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第3話(2)

十和子と連絡がつかなくなって4日目。

昨日もふたりが帰ってくることはなく、休憩中に電話をしてみたがついにコール音もしなくなった。

圏外の場所にいるのかと思い1時間後にまたかけてみたが同じだった。



(電池が切れたのか?家出したんならスマホを充電していないのはおかしい。やっぱり何かあったんだ…!)



退勤後、綾史は警察署に赴いて事情を説明した。

だが警察は彼が期待したように動いてはくれなかった。



「明日ショッピングモールからマンションまでの間にある防犯カメラを調べてみましょう」

「今すぐは無理なんですか?」

「そうしたいのは山々ですが、この時間帯だと管理会社は営業を終了していますしショッピングモールも閉店時間ですので…」



こういう時に限って残業になったせいで時計は午後9時を回っていた。

もし万が一何者かに連れ去られたとして、捜索を明日にしたことで間に合わなかったらと思うと気が気でなかったが、既に何日も経ってしまっている。

十和子達に危害を加えるつもりなら、とっくにどうにかなっている。



(こんなことならもっと早く来るべきだった…)



後悔に苛まれたが、警察に従って連絡を待つ以外に選択肢はなかった。


警察から連絡があったのはその翌日、夕方に近い時間帯だった。



(昨日の夜に相談したのに、なんでもっと早く探してくれないんだよ…!)



行動が遅いと罵りたくなったが、ぐっと我慢して話を聞く。

防犯カメラには十和子が寿真を抱いてショッピングモールを出る姿が写っていたこと、マンションの途中にあるコンビニの防犯カメラにも通り過ぎる姿が写っていた。

だがその後マンションのエントランスに十和子達が現れることはなかったという。

事実を知った綾史は青ざめた。



「奥さんは自宅に向かっているようですし、マンション前にも不審な人物はいません。コンビニからマンションまでの数百メートルの間で何らかの事件に巻き込まれた可能性があります」

「……」

「ただここの路地を曲がった可能性は否定できないので、周辺の防犯カメラも確認してみないことには断定はできません。ご心配かとは思いますが、もう数日お時間をいただきます」

「はい…」



肩を落としたのを電話の向こうで察したのか、警察官が真剣な声音で励ました。



「奥さんとお子さんを見つけるために最善を尽くします。今は無事を祈りましょう」




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