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魔導技術とお守り⑤

~解体・買取部署~


「ゴホッ・・ゴホッ・・風属性魔法!・・」

部屋中に充満する黒煙で視界が悪い中

風属性魔法が発動される。

それは割れた窓から一気に

黒煙を吐き出すような潮流を生み、

徐々に視界が開けてくる。

そこに居たのはベネーだった。

膝をつき負傷しているベネーは

周囲を確認し声を上げる。

「大丈夫ですか!?」

「こ・・こっちは・・大丈・・夫・・リーネさ・・も無事・・」

「リヴリラさん!!」

そこには明らかな重傷を負った

ベネーパーティー魔法士のリヴリラ・フォーブス

の姿があった。

リーネ「大丈夫かぁ!リヴリラァ!!」

エクードの妻リーネ・プランプを

身を挺して守ったであろうリヴリラは

今にも倒れそうだった。

「レイミーナ!レイミーナは無事ですか!?」

「ここに居ます!」

ベネーの呼びかけに答えた

ベネーパーティー治癒士のレイミーナは

負傷し腕から血を流しつつも、

エクードの部下に治癒魔法を施していた。

レイミーナも負傷しているのに気づいた

ベネーは直ぐに立ち上がろうとしたが、

「・・ぐ・・くぅぅ・・」

体がいうことを聞かなかった。

ベネーは顔を上げ、

レイミーナから治癒を受ける

腹部を大きく負傷した

エクードの部下を確認した。

「(あの傷・・彼はかなりの重傷・・おそらく治癒魔法のおかげで辛うじて命をつないでいる状態・・レイミーナもそれに気づいているから自身の負傷などお構いなしに彼の治癒を最優先に・・)」

ベネーはリヴリラの方へ視線を移す。

「ゴホッ・・」

吐血し膝をつくリヴリラを見て

ベネーは焦りを強める。

「(彼女も一刻を争う・・治癒は一対一でしか使えない・・レイミーナのほかに治癒士が必要・・・)」

「ベネーさん!」

「え?・・み、ミノアさん!?」

ミノアは周囲の状況を見渡しつつ

ハレルと共にベネーへ駆け寄っていった。

「(こ、これは・・・エクードさんが居ない・・)」

負傷して動けないエクードの部下や、

横たわる、客として来ていたであろう

数人の冒険者の中にエクードの姿がなかった。

「この爆発したような痕跡は!?何があったんですか!?」

「ミノアさん!今は一刻を争います!近くに治癒士が居ないか探してもらえないですか!?」

「ち、治癒士ですか!?わ、わかりました」

ベネーの必死な訴えを汲み取ったミノアが

踵を返そうとしたとき

レイミーナを見ていたハレルがミノアを制止する。

「それには及ばない、彼女一人で打開できるだろう」

「?」

ミノアが立ち止まったのを見て

ベネーが疑問の声を上げる。

「それはいったいどういう意味ですか?急がないと手遅れになりかねない状況なのです!はっ!そうです!ミノアさんの転移でここの負傷者を治癒院・・」

「では急ぎましょう、ミノア殿、ここへ来る途中にも見かけた負傷者を連れてきてください・・」

ハレルはベネーへ視線を移し

空間魔法を発動させる。

「“空間魔法・展開、ファルモトリゴ”・・マスタープルカーノ、これは私の作った魔道具、名をファルモトリゴ、試作品ではあるが設計通りの効果があるのは保証しよう、これを彼女に使用してもらいたい」

ハレルの手のひらには、

正三角錐の魔道具が出現していた。

四つの頂点にそれぞれ銀色の魔石が輝き

本体はガラス張りの様に見えた。

「ま・・魔道具?・・」

ベネーは自然とミノアに視線を向けていた。

困惑するベネーにミノアは笑顔で頷いて見せる。

「じゃぁ直ぐに表の怪我人を連れてきます」

ミノアが動き出すとハレルもレイミーナに歩み寄る。

ハレルは治癒に集中するレイミーナの背後に

その魔道具を置くと、

レイミーナに語り掛ける。

「その者の治癒を中断し、この魔道具へ治癒魔法を発動してください」

「え!?ちゅ、中断何て出来ません!そんなことしたら急激に死へ向かってしまいます」

拒否するレイミーナにハレルは続ける。

「しかしこのままでは、その者を救えても他の者が救えない・・重症なのは君も同じ・・」

「そんなのやってみないとわからない!この人を安全圏まで回復させ直ぐに他の方に治癒を行います!」

周囲を見渡いしつつ

自分に言い聞かせるように

レイミーナは言い放つと、

重症のリヴリラたちから目をそらす。

「・・い・・一瞬でも中断してる暇はないです・・」

「君も気付いているのだろ?このままでは救えないものが出る・・あと一人二人治癒士がこの場に居ても足りない、時間をかけ探してきても現状を大きく変えられない」

「・・・」

「・・この魔道具はこの状況を打開できる・・このハレル・ローリードが保証しよう・・」

ベネー「(ハレル?・・)」

レイミーナは自信満々に一歩も引かないハレルに

困惑しつつ、助けを求めるようにベネーへ視線を向けた。

ベネーもその視線に気付く。

「(・・ミノアさんが何の疑いも持たず彼の言うとおりに動いた・・)・・・」

ベネーが力強く頷いたの見たレイミーナは、

覚悟を決める。

「・・わかりました、やってみます」

レイミーナが治癒を中断した瞬間

エクードの部下は血を吐きながら

苦しみだした。

レイミーナは間髪入れず

背後に置かれる魔道具に手をかざす。

「“治癒魔法”!!」

キィィーン・・・

甲高い音とともに

三角錐の頂上にある魔石が光る。

治癒の光がその頂点から中へ入りこむように

ガラス張りの中を乱反射しつつ

底へ向かって広がり、中を満たした。

その瞬間、底の部分に配置された魔石から

三方向へ30メートルほど銀色の閃光が伸び、

円を描くように広がった。

「こ・・これは・・・」

そのサークル内に居たベネーは気が付いた。

血を吐いてもがいていたエクードの部下も

安定し落ち着きを取り戻していく。

レイミーナも自身の腕の傷が

ふさがっていくのを感じ

言葉を漏らす。

「・・銀の・・・治癒の・・効果・・・まるで聖域・・・」

ミノア「連れてきたよ!」

警備兵4人の負傷者を担ぎ

到着したミノアへハレルが答える。

「この光の中へ、それとあの女性も光の中へ運んであげてください」

ミノアは言われた通り負傷者を寝かせると、

光が届いていないリヴリラを担ぎ、

リーネに手を差し伸べる。

「さぁリーネさんもこっちへ」

ハレルは稼働する魔道具を注意深く観察しつつ

レイミーナに質問を飛ばす。

「気力はどうです?」

「え?き、気力ですか?・・」

質問の意図が理解できず

レイミーナが聞き返すと

ハレルは魔道具に視線を向けたまま続ける。

「今、十数人を同時に治癒している・・気力の消費量はどうですか?変化などあります?」

「い、いや・・一人に対して最大限治癒をしている時と変わらないと思います・・」

「そうですか・・(そこは設計通りか・・・)」

どことなく残念そうなハレルを他所に

レイミーナは驚愕していた。

それはベネーも同じ。

ベネー「(治癒効果の広範囲化・・・)」

レイミーナ「(そんなの聞いたことない・・・)」

困惑するベネーにミノアが歩み寄る。

「大丈夫ですかベネーさん」

「えぇなんとか・・」

治癒効果で少し回復したベネーは

立ち上がりつつ続ける。

「・・しかし、ミノアさんたちが居てくれなかったらと思うと・・・助かりました」

「いや・・僕は何も・・」

ミノアは魔道具を注視するハレルに

視線を移し続ける。

「ハレルさんが魔道具を持ってて助かりました」

「・・ハレル・ローリード・・彼は魔導メーカーHLLの魔導士・・あの魔道具の奇跡のような効果も納得です・・・しかし、彼とミノアさんが何故ここへ?」

「あぁ!そうだった・・・ある事件の犯人がここへ来ると思って・・あの、エクードさんはどこに居ますか?」

「・・・犯人・・」

「多分、詳細は話しちゃいけないと思うから・・えっと・・エクードさんを襲う可能性があるって思って・・」

「・・なるほど・・だとしたら、この事態を巻き起こしたのはその犯人でしょう・・」

「・・やっぱりここへ来たんだ・・じゃ、じゃぁエクードさんは!?」

「私たちがここへ駆けつけた時、彼は既に危険な状況でした・・・」


~回想~


~クヨトウ公営ギルドA型事業局南支部~

~執務室~

ベネーパーティー4人は、

明日の遠征について会議をしていた。

「っと言うことでベネーパーティーは遠征部隊の前衛を担います、各自最大のパフォーマンスが発揮できるよう準備をお願いします」

ベネーの言葉を聞いたリヴリラは大きく頷く。

「200レベルを超える魔獣報告・・他にも居ると思って臨みます」

それにレイミーナも続き、

男性冒険者へ声をかける。

「ですね・・・クラウド、あなたは30名の遠征部隊、その前衛パーティーの斥候と言うことになるは・・その意味わかるわよね?」

「わ、わかってますよ!」

ベネーパーティー斥候兼転移士のクラウドは

慌てて続ける。

「全員の安全を第一に、集中して臨みます!」

それを聞いたベネーは笑顔を浮かべる。

「では皆さん明日はよろしく・・」

一同「!!!?」

その場にいた全員が異変を感じる。

リヴリラ「魔力変動!」

レイミーナ「本店の方角!」

ベネー「クラウド!」

「はい!反響索敵!」

クラウドはベネーの声に反応し、

レイミーナの言ったように本店の方角へ

反響索敵を発動させた。

クラウドは直ぐに自分の額当てを

目の前に下ろし視界を遮ると続ける。

「“空間魔法・複合、千里眼”・・場所は解体買取部署!仮面の男が一人、エクードさんが対峙しています!」

それを聞いたベネーたちは扉を蹴り開け

駆け出して行った。


~解体買取部署~


左腕に火傷を負ったエクードは

右手に長剣を握り、

仮面の男へ怒鳴る。

「てめぇ何もんだ!!目的はなんだ!?」

「・・・」

仮面の男は何も言わずただただエクードを見据える。

「チッ・・(警備は何してやがる・・)」

エクードはリーネに視線を移す、

その視線に気付いたリーネは首を横に振る。

「(・・鑑定で見えないか・・あの仮面はただの仮面、リベロットの仮面の様に鑑定を阻害する魔道具じゃない・・魔石が見当たらん・・)」

キン・・

仮面の男はおもむろに剣を収め、

首元から魔道具を取り出して見せた。

「!?・・(魔道具・・おそらく鑑定阻害・・)」

エクードはリーネが何をしたのか、

更には自身の考を読み取られた事に

冷や汗を流す。

仮面の男はゆっくりと別の剣を構えた。

「(何だあの武器・・危険か?・・)」

エクードは周囲で怯える部下達や

既に倒れ込み動かない冒険者たちを

見渡し言い放つ。

「(致命傷じゃないが、一瞬に冒険者7人を無力化・・かなり出来る・・)いいかお前ら!こいつの相手は俺がする!一切手出しするな!!」

「ぶ、部長・・」

心配する部下を他所に

仮面の男へエクードは問いかける。

「・・お前もそれで良いよな?」

「・・・」

仮面の男はそれに答えるように

エクードに向けて低い体制を取った。

エクードが剣先を仮面の男へ向け

構えた瞬間、仮面の男が火属性魔法を発動させた。

エクードは火球が放たれた瞬間、

右へ躱そうとしたが、

仮面の男を見て驚愕の表情を浮かべた。

「な!?」

そしてすぐに怒りの表情を向ける。

仮面の男はリーネに視線を移していた。

「テメェ!!リーネを!?」

仮面の男はそのままリーネを攻撃しようと

動き出す。

エクードは仮面の男へ向かって動き出していた。

既に火傷を負っている左半身で

火球に体当たりし、そのまま突き破る。

そして大きく振りかぶった長剣を

仮面の男目がけて振り下ろそうとした。

ドシュ・・

エクード「!!・・」

一同「!?」

リーネ「あんたぁ!!」


ベネーパーティー「!!」

ベネーパーティーが到着し

その光景を目の当たりにする。

火炎を突き破るエクードの胸を

仮面の男の刃が貫通していた。

ベネー達は直ぐに切り替え動き出す。


「・・・?」

仮面の男は足元の床に視線を移すと

何かに気付き、エクードから剣を抜きつつ

後ろへ飛びのいた。

バシュン!

その瞬間床を突き破り

土の槍がせり出した。

「(・・ベネー)」

ベネーの繰り出した土属性魔法を

間一髪空中へ避難した仮面の男は

ベネーに視線を向けたが

次の瞬間、炎の牙が襲う。

「!?・・」

空中のその位置を先読みし、

ピンポイントで狙った火属性魔法を

仮面の男は躱せるはずもなく

炎の牙に噛みつかれるように直撃する。

仮面の男が吹き飛び

壁に叩きつけられると同時に

ベネーとリヴリラは詰め寄っていた。

エクードの元に駆け寄った

レイミーナとクラウドは

焦りを募らせる。

クラウド「急所をやられてます!」

レイミーナ「しかもこの痕は!!」

変色する傷跡を見たレイミーナが

ベネーへ叫ぶ。

「毒です!!私じゃ治癒できません!!」


ゆっくり立ち上がる

仮面の男に視線を向けつつ

ベネーは答える。

「・・直ぐに治癒院へ!クラウド!お願いします!」

「はい!魔法陣展開!」

「・・・」

クラウドの周りに赤い魔法陣が現れると

仮面の男はクラウドに向けて

火球を乱打する。

それを両手に炎を纏った

リヴリラが割り込み

叩き落していく。

同時に踏み込んでいたベネーが

仮面の男に切りかかり、

ベネーの剣を仮面の男が剣で防いだ。

「(・・3属性持ち魔法士リヴリラ・フォーブスと、魔導剣士ベネー・プルカーノ・・何より二人の連携に隙が無い・・・)」

ベネーの剣に押される様に

仮面の男両足が床に沈んでいく。

「(土属性魔法・・・)」

「“転移!”」

仮面の男が動けない隙に

クラウドとエクードは魔法陣に消える。

「(・・楽しそうだが・・長居は無用・・・)」

リーネを守れる位置に移動したリヴリラが

両手を冷ますように振りながら

仮面の男へ言い放つ。

「もう逃げられません・・大人しくしてください・・」

「・・・」

何も言わない仮面の男へ

周囲の状況を確認しつつ

ベネーも続ける。

「(他の者は毒を受けていない?・・わざわざ武器を変えた?だとしたら・・・)・・何故エクードさんを?」

「フ・・」

ベネーの剣を両手で受け止めていた

仮面の男は片手を離した。

更にその状態でベネーの剣を

押し戻していく。

「!!(か、片腕で!?)」

片腕がフリーになった仮面の男は

もう一つの剣へ手をかけた。

ベネーは競り合いを解除し

後ろへ回避する。

抜刀した仮面の男の剣が

空振りすると同時に

リヴリラ放った炎の牙が

仮面の男を襲う。

仮面の男は剣を握る両手に

炎を纏、それを切り裂くように

飛散させた。

仮面の男は続けざまに

ベネーの土属性魔法から離脱する。

「(速い!!)」

ベネーは一瞬、仮面の男を見失う。

キン、キン。

「!!」

ベネーは後ろから聞こえる音に

身体が硬直していた。

「こ、こいつは・・」

リヴリラは自分とベネーの中間地点に立つ

仮面の男を見て驚愕する。

「(気づいたらあの位置に・・ベネーさんが完全に見失っていた・・)」

二本の剣を鞘に戻した仮面の男は

おもむろに何かを足元に置いた。

そして瞬時に部屋の隅まで移動し

動けないベネー達に話し出す。

「・・それはプレゼント・・」

ベネー「(それ?)」

リヴリラ「な・・なに?・・」

振り返ったベネーもそれを視認する。

レイミーナ「ま、魔道具?・・」

ベネー「・・じゃない?・・はっ!」

仮面の男が小さな火球を

それに向けて放つ。

それと同時に仮面の男の足元に

赤い魔方陣が浮かび上がるのを見た

リヴリラが動こうとする。

「転移!!逃がしません!」

「良いのか?それの対応しなくて・・」

まさに仮面の男が置いた得体のしれないものに

火球が触れる瞬間だった。

「(得体のしれない魔道具・・危険!)全員防御態勢!!」

ベネーが叫ぶと動こうとしたリヴリラは

立ち止まり、背後のリーネも守るべく防御態勢をとる。

「(火属性の魔道具!!)」

リヴリラは最大限の火属性魔法耐性を上げた。

火属性魔法を持っていないベネーとレイミーナは

土属性魔法で壁を形成する。

そして仮面の男が転移したと同時に

それは起動した。

ドゴォォォン!!


~回想終~


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