五感④
~クヨトウ西街、路地~
ミノアを先頭に
ハレル達は人気のない路地を進んでいた。
ミノアの目には一歩前を進む、
テレサの思念が見えていた。
「・・認定調査員だったか・・ならばこの天才的な能力も納得がいく・・」
ハレルがそう呟くと
ミノアは苦笑いを浮かべる。
「ははは・・そ、そうかなぁ、もっと特殊な共感覚を持ってる人もいるしなぁ・・」
「そうなのか!?・・やはり、ある分野において天才的な能力を発揮する人間がスカウトされると言う話も本当だったか・・・認定調査員、実在するのならお会いしたいと思っていた」
「ははは・・(僕の居た世界での話しだったんだけど・・)」
ミノアは“特殊な共感覚を持っている人”
と言う自身の言葉を
世界冒険者協会認定調査員の事だと
ハレルに勘違いさせたことに気付いたが
それをどう訂正したものか悩み
苦笑いを浮かべる。
そんなミノアにハレルは続ける。
「・・しかし・・聞いていた話と、ミノア君は随分印象が違うな」
「聞いていた話?」
「・・認定調査員は天才が故なのか、他人を見下していると・・その権力を振りかざし手が付けられないところがあると・・その、なんだ・・人格に難があるような・・」
「ははは・・今日の朝も同じような事聞きました、設定の話ですよね」
「設定??」
「!?」
ハレルが疑問の声を上げた時
ミノアの目に映る光の影に変化が起きる。
「どうかしたのか?」
ハレルはミノアの違和感に疑問を投げかけた。
そこはテレサの祖父母の家に続く路地。
ショートカットの女性程度しか
認識できなかった光の影。
ミノアが追っていたその思念が
路地を曲がろうとしたとき、
その輪郭、服装が分かるほどに
変化した。
「・・(感情の揺らぎ・・・)テレサさんはここを曲がったみたいです」
ミノアがハレルにそう答えると
テレサの声を知覚する。
『・・・・すみません!』
『・・・・・』
『(・・あれ?この路・・・おじいちゃんの家に・・・・ね?・・・)』
『えっと・・もしかして・・・・・・・・おばあちゃんの知り合いですか?私は孫のテレサ・・・ます』
『・・・』
「(誰かと話してる?・・)テレサさんはここで誰かと会ったみたいです」
「いったい誰と・・・」
ミノアはテレサの思念に触れる。
テレサの思念は手に持っている袋を
胸元まで上げる。
『試作品が出来たのでおじいちゃんに持って来たんです』
『・・・・・・』
『え・・どこ行ったんだろおじいちゃん・・腰が痛いって言ってたのに・・・』
『・・・・・』
「・・・(な、なんなんだこの人・・・)」
ミノアは焦りを覚えていた。
テレサが間違いなく対話している人物。
その人物の思念が一切感じ取れなかったからだ。
「(感情が無いんだ・・・)」
『えへへ、これは私が試作した魔道具です、腰痛持ちのおじいちゃんに試してもらおうと思って・・これ、痛みを和らげる効果があるコルセットなんです』
『・・・・・・なかなか優秀・・・・』
「!!・・・(男性・・・)」
一瞬感じ取れた思念。
ミノアは直感的に男だと感じた。
「・・ここで出会った男性と話し込んだみたいです、工房から持ち出した魔導具はおじいさんに渡すつもりでここに来ています」
「おじいさん・・・」
ハレルは入った路地の先に
一軒の家を見つける。
「ここを曲がったとなるとあの家か!?あそこにテレサが居ると!」
『あっ、私も師匠の工房に帰ります、でもこれは玄関先に置いておこうかな・・おじいちゃんなら中見たらわかると思うし・・』
「直ぐにあの家へ・・」
「待ってください」
テレサの思念の言葉を聞いたミノアは
飛び出そうとするハレルを静止した。
「(テレサさんは工房に帰るつもりだった・・でも実際は帰っていない、嫌な予感がする・・)このままテレサさんの思念を辿ります・・今は少しでも情報を多く得ておきたいです・・」
「・・・」
ハレルがミノアの制止を受け入れると
ミノアはテレサの思念を追って
突き当りにある家の前まで進む。
テレサの思念は玄関前でしゃがみこんだ。
『(え!?物音?・・人の声!?)』
『(・・おじいちゃんたち留守なんじゃ・・・)』
『・・・』
そしてテレサの思念は急激に変化する。
「!!?(恐怖心!?)」
テレサの思念は、そこにテレサが実際に
居るかのように、
くっきりと鮮明になっていた。
それを見たミノアは焦りを強めた。
『・・・・・・』
テレサの思念は恐る恐る後ろを振り返った。
『・・・・・・本拠地・・招待しよう・・・』
ミノアは男の姿を知覚する。
それはテレサが見た男の姿。
顔は黒く塗りつぶされているように
はっきり見えないが、
歪な目と口が想像できた。
「・・テレサさんはここで、路地で話し込んだ男に襲われています・・」
「!!襲われた!?無事なのか!!テレサは無事なのか!!!」
酷く取り乱すハレルに
ミノアは見えているテレサの思念を
説明する。
「生きていると思います、テレサさんは拘束され家の中に・・」
ミノアは五感の活性状態を解除し、
通常の感覚に戻す。
「・・(家の中には誰もいない・・・)入ってみまっ・・」
バタン!
ハレルはミノアが言い切る前に
我先にと玄関の戸を開き
中へ駆け込んだ。
「テレサ!!どこに居るテレサ!!」
ハレルの後を追い
ミノアは一歩家の中に入る。
「・・・え?」
その瞬間、ミノアの視界に、
強烈な思念が飛び込んでくる。
「(そんな・・僕の五感は今通常状態・・それなのにこんなにハッキリ見えるなら・・・)」
ミノアの視界にはおじいさんとおばあさんが
はっきりと見えていた。
「どこなんだテレサ!」
ハレルはそれに気づかない様子で
家中を捜し歩いている。
おじいさん『なんだお前たち!』
おばあさん『何の御用が・・』
おじいさん『勝手に入ってくるな!!』
テーブルを囲み
椅子に座っていたおじいさんが
立ち上がり声を上げる。
おばあさんは座ったまま怯えているようだった。
おばあさん『いやぁぁ!』
突然座っていたおばあさんが
椅子から転げ落ちる。
おじいさん『何をする!火属性魔ほっぐあぁぁ!!』
おじさんは背後から強い衝撃を受けたように
前に倒れ込んだ。
おばあさん『・・な、なでこんなことを・・』
おじいさん『や、やめろ・・ぐぅぅ・・』
おじいさんは腰を庇うように立ち上がると
倒れ込むおばあさんに近づく。
おじいさん『がぁぁ・・』
おばあさんの前で崩れる様に
おじいさんは倒れ込んだが
直ぐに立ち上がる。
おじいさん『目的はなんだ!?金なら持っていけ!!』
おじいさん『どういう意味だ!っぐぁぁ!!』
再度衝撃を受けたおじいさんは
床に倒れ込む。
おじいさん『ぐ・・ぐぁぁ・・うぅ・・』
おばあさん『あなた!あなた!!もうやめてください!!』
執拗に攻撃を受けているように
床で苦しむおじいさんに
おばあさんは心配の声を上げる。
おじいさん『!?・・や、やめろ・・やめてくれっ!!』
おばあさん『あ・・あぁ・・いや・・』
おじいさん『やめろーー!!』
おばあさん『ぎゃぁぁ・・・』
「・・・(おじいさんとおばあさんはここで・・・)」
次の瞬間おじいさんとおばあさんの思念は
元居たテーブルに静かに座っていた。
「・・・」
ミノアは俯く思念の顔を覗き込む。
おじいさん『う・・うぅ・・』
おばあさん『あ・・あぁ・・』
「・・(酷い・・)」
無残に顔を潰された思念。
ミノアはおじいさんとおばあさんが
殺されていることを理解し言葉を失っていた。
そんなミノアに家中を探し終わったハレルが
近づいてくる。
「ミノア君、どうやらテレサはここに居ないようだ・・?・・どうかしたのか?」
誰もいないテーブルの近くで
しゃがみこんでいたミノアは、
ゆっくり立ち上がる。
「テレサさんがこの家に入ったのは間違いありません、またさっきみたいにテレサさんの思念を探ってみます・・でもその前に・・ここに居る強力な思念を排除しないと、微弱なテレサさんの思念を捉えられないと思います・・」
「強力な思念?」
「テレサさんのおじいさんとおばあさんです・・死後間もない為かなり鮮明に残っています」
「な・・し、死後!?・・・」
「はい・・おじいさんとおばあさんはここで殺されています・・その時の強く激しい感情は強い思いを思念としてその場に残します・・・俗にいう幽霊です」
「ゆ・・れい・・ま、まさかテレサもここで・・・」
「大丈夫です、ここでは少なくともテレサさんは死んでいません・・」
「・・・」
思考と感情が追い付かず
ハレルが絶句する中
ミノアは続ける。
「・・さきにここに居るおじいさんとおばあさんの思念を消します」
ミノアはおばあさんに視線を合わせると
自分の強大な思念をおばあさんに向ける。
ミノアは顔の前で両掌を向かい合わせに
肩幅ほどに広げる。
ミノアはその両手を顔の前で少しづつ近づけていく。
ミノアの思念がおばあさんの思念を
棺に納める様に包み込んだ。
おばあさん『あ・・あぁぁ・・』
「!!?」
その瞬間ハレルの目にも耳にも、
おばあさんの存在が知覚された。
ミノアがそのまま手を合わせ
拝むような形になったとき。
おばあさんはミノアの思念に飲み込まれ
消失していた。
「・・・」
「い・・一瞬だが・・わたしにも見えた気が・・・」
ミノアは無言のまま
おじいさんに視線を合わせる。
そして先ほどと同じように
ゆっくりと自分の思念で包んでいく。
おじいさん『うぅぅ・・・頼む・・・』
「・・・」
ハレルの目にもおじいさんが見えた時
おじいさんは言葉を残した。
おじいさん『・・テレサを・・救ってくれ・・』
ハレル「!!」
「・・・」
ミノアが両手を合わせたと同時に
おじいさんは消失していた。
「・・(もちろんです、おじいさん・・)テレサさんの思念を探ります・・・」
~西暦2323年、日本~
研究所のような一室。
亜麻色の髪をした男性がカプセル状の装置で眠る。
その隣には髪の長い女性が眠る装置が
並べられていた。
白衣の女性「良好ね・・二人とも安定している・・」
白衣の男A「脳の潜在域補足、管理番号3000401AA計測を開始します」
モニターを見つめる別の男が
数字を読み上げる。
白衣の男B「・・5・・13・・20・・29・・35・・35%」
白衣の男A「管理番号2990725BE計測を開始する」
白衣の男B「・・7・・19・・25・・・36・・・よ、40%・・・」
白衣の女性「40%ですって!?半年前の結果から6%も増加!?」
白衣の男B「か、彼女は・・どこまでの進化を・・・」
白衣の男A「し、しかし報告書には特段の能力発現はないと・・」
白衣の女性「自覚がないのよ・・間違いなく彼以上の能力を持っているはず・・」
~渋谷交差点~
ナトスは交差点に立ち車のカギを
くるくる回していた。
そして交差点の反対側、遠くの
高層ビルの入り口を見つめていた。
行き交う人通りの合間に、
入り口から出てくるミノアが映る。
ミノアはあたりをキョロキョロすると、
遠くで手を上げるナトスに気付く。
ミノアが行き交う人の合間を縫うように
ナトスの居る方へ歩き出すと、
突然ミノアが出てきたビルの
上層で爆発が起きる。
ビル上部、原型を残さぬほどの爆発は
上空を走る自動車にも影響を与え
事故を引き起こしていた。
それを見上げていたナトスは視線をミノアに移す。
ミノアは後ろも上空も顧みず、
ただまっすぐにナトスの方へ走り出していた。
混乱する人込みを縫うミノアは突然
飛びのくように進行方向を変える。
直後ミノアの居た場所へビルの瓦礫が降り注ぐ。
ミノアが再度進行方向を変えると
直後その場所へ車が墜落してきた。
降り注ぐ瓦礫と車の雨で
地上の人々は下敷きになり
無残な死を遂げ、地獄絵図と化していた。
そんな中ミノアはただナトスを見据え、
瓦礫を回避し走り続ける。
その光景を見下ろしていた
女神ゼイア・セアーは
目を見開いた後、笑みを浮かべる。
~数か月後~
どこかの屋上、
月を見上げるナトスの後ろに
髪の長い女性と黒髪の男性が並んで立っている。
その後ろにスッとミノアが現れる。
「ミノア・・」
ナトスの言葉を聞き
女性と男性は振り返り
ミノアに気付く。
「無事だったか、念話もよこさず何をしていた・・」
男性の言葉に女性も続く。
「そーよ、こっちからの念話も届いてない感じだったし、心配したじゃない」
ミノアは満面の笑みを浮かべる。
「いやぁちょっと気になる事があってさ、探りを入れてたって感じかな」
「・・(共感覚で?・・誰の思念を探っていたんだ・・)」
男「?」
女「探りって?」
「・・(そうか・・二人はミノアの五感活性状態を知らないのか・・)」
「まぁとりあえずさ、僕の中では確信してることだから・・」
男/女「!!!」
二人はミノアの顔が険しく、怖いと感じ
咄嗟に身構えた。
「二人とも死んでもらうね」
~異世界メジューワ~
~S&S社一階ロビー~
「・・・」
「・・トス!・・ナトス!!」
「?・・あぁすまない・・」
「・・考え事?気になる事でもあるの?」
ロレーヌの問いかけに
ナトスはコーヒーを飲みつつ
答える。
「いや・・問題ない・・っでなんだったか・・」
「だから、今の状況をミノアに聞いてみたらって・・いつもの念話で・・」
ソロルの質問に
ナトスは答える。
「もうやった・・しかし届かない・・おそらくテレサさんの思念を補足したんだろう、それを探っている間は俺の思念は届かない・・っと言うより視界外、外からの思念を一切遮断する・・俺の念話も俺の思念・・向こうからの連絡を待つしかない」
「そっかぁ、待つしかないかぁ」
「・・・そうだな」
「・・・」
ロレーヌがナトスの表情が
少し暗いと感じていると、
ミュウが疑問を投げかける。
「しかし、ハレルさんはどうするつもりなのでしょうか・・」
「ん?どうするってなにを?」
ソロルが聞き返すと
ミュウは続ける。
「テレサさん自らハレルさんの元を去っていた場合、見つけ出しても戻らないと思うのです、探そうとする行為自体テレサさんにとって迷惑かもなのです」
ナトス「・・・」
「それはまぁ・・そうかもだけど、事件に巻き込まれた可能性もあるし」
「西街は比較的治安の良い地域なのです、それは無いと思うのです」
ソロルとミュウのやり取りに
ロレーヌが割って入る。
「どちらにしろ、一旦は自分の元に戻したいって意向をハレルさんは示してる・・本人の口から自分の道を進みたいと、しっかり聞きたいのよ・・・?」
ロレーヌのは
ナトスがフェードアウトする様に
屋上の方へ歩きだすのに気づき
目で追いかける。
「そうよね、テレサさんもお世話になった師へ何も言わず去っていくのは良くないと思うし」
ロレーヌの言葉にソロルが追従すると
ミュウは得意げに語りだす。
「師弟関係なら確かにそうなのです、しかしミュウは気付いているのです、テレサさんに対するハレルさんの只ならぬ思いに・・あれはそう・・恋・・」
「ははは・・まぁわからなくもないけど・・」
苦笑いを浮かべソロルが言いにくそうに
肯定するとミュウは続ける。
「テレサさんは師匠であるはずのかなり年上の男性から、重すぎる思いを向けられ、異常を感じたのです・・・そして耐え切れず逃げだしたのです・・」
「あ、ありうる気はするけど・・」
ソロルが更に言いにくそうに
答えると、ミュウは続ける。
「ハレルさんはアレなのです、ここに住み着く変態と同類なのです!」
「(ここの変態って・・)い、言いきっちゃうんだね・・ははは」
~クヨトウ中央街~
~公営ギルドS型事業局、トレーニングルーム~
「ハクション!・・」
くしゃみをして鼻をすするアンプレス。
ガチャン・・
「・・せき・・と・・」
目の前で武器を落とし、
剣士の様な女性冒険者が
崩れ落ちる。
トレーニングルームの真ん中で
立ち尽くすアンプレスの
足元には20人を優に超える
冒険者たちが倒れていた。
「だれだぁ、俺の噂してる奴は・・」
アンプレスはゆっくり入口へ
視線を移す。
そこには狼狽えた表情で、
一人の女性が立っていた。
「な・・何て強さなの・・・」
女性の呟きに
アンプレスは笑みを浮かべる。
「ケーシーだったっけ・・」
「・・・」
ケーシーと呼ばれた女性は
恐怖で顔がゆがむ。
「とうとうお前と俺、2人っきりになってしまったが・・」
「ヒィッ・・」
状況を察したケーシーは息をのんだ。
~クヨトウ西街~
~テレサの祖父母宅~
五感活性状態のミノアは
居間の片隅にしゃがみ
テレサの思念に集中していた。
『んー!・・んっ!・・んー・・』
ミノアは口をふさがれ拘束されている
テレサの思念を知覚していた。
『・・(おじいちゃん!!)・・(おばあちゃん!!)・・・』
祖父母の死んでいるのを
目の当たりにしたテレサの強い感情。
恐怖と悲しみがミノアに流れ込む。
「・・・」
ミノアは目を伏せハレルに伝える。
「おじさんとおばあさんの思念から、犯人は4人だとわかっています・・そして残酷な事に、テレサさんはその遺体を目の当たりにしています・・・」
「何と言う事を・・・」
『うるさい女でやす・・痛めつけやすか?』
『・・・・・・・・』
「・・(おそらくリーダー格の男・・本当に読めない・・・)・・」
「テレサは!?テレサは無事なのか!?」
「犯人の目的が不明です・・もう少し詳しく探ってみます」
ミノアはテレサの思念に触れる様に
震える肩に手を置いた。
『出て行ったと思ったらすぐに戻って来やしたが・・おもちゃを見つけてきたわけじゃないんですか?』
「・・(あれ?・・この人知ってる感じが・・・)」
ミノアがその場に残る思念に対し
身に覚えを感じた時
『・・・・・・・』
「!!?な、なんで!!」
ミノアにその場にいた犯人グループの一人が
知覚された。
『え?・・Zって本拠地にか?』
「(・・アキト・トラフォール・・・)」
「どうしたんだミノア君!?な、何かわかったのか!?」
「・・(だとしたらこの見覚えのある人は・・あの時馬を引き連れてアキトに声をかけてた二人・・)・・・」
ミノアはハレルに掌をかざし
制止すると、再度思念に耳を傾ける。
『・・・・・』
『いわゆる、ヘッドハンティングってやつですかい?』
『・・・・・・・・』
テレサの思念がグイっと
引き上げられる様に
顔を上げる。
『・・・・・・』
「・・・(この感触・・手袋?・・)」
『んー!んー!』
ミノアが、テレサが感じたであろう
感覚を知覚していると、
強い悲しみの感情も流れ込んでくる。
「・・(可哀そうに・・・)」
その時今までほとんど感情が無く
読み取れなかったリーダー格の男の
強い思念を知覚する。
『・・(エクード・プランプ)・・俺にはやる事がある、お前ら三人で本拠地・・・』
「!!(殺意!?・・)」
『ほ、本拠地の案内!?・・うぷ・・』
最後にアキトの言葉を聞いたミノアは
ゆっくりと立ち上がった。
「・・・ハレルさん」
「何かわかったんだな?」
「はい、テレサさんはここへ押し入った犯人たちの本拠地へ連れていかれた様です」
「犯人の本拠地!?いったいなぜそんなところへ!」
「犯人の一人は、ヘッドハンティングと言っていました・・おそらくテレサさんの才能を知った犯人がそれを利用するため連れ去ったんだと思います・・」
「さ、才能・・・た、確かに、それは大いにあり得る・・だとしたら無事である可能性が高い!直ぐにでも救い出さねば!」
「わかっています、犯人たちの本拠地には見当がつきませんが、実はそのリーダー格の男が行きそうな場所が分かりました」
「そうなのか!?」
「はい、得た情報をすぐにでも兄さんたちに共有して考えをまとめたいのですが、先にその場所へ行ってもいいですか?」
「もちろんだ、そこに犯人が居ればテレサの居所もつかめるかもしれない、ちなみに場所はどこだ?」
「・・世界冒険者協会南本店です」




