仕事に頑張るぞ②
「もっとこう、二人は仲良し・・みたいな感じ出してくれる?お互い信頼し合ってるって感じで。」
と、うるさいカメラマンがいう。(仲良いんですけど。どうすればいいねん)と思っていたら、急にRANさんが、引っ付いてきた。
「これでは、いかが?」
「いいねえ。さすがRAN。SORA笑って。表情かたいよ。」
(うーん。じゃあRANさんが好きって感じでからむぞー)と、にっこりとRANさんを見つめたら、RANさんもにっこり見つめ返してきたから、私的には、微妙な感じになってしまった。だって、あの美貌だよ。近くで見ると、どきどきするわ。
「いいねえ。そうそうその感じ。もう大好きって感じでみつめて。」
(はい。大好きだし。尊敬してるし。ずっと見つめる事可能ですよ。)
「はい。OK。いい感じだったよ。」
って、カメラマンさんが言ったので、ホッとした私。ただ、RANさんに、こんな不細工な顔を近くで見ていただいて、申し訳ないな。と思ってしまいました。
「はい、じゃあ次のシーン行くよ。」
と言われて、(今日の仕事終わった。)と万歳モードの私。
「RANさん、お疲れさまでした。うまく撮れたのRANさんのおかげです。ありがとうございました。」
って、RANさんに挨拶して、帰ろうとしたら、
「帰るから送るよ。」
「でも、私東京でなく、遠くなるので。」
「いいよ。今日は早く終わったから、時間あるから。」
「では、有難く。」
駐車場で待っていたら、外車のすごい車でなく、ごく普通の国産車だった。ちょっと考えていたのと違うかも。
「では、失礼しまーす。」
と言って、乗せてもらったけれど、隣のRANさんが普通でした。はい。オーラを消して、化粧もせず、これならRANさんとは、誰も気が付かないでしょう。
「あのー、いつものRANさんと随分違う感じがするのですが・・・」
「あはは、これが本物だよ。モデルはお金を得る手段だから化けているだけ。まあ実は地味だよね。だから、SORAと気が合うんだと思うよ。」
「なるほど。では、これからもよろしくお願いします。」
と、にっこり笑うと、
「いやーその笑顔がいいよね。素直な感じで。だからちょっかいかけちゃうのかなあ。」
「またまた、RANさんには、みんな笑顔ですよ。ちなみに、彼氏?とかはいないんですか?」
「えっ、どうして?彼女じゃなくて、彼氏なの?」
「もしかして、RANさん男の方でした?」
そう聞くとRANさんは大笑いをした。
「ごめん。ごめん。SORAには言ってなかったね。実は私、男なのよ。」
ビックリして、RANさんを上から下まで、ずずっと見てしまった。いやー美しいよね。うん、誰が何と言おうと女神みたいだよね。でも、確かに胸がいやお胸が、ない!
「別に隠していたつもりはないけど、髪の毛は長いのが好きでね。で、知り合いに頼まれてモデルをやってるってわけ。でもプロフィールには性別書いてないから、嘘はついてないつもり。」
はあ。さようでございますか。でも、どうやって普段すごしているのか、とってもとっても気になった。
「あのー、普段はどうやって過ごされてるんですか?」
「会社で、パソコンいじってるよー。でも全然儲からないからモデルをやって生活費稼いでるってわけ。あはは。」
「・・・・・・」
「あんなにモデルで活躍してるのに。モデル1本でいったらどうですか?」
「知り合いにはそういわれるけど、でもやりたい夢があるからね。って言おうか見返したい人がいるからね。」
そう言うRANさんは、何処か遠くを見つめていた。
そんな話をしていたら、家の近くにきたので、
「あっ、ここらへんでおろしてください。今日はありがとうございました。」
「じゃあ、またね。」
と、にこって笑っておろしてくれた。家までトボトボ歩きながら、さっきRANさんが言った事を考えてた。(みんな色々あるんだな。がんばっているんだな。)