居場所
相も変わらず、僕と仲良くしてくれるクラスメイトは少なかった。
でも、少ない友人はみな個性的で、能力以外で入学した僕を仲間と認めていてくれることがなにより嬉しかった。
それに、ずっとここで生活をして、自分の能力を伸ばすことばかり考えたカリキュラムをこなしていくと、自分のことを憎むクラスメイトの気持ちもわかるようになった。
きっと彼らはいろんな思いを持って努力して、ここに入学してきたのだ。それならば、能力に関するなんの努力もしていないで入学した僕が、無視されるくらい仕方のないことなのかも、と思えた。
「僕はそうは思わないよ。僕たちはAクラスとかの人には見下されてるっていうのに、それと同じ尺度で下の人を見下してたんじゃ、何にもならない。落ちこぼれで、余裕もないんじゃ惨めなだけだろ。……まぁ、僕が言ってもカッコつかないけどね」
伊織は卒業できればいいと考えているらしく、成績に関して熱くなるタイプではないようだ。
僕のことも、気の合う根暗(?)仲間としてみてくれている。
「上には上がいるんだから、下を見るなってことだよな」
対して、忍は向上心が高いタイプだ。そんな人なのに僕と友達でいてくれているのは、ひとえにその性格のよさからだろう。
「そうじゃの。今年のEクラスはなんかピリピリしてて怖いの。最初は怖かったわい」
突然出てきた、このお爺ちゃんみたいな喋り方の人は、長老。もちろん本当の長老というわけではなく、高1にして留年をしすぎて20代になってしまったために、長老と呼ばれている人だ。
年齢にしては老けた見た目をしているので、最初は先生かと思った。
「まぁ、陸坊は来年も一緒にEクラスで楽しくやるんじゃろ?」
「え? い、いやできれば僕も進級したいんだけど……」
「なんじゃ、そうか残念じゃの〜」
この人と話していると、留年くらい大したことない気にもなってくる。しかし、この学校で留年すると、その年の分の学費は自分持ちで、100万を優に超えてくる。お金持ちでもなんでもない僕にとっては、留年=退学なのだ。
「長老は自分の留年前提で話すなよ! 頑張って一緒に卒業しようぜ!」
「……本当に金持ちは道楽で学生できていいよなぁ」
「しかし、留年したおかげでこんなに可愛い高校生と出会えると考えれば! 学費なんぞ屁でもないわ!」
長老は鼻息を荒くして、僕の頭を撫でながら力説している。
僕が長老の下で困っていると、忍が長老を引き剥がしてくれた。
伊織は剥がされた長老に蹴りを入れてた。
僕には忍、伊織、それに長老、この3人の友人がいてくれる。
少ないがやっとできた大切な友達だった。
最初は、孤独の中、どうせ留年するのならもう早くそうなって、早く退学になってしまいたいと思っていた。
しかし、みんなと過ごすうちに、自分も進級して、みんなと一緒に卒業したい、そう思うようになっていった。