あいへいとゆー 2
――クローンは人間じゃない。使い捨ての人間。
その差別意識を取り払うために、クローン誕生時から関係者によって多くの論文や法令が出された。
第二の人生を歩むクローンとともに生きよう。
その一つが、『クローン自己管理義務法』。
もちろん庶民にはまだ手の届かないクローン製造だが、金と権力のある者達には必需品。
影武者、臓器移植、後継者…目的はそれぞれ。
大切な財産の一部なので自分で管理してください、という言ってみれば『物扱い』している差別なのだが、犯罪への流用を避ける法令だった。
が、僕は捨てられた。理由は不明。
もちろん持ち主は罰せられたが、僕の帰る場所は無くなった。
そういうクローンを保護するために、政府はそれぞれの分野で労働枠を作っている。
…例えば、『クローン犯罪』を取り締まるような。
「クローンがクローンを狩るとはね…。
蔑視なんだか分からんがなー」
同業者のユガミは哂う。
ユガミの黒髪も白い肌もみんなオリジナルから受け継いだが、事故で片目だけ失明してしまい、政府に売られた。
姿形は一緒だけど、片目なのはユガミだけ。
その眼帯は目印みたいなものだ。
僕は白髪に碧眼で五体満足。
ユガミみたいな目印はない。
…強いて言えば、『居場所がない』こと?
「ユガミは生きてるって気がする?」
ユガミの背中を見ながら問いかける。
振り返って、眼帯を指差して笑った。
「お前も片目無くしてみるか?」
痛そうだからいい。と僕は肩をすくめた。
政府に保護されているクローンや野放しクローンが犯罪を犯すことは少なくない。
クローンにはクローンを。
残酷だけど適していると、僕は思う。
「そんじゃ、よろしくな。生きて帰ってこいよ」
「うん」
頷いたけれど、正直、僕には生きていることが分からなかった。
毎日死んでるように生きていたから。
古い倉庫で未確認クローンが隠れているという情報を元に、目標を探していく。
と言っても、普通に者を退かしたりして探す。
まるでネズミ退治みたい。
がたん、と音がした。
…後ろだ。
振り返って暗がりに目を凝らす。
人影がちらっと動いた。
「僕はクローンです。
貴方がクローンなら、政府で保護するように要請されています。
武器も所持していません。
安心して出てきてください」
ユガミから教わった口上を述べる。
相手に動きはない。そっと近寄り、隠れている荷物の後ろを覗き込む。
「わぁぁん!ごめんなさい!」
マニュアルにはない、状況。
出てきたのは子供だった。
聞いていたのは『四十代中肉中背の男』。
…全然違う。
「えっと…」
「ぼく、おうちかえりたくないの!
だからつれてかないでぇ!」
泣き付かれた。
途方に暮れる。
とりあえず………ユガミ、ユガミに連絡しよう。




