神のプラン≠神域の意志①
この部分・・
かなり重要な場面へつながる大事な話・・
時間かけたけど・・難しかった・・・
~S&S社屋上~
ナトスは屋上の柵に両肘をつき、
腰を預けるように空を眺めていた。
「・・・(王将からの紹介・・つながりではあるが、弱いか・・もしくはもっと重要な何かに?・・深くかかわって良いものなのかどうか・・・)」
ナトスは慎重になっていた。
シェンター・ノウビシウムを自分たちの
協力者としたことは間違いではないと考えつつも、
テナクス王将の存在が大きすぎた。
女神の加護テセラを持つピューネの保護。
この世界において強者であるテナクスが、
適任だった。女神の啓示においても。
「(アルモニアのプランの中で俺の判断も必然・・・想定内か?・・・)」
自分たちは神のプラン、そのレールを走っているに過ぎない。
ナトスは自分に言い聞かせる事で、
テナクスではなくシェンターが
ピューネの保護をすることになった事実。
それに伴う不安を薄めようとしていた。
「(・・・しかし・・俺やミノアは・・・ん?)」
その時、考え事をするナトスに
ロレーヌが歩み寄る。
「・・・」
ナトスがそれに気づきつつも
何も言わないでいると
ロレーヌはナトスの隣で
外を覗き込むように柵に肘をついた。
「・・・」
何も言わないロレーヌにナトスは苦言を漏らす。
「・・何の用だ・・」
「・・関係の修復のために、謝罪をしようかと・・」
「・・謝罪?・・」
ロレーヌはナトスに半歩、
腕が触れるほどの距離まで近づく。
「・・昨日、カフェでの一件・・感情的になって申し訳なかったわ・・反省してる・・ギスギスして距離や壁を感じるのは好きじゃないの・・だから修復・・」
「ふん・・修復ねぇ、もともとこんなに近かった覚えはないが・・」
腕が触れるほどの距離にナトスが苦言交じりに言うと
ロレーヌは笑顔で返す。
「あら、知らないの?一度壊れた関係を修復するなら思いっきり踏み込まないと戻せないものよ」
「フ・・言わんとしてることはわかるが、そもそも関係が壊れたとは思っていない、元より距離も壁も存在している」
「あなたが勝手に作った壁でしょ」
ロレーヌは体をナトスの方へ向け
露骨に近づきつつ続ける。
「・・基本的に他人を信用しないあなたは壁作ったり距離を置いたり・・でも残念、わたしはあなたを強く信頼してる・・あなたの作った薄い壁何て、無いに等しいわ」
「・・・」
ソロル「何話してるんだろう・・」
ミュウ「ちょっと近すぎなのです」
何も言わないナトスにロレーヌは続ける。
「まっ、それはあなたも感じてるんでしょ?・・だから自分自身に嫌悪感や不信感を持たせるように振る舞う・・あえてね・・」
「・・ち、近すぎだ」
ナトスが近すぎるロレーヌから半歩下がると
ロレーヌが続ける。
「ほーらね、自分から距離を取ってる」
「今のは物理的に近すぎだったろ!逆に話もしづらい!」
「あら・・」
どことなく人間味のあるナトスの反応に
ロレーヌは笑みを浮かべる。
面白くなさそうな表情で
ナトスは続ける。
「・・昨夜の会食・・テラスでの話を言っているのなら、ボスの考えすぎだ」
「やっぱり聞こえてたんだ・・へぇ~ふぅ~ん・・」
「・・・」
ロレーヌの思わせぶりな言い方と表情に
ナトスは何も返さずにいた。
サキュリフィー邸での会食。
そのさなかシェンターからナトスについて
の考えを聞いたロレーヌ。
ロレーヌは真面目な表情に戻すと続ける。
「・・ボスはあの場で何があったか詳しく知らない・・それを見ていたのは私・・その私の中で辻妻があってしまった・・」
~回想~
「・・ナトスとは・・」
「(・・ナトスとは・・)」
「・・正真正銘・・」
「(・・正真正銘・・)」
「・・臆病者じゃ」
「お・・おく・・?」
困惑するロレーヌの表情を見て
シェンターは笑いながら続ける。
「ふぉっふぉっ・・まぁそうじゃな、おぬしの誤解をまず解こうかのぉ」
「ご、誤解ですか?」
シェンターは果実酒を飲みつつ
語りだす。
「被害者女性から証言を聞いたのは、その被害内容に配慮し、リアス捜査官と言われる女性だったそうじゃ・・それは、おぬし自身が捜査課に引き継ぐ際に“精神的に限界を迎えている”と付け加えていたからじゃ」
「・・・」
だまって聞き入るロレーヌに
シェンターは続ける。
「そしてリアス捜査官は被害者3人からそれぞれ話を聞き、その内1人から証言を得る事になる、おぬしの言った通り、にわかに信じる事等出来ない話をのぉ」
「!!・・ま、まさか・・」
シェンターはにんまりと笑うと
驚愕の表情を浮かべるロレーヌに続ける。
「そのまさかじゃ・・異常事態、精神的な苦痛・・それらが見せた幻覚の類としてみなされ、結果、誰も信じておらぬ・・・3人のうち2人もの被害者が“嘘の証言をした”ことになるからのぉ、そう言えばおぬしはこうも言っとたのぉ・・“嘘をつき、でっち上げる意味が彼女たちにはない以上強引に否定は出来ない”・・と・・」
「・・・」
言葉の出ないロレーヌにシェンターは
続ける。
「おぬしの見立て通り、おぬしが“そう”感じ、“そう”思った通り・・“こう”なったのじゃ・・違いは一つ・・“恩を仇で返す”、“そう”はならなかった・・」
ロレーヌはシェンターの話を聞きつつ
思考していた。
「(・・む、矛盾がない・・違和感も・・整合性が取れる結果・・言われてみれば、起きてしまえば確かにそうなる・・私が捜査課の立場でも多分同じ・・“こう”判断し、それに納得してしまう・・・はっ!・・)」
ロレーヌは恐る恐るシェンターへ疑問を投げかける。
「・・ナトスは・・ナトスはあの時点で“こう”なる結果を見据えていたんでしょうか?・・私よりも先を深く考え・・被害女性たちに念話による口止めが必要ないと判断していた・・・」
「・・それは・・・」
シェンターはゆっくりと
果実酒を飲み干し、続ける。
「・・少し意味合いが異なるかぉ・・まっ、自分で考えるのじゃな・・」
「え?」
「さて・・何か食べに戻るとするかの・・」
「ちょ、ちょっと待ってくださいボス!」
テラスを出ようとしたシェンターを
ロレーヌは慌てて静止すると、
シェンターのグラスに果実酒を注ぎつつ
続ける。
「彼について教えてくれると、ボスが言ったんですよ!?」
「そ、それは臆病者じゃともう教えたじゃろ・・」
「そ、それだけじゃわからないですよ!」
「・・・おぬし・・考えるのを放棄しとるな・・」
「!?・・・」
シェンターは注がれた果実酒を飲むと、
言葉を失くしたロレーヌに続ける。
「・・お酒のせいか、はたまたナトスに対する特別な感情か・・・まぁ・・後者かのぉ・・」
「・・・」
否定しないロレーヌに
シェンターは続ける。
「ふぉっふぉっふぉ・・神に愛されし男じゃ、おぬしが惹かれるのも頷ける・・おぉ!何と!おぬしの恋敵は神という事になるのぉ!はっ!そっ・・」
「・・・」
どことなく嬉しそうに話すシェンターに
ロレーヌはイライラを募らせ、
怪訝な表情を向けていた。
それに気づいたシェンターは
申し訳なさそうに続ける。
「そ、そのなんじゃ・・ヒ、ヒントをやるかのぉ」
「ヒント?」
「あくまでもわしのナトスに対する洞察にすぎん、事実はナトス以外にわからぬもの・・それで構わぬならじゃが・・」
「・・・」
ロレーヌが頷くのを見て
シェンターは続ける。
「まずは、おぬしの言葉を言い換えて見るかのぉ・・“ナトスはあの時点でこうなる結果も想定していた”のは間違いないじゃろ・・」
「(“も想定”・・・)」
「そして、おぬしの言葉の事実のみを見た方が良い部分・・“被害女性たちに念話による口止めが必要ないと判断していた”の部分・・・」
「事実のみを?・・・」
「そうじゃ、“被害者女性に念話を使用していない”・・それが事実・・」
「・・・理由が違う?・・って事ですか?・・」
「理由など、ナトス以外にわからんじゃろ・・しかし、ナトスと言う人物か如何なる人物か、その前提を揺ぎ無い根拠として考えるぐらい念頭に置くと・・・ふぉっふぉっふぉ」
楽しそうなシェンターを他所に
思考が追い付かないロレーヌは困惑していた。
「・・違和感や矛盾を感じるやもしれん・・しかし“前提”を崩さず、それが成り立つ“仮定”を見つけるのじゃ・・」
~回想終~
「・・私の中であなたは信頼できる人物、それは揺るがない前提・・あなかたどんなに距離や壁を作ろうとしても、私には意味が無いわよ・・だから・・もう少し素直になりなさい・・」
ロレーヌの優しい言葉に
ナトスは笑みを浮かべる。
「フ・・そもそも前提が間違っている、そう言う事も往々にしてあるんだ、その場合一から考え直した方が良い・・」
「それはそうよ、いくら仮説や仮定を立ててもその全てに矛盾が起きたり否定が入れば、前提が間違っていると言えるわ、その場合はそう・・でも、この場合はそうじゃない・・」
「・・そう言うロレーヌ所長は一体どんな仮定を?」
「被害女性に対する念話の件ならヒントもあったし簡単だったわ・・あなたは彼女たちに念話を使用する選択肢が、そもそも無かった・・そう考えてみたわ・・」
「・・・」
何も言わないナトスへ
ロレーヌは続ける。
「その場合、念話を使用できない理由がある・・そしてその理由は、臆病者ナトスの人物像と整合性が取れるものであるはず・・・それは、あなた自身の言動で、否定どころか肯定が入ってる・・」
「ん?」
ナトスが疑問の声をあげると
ロレーヌは続ける。
「あら、さっきボスからの電話であなた自身が言ったのよ“そもそも如何なる場合でもリスクを伴う・・その後どうなってもいいような相手にしか使う気は起きない”って・・」
「・・・たしかに・・」
「現にあなたはユナに念話を使用する事を拒否した・・それは彼女たちに念話を使用しない理由と同じ・・ただでさえ既に精神的なストレスを抱えていた彼女たちには使用するはずがない・・たとえ自分たちに不利な証言をされる恐れがあっても、自分たちの為に念話で彼女たちを壊すリスクを冒さない・・・ほらね、臆病者ナトスの人物像と整合性が取れた♪」
「・・・」
面白くなさそうな表情を浮かべる
ナトスを他所に、
楽しそうなロレーヌは続ける。
「ねぇ、教えてくれない?あの時あなたが何をどう考え、何を想定していたのか・・素直に話した方が身の為かもよ?じゃないと、哀れな私の中であなたがどんどん美化されていくかも・・・」
「・・なるほどなるほど・・・」
ナトスがテラスでの話しを聞いていたのであれば
ロレーヌの気持ちを知ったことになる。
ナトスはロレーヌの言い回しが面白く、
笑みを浮かべる。
「(あなたは他者から自分に向く興味や関心、感情、気持ちを疎ましく思っているでしょ?)」
「(これ以上俺に対する気持ちを大きくしてくれるなと・・説明しない事で俺に対する美化が進むと・・)」
「(あなたはそれを望まないでしょ?私は大丈夫・・今なら引き返せる・・だからこれ以上私を哀れな女に・・・ってやっぱり通らない論かな・・)」
「(・・強引過ぎる・・暴論だな・・が、しかし・・)」
ナトスは不思議と素直な心境の自分に気が付いた。
そしておもむろに語り出す。
「・・最初に樹海で遺体を発見したとき、人的被害・・犯人の存在が想定できる状況になった・・仮に生存者がいたとしても、犯人は速やかに無力化したかった・・最も望ましい形は“目撃者不在”の状態・・俺という存在に興味を持たれるのは避けたかったからな・・後々根掘り葉掘り聞かれるのも面倒だと考えていた・・・」
「・・そうね、それは疎ましい状況よね・・・」
「反響索敵で、最初に生存者を確認した瞬間・・そのうち一人の声・・“殺して”と死を望む声を聴いてしまった・・同時に彼女らがどういう状況なのかも理解できた俺は、精神的に限界をとうに超えていると考え、当初の予定通り、彼女らが見ていない間にその場にいる犯人全員殺しておこうと考えた、あとから主犯だろう人物が合流するようだったし、そいつだけなら安全に連行できる・・それに殺すだけなら所長が止める間もなく、速やかに終わるしな・・」
「・・・でもあなたは前もって要求した・・目撃者不在で“殺すだけ”の予定も変えてる・・・」
「そうだな・・プランを変えた・・その時聴こえた別の言葉・・後にそれはリリーの声だったと知ることになるが、救出した際の彼女を見て、所長はどう感じた?」
「リリーを救出したとき?」
ロレーヌは精神がすり減り、うわごとのように死を望む
リリーの姿を思い浮かべ続ける。
「・・正直手遅れだと感じたわ・・もう戻れないほど精神が壊れてしまっていると・・」
「最初に死を望む声を聴いたとき俺もそう考えていた・・しかしすぐに考えを改めた、それは強い殺意を込めた声を聴いたからだ・・」
「殺意?」
「あぁ・・“殺す”とね・・もしかしたらまだ立ち直ろうと精神が戦っているのではと考えた俺は、少しでも彼女たちの精神的苦痛を和らげるプランに変えた・・目撃者不在で殺すだけではなく、彼女らの目の前で露骨に異常な殺し方をしようとね・・・」
「露骨に!?」
「そうだ、その方が、仮に彼女たちが証言しても信用しづらい話になるだろ?現にそうなってる・・」
「・・その時から既に想定を・・だからわざわざ前もっての要求・・・」
「しかし、三人が三人とも同じ証言をしたら流石に裏どり捜査がされる・・所長が言ったように念話を使用する気が更々無い俺は、面倒なことにならないよう誘導することにした・・俺の事を話さないように・・・」
「誘導・・無抵抗の犯人たちを切りつけさせることで、共犯性を植え付けた・・・」
「・・実際に証言しなかった理由に少しは影響しているかもな」
「少しは?」
「その時点での共犯関係何てそもそも意図していない、あくまでも精神的苦痛の捌け口に利用しただけ・・露骨に異常な状況も作れるしな・・彼女たちが証言しなかった最大の理由は、説明のしようがないから・・」
「え?・・」
「そして、それと同じぐらいの度合いで、俺達に迷惑をかけたくないと思っていたはずだ・・・」
「・・私達を庇った?・・・」
「そうだな・・共犯性を受け入れる事でな・・」
「受け入れる?」
「・・リリーが精神を持ち直し、アーシャの前で泣き崩れた・・その時、ともに涙を浮かべるアーシャを見た時確信した・・所長と、もともと顔見知りだったアーシャは証言しない、自分を含めリリーを救った俺たちに強い恩を感じていたはず・・それを裏切らない、そもそもリリーを救ってくれとすがったのは彼女・・証言しないことで俺たちと同じ立場に居ようとしたんだ・・・」
「・・証言しない・・共犯でいようとした・・・リリーたちも?」
ナトスは首を振り否定しつつ続ける。
「・・恐らく証言したのはパティー、そして別の要因でリリーは絶対に証言しない・・・見たことを証言する場合、“空中でもがく無抵抗の犯人たち”の話をするわけだが、それを聞いたリアス捜査官はどういう反応をする?」
「・・確認するでしょうね・・どうやって?と・・」
「当然答えようがない・・証言を得たリアス捜査官はこうも質問したはずだ、“犯人の一人、足を切り落としたのは誰?”と・・所長が証言するとして何と答える?」
「・・見たまんまよ・・自分で切ったと言うほかないわ」
「何故そんなことを?」
「知らないわよ、その先にある切り傷が痛すぎただけなんじゃない?・・」
「腕も?」
「わかってるわよ!到底信じられる証言じゃない・・」
「・・・リリーはそれを実感している・・この刀で実際に犯人を切りつけている・・強い殺意を持って、無抵抗の人間を本気で殺そうとこの刀を使用した・・・見ていた君たち全員が思ったはずだ・・この刀は非殺傷武器だと・・しかし直後にそれを否定して見せた、俺が犯人の首を切り落とす事光景は意味が解らなかっただろう?・・到底信じられる証言が出来ない、矛盾や違和感だらけになってしまう、そう思っている以上証言しない・・さらにリリーに関しては、他の二人にはない、全く異質な理由も持っている・・」
「・・異質な理由?」
「俺の魂と強く結びつくこの“忍刀”を使用した時気付いたはずだ・・俺と言う人間の凶悪性に・・・」
「・・・」
押し黙るロレーヌに
ナトスは続ける。
「・・露骨な異常状況を演出する上で、俺の刀はうってつけだった・・攻撃対象に殺意を持った場合殺せなくなる・・この武器の本質は対象への“死痛”にある・・楽に死なせることなどさせない・・すべてを後悔し死を受け入れる・・そういう痛みを与えるための“拷問用”武器、そしてそれは、俺という人間を色濃く反映させている・・」
そう告げたナトスは
凶悪な顔でロレーヌを見つめた。
「・・あら・・そういう事・・」
ロレーヌはナトスの表情に気付きつつも
どこ吹く風と言わんばかりの反応を見せた。
「・・・」
その反応を見たナトスは
面白くなさそうな表情を浮かべる。
「・・やけに素直に話すなぁって思ってたら、それがしたかったのね?わざわざ拷問何て言葉を使い、そんな表情で私に恐怖心を持たせようって?・・あなたの凶悪性に気付いたリリーは報復を恐れあなたに対する恐怖心から証言しなかったと?・・・」
「・・・」
何も言わないナトスにロレーヌは続ける。
「・・それで私の気持ちを少しでも離そうと・・・ざーんねん、そうなればって話を聞いてみたけど・・逆効果だったみたいよ・・」
「逆効果ぁ?ふん・・それは嘘だろ・・離れなかったとしても現状維持ぐらいだろ・・」
「嘘はあなたの凶悪性でしょ、私のは嘘じゃないわよ、あなたに対する揺ぎ無い前提・・逆に強くなったわ・・ふふふ」
「・・・」
時折見せるロレーヌの優しい表情が
ナトスにとって心地いいものだった。
それこそ受け入れてしまいたくなるほどに。
ロレーヌの言葉も嘘ではなかった。
ソロル「なんか、楽しそうな雰囲気ね」
ミュウ「いやな雰囲気なのです・・」
ナトス「・・・!?」
ロレーヌ「え・・」
ガバッ・・
その時、ナトスが突然、
ロレーヌの頭を自分の胸に押し付け、
覆いかぶさるように抱きしめた。
ソロル「えーーーはーーーえーーー!!!」
ミュウ「あーーーわーーーあーーー!!!」
ロレーヌの抱きしめているように見える
ナトスを見て二人が騒ぎ立てる。
「(え?え?え?)」
ナトスの胸で赤面し
困惑するロレーヌは、
「・・え?」
フッとナトスの腕から力が抜けるのを感じ
恐る恐るナトスの顔を見上げる。
「・・?」
ナトスの顔は自分と別の場所に向いており
遠くを見るように目を細めていた。
ロレーヌはナトスの視線につられるように
その方向へ視線を向ける。
「!?・・け、煙・・(あの方向は・・)」
「なんなのですか?・・」
「様子がおかしいわね」
異変を感じたソロルたちも
屋上に出て二人の視線を確認した。
「!?・・か、火事!?」
「おそらく南本店あたりなのです!」
四人の視線の先には、
世界冒険者協会南本店から
黒煙が立ち上る光景があった。
~世界冒険者協会南本店~
「・・な・・なんなのだこれは・・」
「一足遅かったかも・・」
ミノアとハレルの目に
黒煙が立ち込める南本店の姿があった。
「取り合えず、現場に急ぎましょう」
ミノアとハレルは、慌てて避難する人々と逆行し
建物内へ駆け出して行った。




