表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

カンペ『6人の中から1人に告白しなさい』

作者:

メタ発言だらけです。


初めてのオリジナルの短編なので、どうか生ぬるい目で見て下さい。

 私三島由紀。このお話の主人公らしいねぇ。別になんてことない英語が死ぬほど苦手な普通の高校生だよ!魔法少女とかだったら格好良いけど…。ごめんね、なのはちゃんもまどかちゃんもいないよ!ちなみにこのネタは分かる人しか分からないよ!

 ちなみにこのお話は恋愛ものらしいよ。うわぁ、告白しましょうってカンペに書いてある。急展開だよね。苦情なら作者にね★


 さて、誰に告白しようかなぁ。とりあえず周りに居る男の子を6人紹介するね!てゆうかこの6人の中から誰かを選んで告白しなきゃいけないらしいよ。そういうシナリオなんだって。まるで攻略キャラが決まった乙女ゲームのようだね!さてさっそくいくよ。



 伊藤空は私の幼なじみ。昔っから一緒で、奇跡的にクラスもずっと同じなんだよ。毎日私の事馬鹿にしてくるんだよ、まったく。でも真面目な時はすごく真面目だから頼りになる奴だな。


 原田健哉くんは隣の席の人で、もう私の国語力じゃ表せないほどイケメンだよ!勉強も運動もできるし優しいし、この学校じゃ有名な王子様。ファンもたくさんいるんだよ。


 明智未来先輩は私の所属してる、風紀委員会の委員長。いつも明るくて、…トラブルメーカーっていうのかな。いつも堂々と委員会遅れてくるし、大事な書類無くしちゃうけど憎めない人かな。


 佐藤樹先輩は同じく委員会の先輩。とにかくボーっとしててね。この前なんかパジャマで学校来たんだから!明智先輩にかなり盛大にツッコミいれられて痛そうだったなぁ(笑)


 工藤悠介先生は現国の先生だよ。まだ若いのにいっつも眉間にしわ寄せて無口で。そのせいで怖がられてるけど話してみると良い先生なんだよなぁ。またお薦めの本とかあるか聞いてみよう。


 立川亮くんは家庭科部の後輩。大人しくて笑顔が可愛いくて、部活に男の子一人しか居ないから大人気だよ。料理上手だし手器用だしお嫁さんに最適かも、なんちゃって。



 ………。

 うん、この6人だね。

 さて、呼んで告白しなきゃなぁ…。うわ恥ずかしい!告白なんて初めてだからどうしたらいいか分かんないよ。「好きです」?「気になってました」?「お付き合い願いますか」?笑顔で言った方がいいのかな、それとも真面目に言った方が真剣味が出るかな?


 …え?告白する人は決まってるのかって?

 もちろん!私が好きなのは最初からあの人だけだよ。じゃあ余計な男子紹介すんなよってね。うははは。誰に告白するんだろう、と読者さんに予想してもらう為だよ!決して字数を稼ぐ為じゃないよ!


 さてさて、それじゃあ告白しようかな。恥ずかしいなぁ。噛まないといいけど。あ、結局何て言おう。「好きだよ!」で良いかな。出来れば笑顔で言いたいし明るく言おう。一回きりなんだし後悔のないようにしたいしね。

 よぅし…落ち着いて、落ち着いて…。

 よし!



「…ということで大好きだよ、山下くん!」

「……嬉しいけど、三島さん」

「ん?」

「今頃読者さんは『は?山下?それどいつだっけ?』ってなってるよきっと」

「ありゃりゃ、6人は多すぎたかなぁ。あ、さっきも言ったけど苦情は作者だよ!」

「てゆうか俺その6人の誰でもないしね。さっそくシナリオ無視なんて三島さんすごいね」


 あはははーと軽く笑う私たち。あ、描写入れるとなんだか小説っぽくなったね。


「山下くんは委員会も部活も違うから話すの久しぶりだね」

「うん。だって俺、空の数多くいる友達の1人って位置付けだもん。主人公の三島さんと話すのなんて超久しぶり。元気だった?」

「あはは、私はいつも元気だよー。あ、でも前小テストかなりヤバくてちょっと泣いたー」


 またあははーと軽く笑う私たち。そして話題が途切れて沈黙がうまれてしまった。

 どうしようかな、と思ってると山下くんが口を開いた。


「あー…どうして俺なの?」

「…山下くんは何も聞かずに隣に居てくれるから」

「それ単に台詞ないだけだよ俺。脇役だもん」

「そう…だけど」


 また沈黙。

 でも今度は前より早く山下くんが口を開いた。


「俺サブキャラだよ、サブキャラ」

「いいよ」

「名字しか決まってないし」

「いいよ」

「キャラ確立してないし」

「いいよ」

「台詞ないし」

「いいよ」

「これ乙女ゲームならバットエンドで終わっちゃうよ?」

「いいよ」

「もしかしたら三島さんサブキャラに下がっちゃうかもしれないよ」

「いいよ」


「…ホントに俺で、いいの?」

「いいよ!」



 勝手に始まった物語だった。幼なじみが居て先輩が居て後輩が居て。

 物語はシナリオ通りに進んで行く。私の好きになった人とは話せない、選択肢にない、小さくしか存在しない。

 それでも。

 初めて話した時の柔らかい笑顔が、どうしても欲しくて。


「私、主人公なんかじゃなくていい…。もっと可愛い子がやればいいよ…。山下くんと話せないの、悲しいよ…」

「だってそんなシナリオないんだもん、仕方ないよ」


 私が下を向いて泣くのを堪えていると、また軽く笑う声が聞こえた。

 山下くんには、軽い事なのかな。仕方ないって思える事なのかな。

 …仕方ないよね。山下くんルートなんて用意されてないんだから。いきなり告白なんてされても困るよね。主人公が1、2度しか話した事ないクラスメートに告白しちゃ物語めちゃくちゃだもんね。

 謝ろう。そんで、シナリオ通り誰かを好きにならなきゃ。山下くんの事なんてただのクラスメートだと思わなきゃ。


 ぐ、と目に力を入れてなんとか涙を抑えると、私は頭を上げた。


「やま、山下くんごめんな」

「じゃあ三島さん」

「へ?」

「三島さんはサブキャラに格下げという事だね」

「………え?」


 山下くんは嬉しそうに笑ってる。私の好きな、柔らかい笑顔。


「仕方ないよね、シナリオ通りに進められないんだから。次の主人公は…三島さんの友達でいいかな。あはは、流石に勝手かな」

「…え、えっと…?」

「ふふ」


 山下くんは私の頬に両手を添えた。


「俺もサブキャラのくせにずっと好きだったよ、三島さん。こんな奇跡起こるなんて聞いてないし。俺すげえ嬉しい。泣きそう。てゆうか泣いていい?」

「………じゃあ山下くん好きになっていいの?だ、抱きついても?ちゅーとかしても?」

「…うん、おいで?」

「……~~っ!」


 涙目の山下くんに私は容赦なく抱きついた。そのまま声を出して泣いた。山下くんは優しく抱きしめ返してくれる。




 私は、物語に小さくしか存在しなくても、出番がなくても台詞がなくても名前がなくても。

 脇役の彼が、山下くんが好きなのだ。




…結局言いたかった事はですね。

脇役だって恋したい。

自由に恋愛しようよ。

そんな感じです。

ハイ、苦情は私が受け付けています。


皆様にはありませんか、メインキャラよりサブキャラを好きになっちゃう事。

私はしょっちゅうです。

「もっと出して下さい」なんて言えるはずなく黙って出番を待ちます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] あとがきでなんだか泣きそうになりました。 [一言] はじめまして。 番長のお話がとても気に入って他のも読ませていただきました。 このお話も可愛くて素敵です。が、なぜかあとがきにとても感動し…
[一言] はじめまして···じゃないんです実は他作品から来たんです咲哉です。 まどかが魔法少女になるのは最終回でそれまでは普通という皮をかぶったただの女の子だよ!しかも最初で最後の魔法が壮大すぎてび…
[一言] 鍋さん、こんばんはwww お腹痛いwwww 何か変なとこがツボに入ってしまったようでwww ごめんなさいwww 私もサブキャラ好きですよww bleachだとルキアの斬魄刀の袖白雪とかwww…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ