた恐ろしい。

「神って…え、私のこと…?」

「この『鬼』は私なのかどうか疑問に思う」

「幽霊は八人ミサキかな?」

穂香ほのか氷雨ひさめ陽菜はるなも全部せーかい!」

 ちなみに私は無能力者ということで裏方に回っている。出すものはホットサンド、カレー、ミネストローネなどなど。飲み物はカフェオレ、紅茶、オレンジジュース…ココアソーダクエン酸とかいう謎の飲み物があったがこれはスルーしよう。九十九堂つくもどうに交渉したところ、材料などで協力すると言ってくれたので助かった。



 ***



 カンテラが風に揺れ、教室がぼろぼろの館を思わせる形になってきた。

「うわぁ、なにこれ本格的!」

 そう驚く陽菜には「君達が用意してるやつでしょ?」とツッコミを入れたくなるのだが。

「お揃いの服とかある?」

「うん、あるよ!私と陽菜ちゃんと、岸波きしなみさんと時坂ときさかさんと間宮まみやさん!はい、岸波さんはこれ!」

 渡されたのは白と青紫のブラウスに、青紫のミニスカート、白い手袋、黒いニーハイソックス、青紫のリボン。

「岸波さんってツインテールにしても似合いそうじゃない?」

「…え?」

「赤い二つセットのリボンもあるからさー?」

 ちょっと待て。私が“ベルセルク”だと露見してしまうではないか。まあ文化祭だし、コスプレということにしておけば問題ないか――

「あっそう…よし、着るよ!」

 …きっとこの文化祭は荒れるな。

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