表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/63

変態と狂人③

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

依頼書(A+)


受注資格:冒険者ランクA以上の者

依頼元 :デンスティア人類防衛拠点

     研究班A

用 件 :調査依頼

     詳細は下記参照


         記

〇デンスティア人類防衛拠点南東に位置する

 開発拠点(中間拠点)の更に奥地の調査

 (中間拠点から南へ80km~160km)


 現在、人類防衛拠点拡張計画において、

 南東方向へ開発拠点を設置しているが、

 その奥地で猫魔獣ガドーバトーシャの

 痕跡を発見した。

 発見された痕跡とは

鳥魔獣ラブラシルバーグインLV240

の死骸。それに残された噛み傷から

ガドーバトーシャと特定された。

ガトーバトーシャの特性で明確な縄張り

がある事が知られている。

たまたまこの付近にいたとは考えにくく

ラブラシルバーグインの噛み傷の深さから

遠くから逃げてきたとも考えにくい。

 今後の開発方向にガトーバトーシャの巣

 縄張りがあると思われる。

 その詳細な位置、現状報告をお願いしたい。

 

 ※複数人による接敵リスク回避の為

  単独指定による隠密調査推奨。

 ※猫魔獣はデンスティア以外では発見

事例がなく、不明点が多い危険な魔獣。


担当:リテータ班副班長コヅネ・カグラザカ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「この任務は単独受注指定です、複数人による魔獣からの発見リスクを下げる意味等があります、この先は協力者の存在を認めていません、問題なかったでしょうか?」

「あぁ、私一人だ」

「コヅネ副班長から追加情報があります、お聞きになりますか?」

「是非頼む」

「はい、“猫魔獣ガドーバトーシャの推定レベルは290以上の可能性が高いです、猫魔獣の習性で弱すぎる対象を捕食しないと言うものがあり、縄張りに入ったラブラシルバーグインが縄張り外に出た時点で深追いをしていないことがまさにそれにあたると考えています、単独で接敵すれば間違いなく命はないでしょう、発見しても距離を保ち、命を最優先に行動してください”・・以上です」

「承知した・・肝に銘じておく」

“そこから私は馬に乗り目的のポイントを目指した。

なんと言うか、正直拍子抜けと言うか・・・

ほどなくして察知した魔獣を迂回してからは、

80km以上魔獣の危機感を一切感じなかった。”

「(・・既に調査範囲・・縄張りに入ってる可能性もある・・)」

“馬から降り警戒しつつ歩くことにしました。

“警知鐘嗅”

危機察知技能を最大限発動し周囲を探った時

直ぐに何かの気配を感じました。”

「(更に南西・・少し進むか)」

“正確な位置距離までは解らないが

それに近づくにつれ、危機感が

急激に高まるのを感じていました。

それを視界にとらえた時

無意識に足を止めていました。”

「(・・猫魔獣ガドーバトーシャ・・)」

“5mを優に超える魔獣。

白い体毛に黄色い紋様と黒い斑点のあるそれは、

丸まり寝ているように見えたが

耳をピンと立て、尻尾は大きく地面を掃いていた。”

「(・・これ以上進めん・・・)」

“おそらくそこが、ガドーバトーシャの

警戒範囲ギリギリ外だったのかもしれません。

私はそこから可能な限り情報を収集しました。

地形、障害物、寝床、巣の状態、中間地点からの

距離方角、自分が進めなくなった位置

魔獣からの距離・・・。

それらを調査表への書き入れが完了し

ほっと胸をなでおろした時、

発動していた“警知鐘嗅”で別の脅威を察知しました。”

「!?(な・・なんだ・・・)」

“私はその方角に視線を向け

警戒しました。

そしてほどなくしてそれを目視します。”

「!!(に・・女性!追われている!?)」

“女執事ジュニでした、すぐに

3匹のパジャードックに追われていると

わかりました・・いや、高知能化した

ラクーンパジャードックだと思いました。

着衣の乱れから魔獣の攻撃を受けているのは

明白、しかし逃走できている、3匹もの

魔獣から逃走できている事実・・・

ラクーンパジャードックの習性・・・

まさにそれだと思いました。”

「!!(駄目だ!そっちに向かうな!!)」

“ジュニ達は既にガドーバトーシャの縄張り内。

さらに、私がガドーバトーシャの警戒ライン

だと感じたその延長上を超えてしまいました”

ピタ

ガドーバトーシャの耳と尻尾が動きを止める。

「(き、気付かれた!!やはり警戒ライン・・“駿足”!!)・・おい!!」

“気づいたら私も警戒内へ駈け込んでいました

ジュニへ近づきつつ俺の方へ向かうよう叫びました”

「そっちへ向かうな!!こっちへ来い!!」

「ひ、人!?・・助けて!!!」

ジュニが方向を変えると同時に

ジュニの後を追うラクーンパジャードックが

3匹ともガドーバトーシャの警戒域に入り込んだ。

“ゆっくり立ち上がるのを見ました。

ガドーバトーシャは頭を下げ、俯いていました

そして次の瞬間”

バシュン!!

「!!・・死・・」

“正直、死を覚悟しました・・・

ガドーバトーシャの動きを追えず、

完全に見失っていました。

警戒内に入った自分を攻撃しに来たら、

回避も防御も、何もできずただただ死ぬ。”

「ギャァァァ!!」

“魔獣の悲鳴で我に返ると

ガドーバトーシャは最後尾に居た

ラクーンパジャードックの首に

噛みついていました。

一番前のパジャードックは興奮気味に

ジュニを追っていましたが、

2番目に居たパジャードックは

立ち止まりガドーバトーシャに

敵意を向けました。”

「・・(利用しない手はない!・・)」

ガドーバトーシャは最後尾の首元を

噛みついたまま2匹目にその青い目を向ける。

敵意を感じたのか口元に力をこめた。

ゴギッ!!

首の骨を嚙み砕く音と共に

口から炎が広がり

最後尾のラクーンパジャードックは

炎に包まれた。

“強い魔力変動感じたのでしょう、

ジュニを追うパジャードックも

冷静さを取り戻し、遊びは終わりと

強い殺気をジュニに向けました”

「ヒィィ!!」

“あろうことかジュニはその場で

転んでしまいました。

ジュニを追っていたパジャードックは

大きく口を開け一気に噛み殺そうと

しましたが”

「瞬足!!」

バシュン!

ガギーン、バギーン・・

二刀流スタイルのユートが

上顎と下顎を左右の剣で受け止めていた。

「何をしている!直ぐに立て!!」

「・・ひぃぃ・・」

“錯乱しているのか、動けないジュニを見て

直ぐに火属性魔法を発動しパジャードックの

目を眩ませました”

「ギャエ・・」

「(土属性魔法!!)」

“パジャードックが一歩ひるんだすきに

土壁を形成、すぐにその場を退避するため

ジュニを抱えました”

「(駿足!並びに瞬足!!)」

“少しでも足止めになればと

土壁を何枚か形成しつつ距離を取りました。

そして5枚目を形成した直後です・・・

戦慄しました・・・”

ゾッ・・

ユートは近くの障害物に身を隠した。

その直後、ジュニを襲った先頭の

ラクーンパジャードックを

ガドーバトーシャが襲う。

ガシュン!!

後頭部を噛みついたガドーバトーシャは

その突進力でラクーンパジャードックの

首を捥ぎ取り、そのままユートの形成した

土壁にぶつかった。

ドガ、ガ、ガン、ガン・・ガスン・・

5枚目壁が辛うじてガドーバトーシャの突進を

止めたが、ユート達との距離は目と鼻の先。

しかしユートは落ち着いて煙幕玉を5個取り出し

技能を発動する。

「(土属性魔法!空間魔法・複合、土分身!)」

ラクーンパジャードックの首を咥えた

ガドーバトーシャは右前足に握る

ラクーンパジャードックの首を

踏み潰すよう立ち上がる。

そして周囲を確認しつつ

咥えていた首を吐き捨てた。

ゴロン・・・

横を転がるラクーンパジャードックの

首を見てユートは作戦を開始する。

「(・・当然俺たちも捕食対象じゃない・・・)」

“ガドーバトーシャは6つの気配を感じ取った

はずです、しかし一番近い本体の私たちを攻撃

されては元もこうもない・・・

すぐに土分身の一つに土属性魔法を発動させました”

ズシュン!

地面から伸びる土の槍が

ガドーバトーシャへ走る。

それを前足で簡単に踏み潰した

ガドーバトーシャは瞬間、

その気配に向けて突進、

障害物ごと噛みついた。

ドゴォォン!

パン!

破裂音と共に煙幕が立ち込める。

「(今だ!!)」

“駿足と瞬足を駆使し、視界の悪い内に

距離を取りました、向かう先は縄張りの外・・・”

「グルルルゥゥ・・・」

ガドーバトーシャの視界が晴れる。

同時にすべての気配が移動しているのを

感じ取る。

「(考える間を与えない!!)」

ズシュン!

再び地面から伸びる土の槍が

ガドーバトーシャへ走る。

それを前足で簡単に踏み潰した

ガドーバトーシャは再度、

その気配に向けて突進、

障害物ごと噛みついた。

ゴバァァン!

パン!

破裂音と共に煙幕が立ち込める。

イラッ・・

「グルルル・・・」

「(・・残り4分の1・・・)」

ガドーバトーシャの視界が晴れる。

同時にすべての気配が移動しているのを

感じ取る。

イラッイラッ・・

ガドーバトーシャの口から炎が漏れる。

「ガルルル・・」

“お怒りの様子でした、しかしそれは好都合。

三度、同じ手に引っかかってくれました”

パン!

破裂音と共に煙幕が立ち込める。

「(・・・残り3分の1・・・)」

イラッイラッイラッ!!

「ガァァ!!」

ガドーバトーシャの口から漏れる炎が

轟々と増大する。

「はは♪・・(こ・・怖・・)ははは♪」

“し、失礼した・・思わず楽しそうに笑って

しまいましたが内心は恐怖でいっぱいでした・・

煙幕の外からもガドーバトーシャがどこに居るのか

それがわかるほど火炎を立ち上げていました”

「(早いが、一旦立ち止まり様子を見るか・・)」

ユートは移動をやめ岩陰に隠れた。

煙幕の中でガドーバトーシャは

移動する気配を追っていた。

そして立ち止まったのを感じ取った瞬間、

口から火属性魔法を放った。

炎の牙は、気配の隠れた岩ごと飲み込んだ。

ガボォォン!!

パン!

そこには炎の海と煙が広がる。

「く・・(煙幕玉と土分身が一つ無駄になった・・)」

“ガドーバトーシャと全く関係ない所で

発動してしまった煙幕を見て焦りました”

「ははは♪(残り2分の1!!)」

“・・し、失礼・・・あの・・本当に、

本当に焦っていたんです!

なんせ次の攻撃で50%の死です!

そうです、普通に焦ります

追い込まれてるんですから、ええ”

ジャリ・・

ガドーバトーシャは2つの気配を

視界内に収める。

ズシュン!

そのうち一つの気配の方角から土の槍が

ガドーバトーシャへ走る。

ガドーバトーシャはその攻撃をスルーし

その方向にある気配ではなく、

もう一つの気配へ突進していく。

もう、その手には乗らないぞと言わんばかりに。

ガドーバトーシャが気配の直ぐそばにある

岩を前足で弾き飛ばす。

そこには気を失うジュニを抱きかかえる

ユートが立っていた。

ガドーバトーシャは間髪入れず

二人を丸のみにした。

・・・

・・・パン!

“馬に到着した私はジュニを馬に縛り、

直ぐまたがると走り出しました。

振り返ると煙幕が晴れたそこに

ガドーバトーシャは佇んでいました。

私と目が合うと踵を返し去っていく様でした”

「(・・縄張りの境界・・)」

“それ以上追ってこない以上

縄張りの外に出たんだと判断。

すぐにその場所・地形をメモに取り

元々書いていた報告内容を一部訂正。

そこからの距離を測りつつ中間拠点へ”

「おい君!無事か!?(・・気を失っているだけか・・・)」

“ジュニはそのまま起きることなく

中間拠点へ到着しました”

「ユートさん!戻られたんですね・・・って・・え?」

クロイは馬の上にユート以外の人物を確認し

疑問の声を上げた。

馬から飛び降りたユートは馬の手綱を

クロイに渡す。

「すまない任務報告へ行ってくる、この女性を医務室まで」

「え・・え?・・・ちょっと・・」

~詰所~

“そこには係りの女性のほかに

もう一人女性が居ました。”

「ユート・トラフォールだ、任務を完了し帰還した」

「あっ、ちょうど良かった・・コヅネ副班長、この方が今回受けてくださったユートさんです」

「そうですか、そうですか、ありがとうございます、無事ご帰還されて安心しました」

“感じのいいその女性が任務の発注者だった、

私は直ぐに報告書をコヅネ副班長へ渡した”

「拝見致します・・・・・・!ん・・・・・え!?」

「何か?」

「い、いえ・・かなり詳細な情報だと・・あのもしかして・・」

“何を疑問に思ったのか・・彼女の反応は

違和感を持っているようでした。

そして私に何かを質問しようとしたとき”

バン!!

「世界冒険者協会安全保障部の者だ!」

「なんですか突然!」

コヅネの苦言に、アリドゥが答える。

「申し訳ありません、我々はそこに居るユート・トラフォールを連行しに来ました」

「!?連行?」

驚愕するユートにアリドゥが続ける。

「お前が一緒だったとされる女性・・彼女に対する強制的な猥褻行為、暴行・・」

「・・・は?」

ピンとこないユートを他所に

協会員が続ける。

「医務室で泣きながら怯える彼女・・男の風上にも置けん奴だ!」


~回想終~


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ