入学
上杉陸は、国立高校に入学することとなった。
それは実力ではない。いわゆるバーターとしてである。
名門高校に他人のおかげで入学できたのだから喜ぶべき、と言うかもしれないが、彼にはその恩恵を受けるだけの権利があった。
彼の人生は、彼の双子の妹、上杉海のバーターのようなものだったからだ。
生まれ落ちて、自我がない頃から、初めての女子能力者としてもてはやされた妹。それに比べ、能力が発動しただけでもすごいことのはずなのに、彼を取り巻く環境は質素だった。
それでも、その双子はとても仲が良く、服も髪型もそっくり同じだったので、親以外はほとんど区別がついていなかった。
しかし、5歳になる頃から2人の差は開き始めた。妹に明らかな強い能力が現れ始めたのだ。
彼女はたちまち研究機関で能力測定され、その数値は今までの研究結果とは一線を画していた。
初の女子能力者にして天才。それが上杉海に与えられた肩書きであった。
一方兄の能力に目新しいところはなく、ごく普通の能力者であった。能力者は尊敬されるべき存在なのに、彼の価値は妹の存在によって抑制され、影は霞む。
彼の肩書きは、天才少女の、双子の兄だといったところだった。