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出会い

このツンデレツインテールは何を言ってるんだ?

眷属になれって、こいつは王様かなにかか?

「……………断る」

短く答えを告げてその場を去ろうとする。

すると、ツンデレ娘は慌てたように声を荒らげた。

「ちょっと待ちなさいよ!!なんで断るの?」

……はい?この娘は何を言っているんだ、思わず本音が漏れる。

「いや、いきなり眷属になれとか、はい!って言うやついるか?お前大丈夫か?」

……………あら?言いすぎたのか?それを聞いたツンデレ娘はうつむいて黙ってしまった。

カタカタと肩を震わせ、拳に魔力が流れていく。

まずいぞ、このツンデレ娘のこのあとの行動が分かった。こいつは俺を殴る気だ。それも魔力によるブーストと強化をかけた全力で。案の定、くわっ!っと顔を上げ殴りかかってくる。予想通り過ぎたため、簡単に避けることが出来る。全力の一撃をあっさりと躱されたツンデレ娘はこっちを向き、言った。

「どうして避けるのよ!!」

「いや普通避けるよ!!」

思わず返してしまった。ツンデレ娘はガルル〜と牙を向ける獣のようにこっちを睨んでくる。つか、こんな事してる場合じゃないんだよなぁ。早く入学式に行かないと。とゆうか、同じ制服ならこのツンデレ娘も同じ状況のはず。

「とりあえず落ち着けよ。なぁ、入学式って、どうする?」

ツンデレ娘はきょとんとした顔になった。それからわなわなと体を震わせて声を上げた。

「なんでそれを先に言わないのよ!!」

理不尽だっ!!このツンデレ娘は本当に何なんだ?

いきなり眷属になれって言って、断ったら殴りかかってきて、挙句にこれだ。……………とりあえず落ち着こう。興奮すると冷静に考えられなくなる。そうだな、無視して入学式に行こう。途中乱入なんて、ここの生徒の総数を考えれば余裕だ。

魔法特殊戦闘訓練学園、通称「ヴァルハラ」

普通の高校と同じで三年間ここで学ぶことが出来る。

だが、ここでは勉強などほとんどしない。

文字通り、魔法による特殊戦闘の教育だ。そのため、このヴァルハラが位置するのは日本の領土に影響がでない場所にある。この場所に来るのは正直怖い。

ここは浮いてるんだ。この学園がある土地は、魔法によって浮かされている。太平洋の日本領海内に浮遊する浮島。だから、ある程度の爆発も何の問題でもない。俺の家はこの学園の創設に関わっているため、この浮島に家がある。他にも、ここで学ぶために移住してくる奴もいる。そんな事を思い出していると、

「あんた、名前教えなさいよ、あんたなんて呼ばれ方は嫌でしょ?」

まぁ、名前くらいなら答えてやってもいいか。

「奏、空無奏だ。お前は?まさか俺だけに答えさせるつもりじゃないだろ?」

ツンデレ娘は当然という感じで無い胸を張り、

「私の名前はフィラル・リンヴァッハよ」

……………リンヴァッハか。よりによって王の血脈かよ。確かにここなら王の血脈はいるだろう。だが、こんなに早く出会うなんて。部屋からでない方が良かったかもな。さっきの襲撃もこれで納得がいった。こいつは王の候補だ、これは確定だろう。王だと断定できないのは、王に単騎で襲って勝てるはずがないからだ。だからこいつは王の候補。

「……君の眷属には絶対にならない。……………王の血脈なら、なおさらだ」

ツンデレ娘は王の血脈という言葉を俺が知っていることに対して、驚いたように目を開いた。

「…その事を知っているなら、話は早いわ。私と戦って。私が勝ったら、奏は私の眷属になる」

おいおい、いきなり呼び捨てか。しかも王の血脈と戦う?確かにこいつには勝てる。俺の中にあるこの力を使っていなくても、こいつには勝てる。だが、このツンデレ娘ことフィラルは王の候補なのだ。

王、自然の力を支配するもののことを言う。自然の力に適合する血は決まっているため、王は同じ血脈にいるのだ。もちろん、各王事に違っているが。

有名なところだと、「焔王」だ。全ての焔を司り、操ることが出来る。また、王としての力を受け継いだ者は体自体が焔で構成されるという噂だ。

まったく、フィラルもどんな力なのか。リンヴァッハか。……………確か、そこまで攻撃系の力では無いはずだ。俺に似た、何かと繋げるような力。

今フィラルは独り。ならば、今は確実に王の力は発動されない。だが、万が一ということもありえる。

「……………いやだ」

これだ、これが一番いい。だが、フィラルは引く様子を見せずに、

「怖いのね、いいわ。……………私の力を教えれば、戦ってくれる?」

確かに…それならば戦ってもいいかもしれない。

「能力次第だ」

それを聞くとフィラルは周りを確認し、言った、

「私の力は、『心続』。自分の眷属の力を自分に回すことができる力よ。見ての通り今の私は独り。だから、何の脅威にもならないのよ」

ならば、なぜ俺に戦いを挑むのだろう。答えは簡単だ。眷属、いうなれば仲間が欲しいのだ。

独りでは強くなれない王か……………。

俺の力と似てるな。だからだろうか。それを聞いてしまってから、フィラルに対する気持ちは変わっていった。同情?仲間意識?そんなものが、少しだけ見えたのだ。

「……………お前が俺に勝てるわけがない。何でそうまでして俺にかまう?」

だが、これだけが気になっていた。眷属としてなら、俺よりも強く優秀なやつは沢山いるだろう。だからこそ、気になってしまった。

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