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×5 祝祭の表裏  作者: 有栖川優悟
4/8

*参拾肆

▼ダチュラ

 と、いうわけでウチらは早速芸能事務所『奈浪なろうプロダクション』に殴り込みに行くことになった。

「こんばんは、八人ミサキのプロデューサーをしています、仁坂にさかひとみです。宜しくお願い致します」

 割と普通の人間のようだった。彼女が死霊術師ネクロマンサー…戦闘力はどれ程のものだろうか。

「はい。この度は貴方の風評を聞いてこちらに来ました。――この先に御崎志歩さんがいるって本当ですか?」

 おうぎが勢い良く啖呵たんかを切れば、ピリ、と空気が変わる。

「いますけど…何か関係でも?」

「関係ならあります。彼女は私の――大事なクラスメートです。だから彼女を返してください」

「いいでしょう。…彼女達を通しなさい」

 なるほど、向こうに扇の仲間がいるのか。


 廊下


「って、ここ屍人ゾンビばっかか…!」

 目の前には社員であろう、屍人がずらりと並んでいた。

「ここは二人の“ベルセルク”が先に行くんだな、こいつらはウチら三人が処理しとく!」

「“ルシファー”、それフラグ。…行くよ、後輩!」

 後輩。

 “ベルセルク”では被るし、かといって本名で呼ぶ訳にもいかないからこうなったのだろう。

「はい!」


「じゃあ二人はこっちなー?」

 確か、赤みがかった茶髪の妖狐の少女が“エクスカリバー”で、金髪の雪女の少女が“エンジェル”だっけか。

「いつも“ベルセルク”が先陣切ってる感じ?」

「そうですねー…」

「なるほどな。まあ今日はウチが先陣切るから、サポートしてくれな?」

 再び屍人共の方を向き、指をさして言い放った。

「おい、そこの屍人共!あん時ゃ大事な義母かあさんを殺しやがって…」

 まだ縛られていることが愚かと言うなら、勝手に言え。先程まで掛けていたサングラスを空中に投げて、唱える言葉はただ一つ。


「お前ら全員叩っ斬る…“エストック”!」



 ***



 スラスト状の契器けいき・“エストック”を振りかざせば屍人から血が流れてくる。

「…やっぱ不味いな、これじゃあウチ結局飲めないじゃんかよ…!」

 …そこは屍人故か、腐ってはいたが。

 それでもウチは気にも留めず“エストック”を振るい続ける。もう決してあの日のような過ちは侵さないと念じながら。闇をって闇を制せ、それでいて決して闇にまれるな。

 それでこそ裏社会の掃除屋たる、アヴァロンなのだから――


 追って来る屍人を一通り倒し終えた上で、扇のところに向かう。


 6F 本部


「は…扇!倒し終えた、のか?」

 確認した先には、かつて仁坂瞳であった死体ものが血塗れで横たわっていた。

「ご覧の通りです。――任務完了ミッション・コンプリート

「無事に任務完了、だな!」

 久し振りに戻ってみても良いかもしれない、という考えがウチの頭をぎった。

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