表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/25

第10話(1)

その後、敗訴した綾史に請求書が届いた。

怒りや焦りから手が震え、持っていた書類がくしゃりと音を立てる。



(ふざけんな……こんな金額、払えるわけないだろ?!)



敗訴した彼は、不倫の慰謝料だけではなく、十和子が支払う裁判費用や弁護士費用の一部、財産分与、寿真の養育費なども支払わなければならなかった。

その上、自分が依頼した持木への弁護士費用もあり、彼はたちまち金に困った。

請求された金額を支払えない状況に立たされ、彼が選択したのは、無視を決め込むことだった。

十分な証拠があったとはいえ、プライドの高い綾史は自分が負けた(・・・)という事実を受け入れたくなかった。



(支払う側の俺が納得してないんだから、無視だ無視!俺だって自分の生活があるんだ、こんなの素直に支払ってたら生きていけないだろ。不可抗力だ!どうせ踏み倒す奴だっているんだから、俺がそうなったって別に構わないだろ。あいつには他に将臣(金づる)もいるしな)



だが、彼は"法で裁かれた"というのがどういうことなのか、その重みを理解していなかった。

そうして請求を無視していることを忘れかけた頃、彼は人事部長から呼び出しを受ける。



「下司くん。裁判所から債権差押通知が届いているんだが、身に覚えはあるだろうか」

「……!」



裁判所からの強制執行により、綾史は給与を差し押さえられた。

差し押さえといっても金額は給与の5%程度だが、不倫が原因で離婚したという事実が職場に知られてしまった。

それによって営業職から異動・主任から降格。

基本給に営業手当と職務手当を上乗せで支給されていたため、手取りも少なくなった。

差し押さえの有無に限らずマンションの賃貸料を払えなくなり、引っ越しも余儀なくされた。

しばらく実家に住もうと考えたが、嫁の十和子を気に入っていた綾史の母親は息子を許さなかった。



「あんないい子を裏切って、あんな女と不倫するなんて。それに何ですって?降格?給料差し押さえ?私の息子ながらああ情けない!こうなったのは全部あなたの責任よ!自分がしたことは自分で責任を取りなさい!」

「だけど、俺いま住むところもなくて困ってるんだよ…しばらく泊まらせてくれないかな?」

「住むところに困ってるんなら、あの女のところに行けばいいじゃないの。お母さんはこれまであなたを充分、育てたと思っているわ。もういい大人なんだから、住む家もお金も、自分でなんとかなさい!」



母親に叱責され、予想に反して実家を追い出された綾史はその日、仕方なく安価なカプセルホテルに泊まった。



(母さんが十和を気に入ってるってわかってたけど…息子の俺より十和の味方をするなんて…)



ショックを受けた彼は、ほとんど眠れずに出社した。

だが彼の受難はそれだけで終わらなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ