突然の決闘
ぼくは、相変わらずクラス最下位の成績が気になりつつも、友だちと平凡な暮らしを楽しむ毎日を過ごしていた。
今日のお昼はカレーにしよう。
奮発して半熟卵をのっけちゃおうかな、いや、我慢して福神漬けをたくさんかけてもらうだけにするか。
そんなことだけを考えて、みんなの待つ食堂に向かっている。
前から金髪の、見慣れない生徒が歩いてくるのがみえた。が、それも特に気に留めなかった。
次の瞬間までは。
「え」
目があったと思った瞬間、自分の体に大きな衝撃を感じた。
スローモーションの世界の中、ぼくの体は宙に浮いている。
次は背中に衝撃を感じて、僕の体は制止した。
「……チッ。やっぱり噂通り、片割れは雑魚だったか」
状況の把握に時間がかかったが、今は遠くに見える金髪の、目つきの悪い生徒が、僕のことを突き飛ばし、僕は10メートル後ろの壁に激突した。
ということらしかった。
そんなことが起きたら、痛いし、骨は折れて、僕のような弱い奴は一発で病院送りだろう。
この状況で突然知らない人に殴られたとか、そんなことより何より僕を混乱させたこと、それは、
「あれ? ……なんで……?」
「……なんでお前は無傷なんだ?」
そう、僕が無傷で、状況を冷静に判断できる状態にあることだった。
金髪はニヤリと笑った。
「やっぱりな。お前ら双子はどこまでも俺をおちょくってくる……!!!」
そう言うと、目を血走らせた金髪は、僕が気付いた時には目の前で僕の胸ぐらを掴んで、持ち上げていた。
「俺が一番強いってことをお前らに思い知らせてやる。まずはお前からだ!」
壁に追い込まれた状況で、僕は受け身を取ることしかできなかった。
そんな僕に容赦なく攻撃を続ける金髪。彼の攻撃は早すぎて、全く対応することができない。彼はおそらく体を速く動かす能力があるようだ。
僕ができていたのは体を丸くして、打撃が当たる腕を僕の能力である治癒で少し強化するくらいだった。
なのに
「何故手ごたえがない…!」
僕はダメージを食らっていない。僕にできるのは治癒、しかも落ち着いて1人でいる時に傷を少し癒すくらいだ。
攻撃を受けた瞬間に、自らそれを完璧に直すことなんてできない。
じゃあ、この力はなんなんだ……?
今自分に起きている状況は……?
「ックソ!!! なぜ反撃してこない?! 俺を舐めてるのか!?」
金髪は僕から距離を置くと、今までの攻撃とは違う、何かを繰り出すための構えをし始めた。
僕だって反撃したいし、できればここから逃げたい。
でも、僕は誰かを攻撃できる能力を持っていないし、俊足から逃げ切れるほどのスピードもない。
「本気を出させてやる」
「いや、僕は……何も……」
僕は気づいたら情けなく泣いていて、訳の分からない状況に頭がついていけなかった。
混乱した頭では、おそらく繰り出される大きな攻撃に、目をつむって受け身を取ることしかできなかった。