求婚されたら
目の前に傅いてわたしの手を握る男
婚約者のウィル・ホーキンス
眩しいほどキラキラした金色の髪にサファイアのような目、体型もすらっとしていて誰もが見返るほどの美貌の持ち主な彼
「俺と結婚してください。メアリー」
「…え?」
そんな彼がわたし、メアリー・ヘーレンに求婚しています。正直、わたしウィル…この男と結婚する気はさらさらありません。なぜなら、この婚約は親たちの勘違いからはじまったから、元を辿ればわたしをいじめていたウィルといじめられていたわたしを見て仲がいいと思ったらしく婚約することになった。
いじめられてた理由は、わからないけど昔のいじめられていたというのは変えられないし苦手意識は年を重ねるたび強くなっていったわたしは彼が苦手である
「どうしたんだ?メアリー」
「ご、ごめんなさい少し時間をいただいても?」
「そうだな、突然だったしなゆっくりでいい」
悪かったなと一言残し彼は去っていった
メアリーは力なくしゃがみこんでしまった
「どうしたらいいの…」
このままだと丸め込まれて確実に結婚することになる
好き好んでいじめてきた相手と結婚しなければならないのもししたらウィルとの子供を産まなければならないどうせなら好きな人との子供がいいわ
「嬢ちゃんどうしたんだい?綺麗なドレスが汚れちまうよう」
「え、あぁごめんなさい」
「そんな顔をしてほら」
立ち上がりドレスについた埃を叩き落とし声をかけてきた老婆に向き直る
「何かあったのかい??顔が真っ青よ」
「よかったらうちの店に寄っていかないかいせめて顔色がよくなるまでね」
「それはご迷惑じゃ?」
自分でも顔がこわばっているのはわかる
このまま帰って屋敷の者に勘違いされたらめんどくさいから老婆の言葉に甘えることにした
「お言葉に甘えてもよろしいですか?お婆様」
「あぁ店はこっちだよ!付いといで」
老婆の後をついて行くとレンガ造りのこじんまりした家があった
入り口には看板がかかっておりOpenの文字
「さぁ、お入りよ」
「母さんやっと帰ってきた!癒しのハーブの位置がわからないんだ教えてくれ…よ?あ、お客さんか」
店の奥から優しそうな男の人が出てきた
老婆のことを母さんと呼んでいるし息子さんかしら
「エルまだ覚えてなかったのかい?いい加減覚えな」
「瓶がありすぎてどれがどれだかわかんないんだ」
「嬢ちゃんそこに座って待っててくれないかい?このバカ息子に教えてやらなきゃなんないからね」
「バカ息子ってお客さんの前で言うか普通…」
「わかりました。」
カウンターの席に座る
奥の方で話し声が聞こえ少し時間がたつといい香りがしてきた
お盆にカップを乗せバカ息子ことエルがやってきた
「さぁ、どうぞ顔が真っ青だけどこれ飲んで落ち着いて」
「ありがとうございます。お兄さん」
目の前に差し出されたカップには紅茶が入っていた
「砂糖は?あと、俺はエルよろしく君をここに連れてきたばあさんの息子だよ」
「ひとついいかしら…私は、メアリーよ」
紅茶を一口飲むとじんわりと暖かくなる
「隣いいかい?」
「えぇどうぞ」
「私は、ミリセントよメアリー何があったか話してみな」