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魔導技術とお守り④

~S&S社一階~


「・・アキトさんは上位ランクになりたがっていたのです・・推薦されれば間違いなくそれを受けるのです・・」

「そうだね、さっきも言ったけどこんなチャンス逃すはずないだろうしね・・」

ミュウの言葉をミノアが肯定すると

ナトスが続ける。

「想定・・選出方法次第では、ユナとミュウはアキトと対峙する可能性まである・・そうならなかったとしても、大会時にユナとミュウへ危害を加えるチャンスが、アキト目線あるのは間違いない・・まっ、三人とも選出されることが前提で、かつ最悪の想定だがな」

「・・・(ユナもミュウも正直言って強くなった・・可能性は高い・・)」

ソロルはナトスの言葉を黙って聞きながら

そう感じていた。

一同「・・・」

沈黙の中ナトスがコーヒーを

口に運ぶ。

「いや、だからそれ僕のコーヒーだって・・」

ミノアの突っ込みを聞いた

ロレーヌが気を取り直し、

口を開く。

「私も飲もうかな、新しいの淹れてあげ・・」

その時、不意にナトスとミノアが

入り口付近へ視線を移した。

「?」

二人の動きにつられ、

ロレーヌも入口へ視線を向けた。

路地から入口へ近づいた男性が

立ち止まるのが見える。

「・・こちら、S&S社で間違いないでしょうか?」

端正な顔立ちの長髪の男性がそう言うと、

ロレーヌが応答する。

「そうですが・・ご依頼でしょうか?」

男はロレーヌの前まで来ると

続ける。

「・・テナクス王将の紹介で、こちらにお願いしたい事が・・」

一同「!?王将??」

「・・わたくし、ハレル・ローリードと申します」


~リベロット本拠地~


シュゥゥ・・シュキン!

シュゥゥ・・シュキン!

黒い靄を漂わせる呪われた魔石。

それを加工するナトゥラの手元を

テレサが凝視する。

「テレサ、近すぎるぞ」

「・・・」

シュゥゥ・・シュキン!

シュゥゥ・・シュキン!

反応のないテレサに

ナトゥラは再度声をかける。

「テレサ!少し離れろ!」

「!?え・・あっはい・・」

テレサは一歩下がると、

またナトゥラの手元を凝視しだす。

「・・(・・凄い集中力だ・・)」

シュゥゥ・・シュキン!

シュゥゥ・・シュキン!

「よし・・完了だ」

ナトゥラの目の前には

黒い靄もきれいさっぱり消えた

赤い魔石が置かれていた。

独特の光学効果シャトヤンシー“キャッツアイ”

のあるその魔石にテレサは呟く。

「・・こんな輝き・・見たことない・・」

「・・呪の魔石をカッティングすると、どんな色でも必ずこのキャッツアイが浮かび上がる・・」

「どんな色?・・た、確かに火属性系統の赤色を目指す通常手順でのカッティングだった・・」

「ん?・・っぐ!」

ナトゥラがテレサの言葉に疑問を抱いた時

腕の黒い痣が痛み出す。

「ぐあぁぁ!!・・」

「ナトゥラさん!!治癒魔法!!」

異変にいち早く気付いたキヨミが駆け付けると

直ぐに治癒魔法を発動させた。

それを見ていた他の魔石加工士たちが

駆け寄ってくる。

女性魔石加工士「大丈夫ですか!?」

男性魔石加工士A「ナトゥラさん!もう限界ですよ!」

男性魔石加工士B「明らかに感覚が短くなってきてます!これ以上発作を続けたら戻れなくなってしまう!」

「・・ナトゥラさん・・・」

治癒魔法を発動しているキヨミも

みんなの意見を肯定するように

心配そうな表情をナトゥラへ向ける。

そんな中、テレサは呪の魔石に釘付けになっていた。

「・・・」

テレサはゆっくりと呪の魔石に触れようとする。

「触るなテレサ!っぐ・・」

それを見ていたナトゥラが怒鳴る。

テレサはビックっとした後

不思議そうな顔をみんなに向けた。

「・・・」

少し回復したナトゥラは

体制を整えると

そのままテレサに視線を向ける。

「キャッツアイをと目を合わせるな・・引き込まれるぞ・・・」

「め、目を?・・・」

ナトゥラはそのまま立ち上がると

皆に向けて語り掛ける。

「キヨミ、助かった・・皆にも心配をかけた、俺は大丈夫だ・・ノルマは間近・・必ずやり遂げる・・・」

ナトゥラはふら付きながら

椅子にドシンと体を預けた。

一同「ナトゥラさん!・・」

心配するみんなにナトゥラは背を向ける。

「俺の心配をしてる場合じゃないだろ・・皆、それぞれ期限とノルマが課せられてる・・ここから早く出たいなら、人質と自分の事だけ考えろ・・・」

魔石加工士達はそれぞれ顔を見合わせた後

自信の仕事へ戻っていく。

ナトゥラは未だ呆然としているテレサに

視線を向ける。

「テレサ、お前は魔導錬金を持っていない、魔石加工自体行ったことがないのは明らかだ・・しかし赤色が火属性系統の発動に優位だと知っているな?」

「え・・えっと・・はい、知っています、他にも青が水属性とか灰色が土属性とか紺が防御阻害系統だとか・・・」

「!?・・・ふぅ・・なるほどな・・世に出回っておらぬその知識のせいで勘違いされたのだな?」

「勘違い?」

「そもそも魔導錬金を持たぬ者がここに連れてこられることは無いはずだ・・どこかでテレサの博識を聞きつけて、有能な魔石加工士だと勘違いし誘拐したのだろう・・」

テレサは誘拐されるまでの流れを思い出しつつ

言い辛そうに語りだす。

「・・勘違いしたと言うかさせたというか・・自分で魔石加工士に弟子入りしてる加工士の卵って言ったから・・あっ、あと、持ってた魔道具をあたかも自分で作ったような言い方もしたかも・・・」

「・・・(て、天然・・か・・)」


~S&S社一階~


コト・・

テーブルに座るハレルの前に

淹れたてのコーヒーを置くと

ロレーヌは目の前に座る。

その隣にはミノアが座っており

嬉しそうにコーヒーを口に運んだ。

別のテーブルに座るソロルとミュウは

ハレルに視線を送る。

「・・やっぱりあの人って・・」

「多分間違いないのです・・・」

ソロルの目の前に座るナトスは

そのやり取りをスルーし

コーヒーを口に運ぶ。

「さて・・ハレル・ローリードさんと言いましたが・・」

「いかにも・・」

ロレーヌの言葉をハレルが肯定すると

ロレーヌは恐る恐る続ける。

「その・・もしかして、魔導メーカーのHLLハレルの・・」

「・・うむ、魔道具士件魔石加工士・・HLL製品全般を私が錬成している」

「!!やっぱりそうじゃん!これ、これ作った人!」

「あ、あとでサインもらうのです!」

ひそひそ声で狼狽えるソロルとミュウを

無視してロレーヌが話を進める。

「先ほどテナクス王将からの紹介だと伺いましたが・・」

「・・嘘ではない、王将の持つ魔導武具“大盾”は私の師ナトゥラが錬成したもの、私自身王将との付き合いは短いですが、本日、師匠の代理で“大盾”の修復のためサキュリフィー邸へ・・その時、S&S社の噂をお聞きした・・・っと言えば信じてもらえると・・」

「・・(・・確かに、大盾の修復・・つまり壊れかけたことを知っているのなら・・)」

ロレーヌが一瞬考えこんだ隙に

隣に座ミノアが疑問を投げかける。

「盾は無事に直りましたか?」

「ん?・・あぁ、問題なく、っと言うより昨日以上の輝きをもって生まれ変わったと言うべきか・・」

「へぇー♪魔道具ってそんなこともあるんですね!」

ミノアの笑顔につられ、

ハレルが少し笑みをこぼすと

ロレーヌが話を進める。

「承知しました、王将の紹介であれば、他の業務を一旦止め、優先してお受けいたします」

「あぁ・・それは申し訳ない・・しかし、そう言って頂けて助かります」

ハレルの素直な反応を見て

ミノアが素直に反応する。

「え、何言ってんのロレーヌさん、他の業務何てないじゃん、少なくとも僕は今暇っ」

「ちょっと!ミノア!」

ミノアの言葉をさえ切りロレーヌは続ける。

「はぁ・・この後報酬の話とかになるんだからさ、ある程度の恩を売っとかないと優位に話しできないでしょ、もう・・・・あっ・・」

素直なミノアにつられロレーヌも素直な

気持ちを言葉にしてしまう。

ロレーヌは気まずい表情で、

気まずい表情のハレルに続ける。

「か、彼の言った通り、今たまたま手が空いているので直ぐにでもご対応できるかと・・い、依頼はどのようなものでしょうか・・」

「そ、その・・人探しというか・・」

「人探し?」

ロレーヌが聞き返すと

気を取り直してハレルは続ける。

「・・サキュリフィー邸で王将にも相談したのだが・・・」


~回想~


「話してみよ、力になれるやもしれぬ」

「・・・」

王将から強く押されたハレルは、

重い口を開ける。

「・・実は弟子が行方知れずに・・いや・・ただ単に、私の元へ戻らないだけかもしれません・・・どちらにしろ、それが気がかりで・・・」

それを聞いたテナクスは

顎に手を置き目を伏せる。

「ふむ・・師匠に続き弟子までも・・・」

それを聞きハレルは慌てて続ける。

「いや・・本当に私に嫌気がさしただけかもしれません・・私が解らずやなのが問題なのかも・・もしくは・・私は呪われている・・・」

「二年前・・ナトゥラが失踪した時もお前は同じようなことを言っていた・・出来の悪自分を師匠が捨てただけなのかもと・・しかし実際はどうだ?その後の捜査で誘拐された可能性が高まった・・・」

「それは・・そうですが・・・弟子は・・テレサには、私がキツク接したのが原因かもしれません・・・」

「・・・」

テナクスはハレルの気持ちを汲み取り

語り掛ける。

「どちらにしろ・・か・・・」

「え?」

「お前はどちらにしろ知りたいのだろ?自発的に姿を現さないのか、それとも戻れぬ理由があるのか・・」

「・・・」

「後者なら、助け、力になりたいと・・・では、前者なら?・・」

「・・・どちらにしろです・・・私の元に・・・」

「そうか」

テナクスは笑みを浮かべると続ける。

「南街にS&S社と言う調査会社がある、俺が最も信頼する人物の居る会社だ必ずお前の力になるだろう・・」

「王将が最も信頼する!?」

「そうだ、お前の悩みなどチャラっと解決だ」

「チャ、チャラっとですか・・」

「この“大盾”の話をすれば間違いなく俺からの紹介だと信じてもらえる、優先して対応してくれるはずだ」


~回想終~


「お弟子さん、テレサさんの捜索ってことですね」

ミノアの言葉にハレルが頷くと

ロレーヌが質問を飛ばす。

「わかりました・・ただ闇雲に探すわけにもいきません、すぐに捜索を開始しますのでお弟子さんの特徴など情報をいただけますか?」

その問いにハレルは答える。

「テレサは可愛らしい女性で、天真爛漫というか・・他者と空気間が違い・・天才肌、いや天然というか・・笑顔が可愛く、元気をもらえると言うか・・・」

一同「?」

ソロルたちはテレサの事を語るモジモジした

ハレルの態度に違和感を覚える。

「興味のある事には異常な集中力を見せたかと思ったら、突然関係ないことを思い出したように話しだして笑ったり・・その笑顔が可愛く、元気をもらえると言うか・・」

「ちょっと待ってくださいハレルさん・・その、内面の話より外見的な話をしていただかないと・・・」

ロレーヌがたまらず差し込むと

ハレルは思い出したように立ち上がる。

「し、身長はこれぐらいだ・・」

自分の鎖骨下あたりを手で触るハレルを見て

ロレーヌは質問を続ける。

「(・・150ちょっと・・)・・体型や髪型は?」

「体型は標準・・髪型はショートで・・」

ハレルはミュウを指さし続ける。

「彼女と同じような髪色・・おそらく年齢も近い・・」

「18歳ぐらいってことだね」

「正確には17歳・・」

ミノアの言葉をハレルが訂正すると

女性陣に微妙な空気が漂う。

そしてソロルが恐る恐る質問を飛ばす。

「あ・・あの・・確かハレルさんの年齢は・・」

「ん?わたしは35になったばかりだが・・何か関係が?」

「い、いえ別に・・」

ミュウとロレーヌが同じことを

感じている様に微妙な表情を浮かべる中、

ナトスが話を進める。

「まだ13時前・・ミノアの能力なら今日中に結果を出せるだろう・・詳細な外見情報がなくとも・・」

「それは本当か!?」

ハレルが驚き反応すると

ミノアが続く。

「確かにね、今日は僕が任務日だし、早速行く?」

「そうだな、急いだ方が良いだろう、辿れるものも辿れなくなる」

ナトスとミノアのやり取りに

ロレーヌが割り込む。

「ちょっと、所長は私よ、勝手に話しを進めないでくれる」

「そっかごめん・・でも時間との勝負みたいなところがあるんだ・・」

「はぁ?」

疑問の声を上げるロレーヌを他所に

ナトスが話しを進める。

「ハレルさんお時間は?」

「わたしは問題ないが・・」

「テレサさんと最後に合った場所へミノアを連れて行ってください」

「ちょっと!ナトス!」

割り込むロレーヌを他所に

ミノアはハレルに近づく。

「すぐに飛びます、最後に合った場所は?」

「あ・・あぁ、私の工房だ・・西街にある・・」

「冒険者協会本店から近いですか?」

「西本店からならさほど遠くはっ!?・・」

ミノアはハレルが言い切る前に

肩を触れその場から消えた。

「・・・」

ロレーヌの無言の視線に気づいた

ナトスは両手を上げ答える。

「ちゃんと説明しますよ所長・・」


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