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暗躍⑥

~S&S社屋上~


ミノアが見守る中、

ミュウは風属性魔法を広範囲で展開していた。

「この範囲ならまだまだパワーが足りてないのです・・」

「だね・・ただの強風って感じだよね」

ミュウは範囲を狭めていき、

手のひらサイズまで凝縮していく。

シュゥゥゥ。

「この範囲なら鋭さを増して石をも切断できるのです・・でも・・さっきも言ったように、まだまだ魔石は切れないのです・・」

「繊細なコントロールも必要そうだよね」

「まっ、ゆっくり技術を磨くのです、魔導錬成も体得しないと魔道具は作れないのです」

「ん?」

その時ミノアは、建物内に入ってくる

人間の気配を感じとる。

「お客さん来たみたい」

ミノアは食堂の方へ視線を向ける。

そこにはコーヒーを飲むソロルが映る。

そのソロルの耳に、

一階から声が響く。

「ごめんくださーい!ソロルいるー?」

「え??トコーナ??」


~S&S社一階~


ソロル・ミュウ・ミノア、そして

ギルド職員のトコーナがテーブルを囲む。

「ユナは留守かぁ・・どうしよ・・」

出されたコーヒーを飲むトコーナが

残念そうに呟くとソロルが答える。

「2・3日留守にするって言ってたけど・・どうかしたの?」

「今日は16日・・ギリかなぁ・・」

トコーナはそういいながら

懐から封書を取り出した。

「これ、正式な書面・・」

「書面?」

「急な変更だったんだけど、今度の武闘大会からCランクからBランクへの昇格枠が設けられたの」

ソロル/ミュウ「え?」

封書を開けるソロルにトコーナは続ける。

「で、今回リデニア国から10名のCランク冒険者を選出することになって、クヨトウ公営ギルドA型事業局南支部から2名・・ベネーさんが推薦したの」

ソロル/ミュウ「!!?」

書面を読んだソロルとミュウが

驚愕の表情を浮かべると。

書面を読んだミノアが呟く。

「ソロルパーティー斥候ユナとソロルパーティー魔法士ミュウを推薦する・・ベネー・プルカーノ・・」

「ちょ、ちょっと待つのです・・これはいったい・・」

狼狽えるミュウにトコーナが答える。

「まぁまぁ落ち着いて、とりあえずリデニア全土から約83名の推薦があるはず、その中から10名の選出をするからまだ武闘大会への出場が決まったわけじゃないの・・」

「選出って・・どうやって?」

ソロルの質問にトコーナは答えつつ続ける。

「それはまだわかってないみたい・・決まってないが正しいかな?どちらにせよ大事なのが10名に選出された場合、大会出場を断れなくなる・・冒険者規約にあるようにね」

「・・・大会への招集扱い?」

ソロルの疑問に答える様に

トコーナは続ける。

「そっ・・でもこの推薦は辞退できるの、だから本人に意志の確認に来たってわけ・・っでどうする?ミュウはこの推薦受ける?」

「い、いきなり言われても・・心の準備が・・」

狼狽えるミュウへミノアが素直に言う。

「いい話なんじゃないの?だってBランクになるのはその機会が少なくて難しいって話でしょ?お姉はたまたまなれたけど・・今後こんな機会が回ってくるとも限らないよ?」

「それはそうなのですが・・」

ハッキリしないミュウへソロルが後押しする。

「ユナはこの場に居ないけどきっと受けるよ、今後も冒険者を続けていく場合も、転職する場合も、上位の冒険者かどうかってかなり優位になるのは間違いないし・・ミュウはどうなの?将来の夢とかないの?」

「・・ミュ、ミュウは・・指導員に・・冒険者学院の指導員になれたらって・・夢はあるのです・・」

「だったらなおさらよ、上位冒険者は指導員採用試験がかなり優位な内容になるはず、ミュウの夢に近付くのは間違いないよ」

「・・・」

しばしの沈黙の後ミュウは意を決したように答える。

「・・選出されるかどうかも分からない、仮に大会へ出場できたとしてもBランクへなれるかどうかはわからないのです・・でも・・挑戦したいです!ミュウは、推薦を受けるのです!」

「あは♪そーよミュウ!私絶対応援に行くから!観戦席で一生懸命おうえ・・?」

チョンチョン。

ソロルの言葉を遮るように

トコーナがソロルの方を叩いた。

「・・ソロル、大事な話があるんだけど・・」

「え??なに?」

「ミュウとユナは推薦を受けなければ大会へ行かない選択が出来るけど・・」

「う、うん?」

「実はね、ソロルがBランクになってから、他の冒険者がBランクになったって話聞いてないのね・・っで大会出場締切日って25日なの、後9日・・」

「わ、私が・・なに?」

2人のやり取りを聞いていたミュウが

何かに気付いたように声をあげる。

「あー!・・もしかして、大会への招集・・」

「あぁそっか、そうだよね、お姉はBランクになったばかり、後9日じゃ間違いなくお姉は対象・・」

「え?・・あっ・・まさか・・」

ソロルも気付いたように呟くと

トコーナが続ける。

「気付いた様ねソロル・・そう、あなたは観戦ではなく出場者として大会へ行くの!選出されたCランク冒険者を迎え撃つBランク冒険者としてね!」

「やばーーーい!!」

頭を抱え立ち上がったソロルに

トコーナが得意げに追撃する。

「かわいそうに・・選出されたCランク冒険者の一人は、不滅の召喚士ソロルと戦うことに・・・無事に帰れればいいけど・・」

それを聞いたミュウも狼狽える。

「え!?ミュウかユナさんが先輩と戦うことも!!?」

「えーー!!!」

騒々しいソロルを他所に

トコーナは答える。

「安心して良いよ、同国同士で戦うことはないからね♪」

「良かったのです!相手が先輩じゃないなら遠慮なく消し炭にするのです」

「はは♪その意気だよミュウ、ユナさんもかなり強くなったし、選出されればきっと結果が出る♪」

楽しそうなミュウとミノアを他所に、

ソロルはユート・トラフォールの言葉を

思い出していた。

ユート「・・現在のCランクは数も多く危険な冒険者も多いだろう・・・」

ソロルは狼狽え続ける。

「無理無理!安心できない!!大会出場何て無理だよ!」

「先輩は大会に来てくれないのですか?みんな一緒の方が心強いのです・・」

「そうだよお姉、みんな一緒の方が楽しいだろうし、それに護衛の・・」

ミノアの言葉を遮るようにソロルは続ける。

「ピクニックみたいに言わないでよ!それに行くは行くの!観戦席側に行きたいの!」

「あきらめなよソロル、冒険者である以上、この招待を断れないし」

トコーナの言葉を聞いたソロルは、

納得いかないように騒ぎ出す。

「わかってるよそんなの!でもいやなものは嫌なの!行きたくない!やだやだやだやだ」

「あらら、どうしたの騒々しいわね・・」

駄々をこねるソロルに

一階へ降りてきたロレーヌが声をかける。

その声に反応し視線を向けたソロルは、

ロレーヌの横に立つナトスに駆け寄り

泣きついた。

「どーしよどーしよどーしよナトス!」

「・・簡単じゃないか・・」

ナトスはソロルの座っていた席に座りつつ

答えるように続ける。

「プラスワンランクになっていればいい、24日までにな」

「それ僕の何だけど」

ミノアのコーヒーを飲みだすナトスが

そう言うとソロルが手を叩く。

「確かに!その手があった!」

「チ・・」

舌打ちをするトコーナに

ソロルが詰め寄る。

「トコーナ?・・まさか気付いてて言わなかったの?」

「別にいいじゃん、不滅の召喚士が戦う姿をみんな見たいって思ってんよ」

「はぁー?」

「ソロルが思ってる以上に今や有名人、昨日告知してからギルド内ではあなたの話で持ち切り、Cランクの誰が選出されるかより、ほぼ召集される不滅の召喚士をみんな楽しみにしてるって感じかな」

「噓でしょ・・」

「ほかでもない私も見てみたいって思っちゃった、ごめんねソロル」

ばつの悪そうに苦笑いを浮かべる

トコーナを見て、ソロルが

あきらめたように肩を落とすと

トコーナは立ち上がる。

「さて、ミュウの意思は確認できたし、ユナが戻るころまたお邪魔するね」

「ユナさんが早めに戻ったら、ギルドに行くように伝えるのです」

「助かるよミュウ、それじゃ」

トコーナが笑顔で立ち去ると

肩を落としたソロルに

ナトスが語り掛ける。

「・・ちなみにだが、一つ気がかりが・・」

「気がかり?」

ロレーヌが反応すると

ナトスは続ける。

「リデニア全土からの推薦となると、ここクヨトウ以外にコハキ、オファククからも推薦される冒険者が居ることになる・・詳しいことは解らないが・・」

ナトスは机に上の推薦状を指して続ける。

「・・各ギルドマスターが数人推薦できる形なのは間違いないだろう・・」

書面上にあるベネーの署名に

視線を向ける中ナトスは続ける。

「ベネーさんはソロルパーティーを良く知っている人物、気にかけている節も見える、だからこそソロルパーティーの現状を知っているわけで、ミュウやユナを推薦する客観的根拠を持っていると思うが、少なくとも個人的な思いがあるのも間違いないだろう・・」

ソロル/ミュウ「??」

話が見えず困惑するソロルたちを他所に

ミノアが呟く。

「・・オファククのS型ギルド・・そこのマスターはガイン・トラフォール・・」

ソロル/ミュウ「!?」

「確かにね・・それは気がかりだわ・・」

ロレーヌが納得したように呟くと

ナトスは続ける。

「・・ベネーさんがしたように、ガイン・トラフォールが個人的な思いで推薦する人物に、息子である彼を含まないとは思えない・・」

そこまで聞いたミュウは

ソロルの顔を見ていた。

そしてソロルは呟く。

「・・アキト・・・」


~リデニア国都市オファクク中央街~

~公営ギルドS型事業局、マスター室~


ガイン・トラフォールの前に立つ

ギルド職員が語りだす。

「・・では、南街を拠点とするラレフパーティーから二名、リーダーのラレフと魔法士のインフィール・・そして、同じ南街へ拠点を移したステフパーティーから、剣士のアキト・トラフォールを、当ギルドからの推薦として書面を作成いたします」

「あぁ、早急にな・・」

横柄な態度でガインはそう言うと

ギルド職員は一礼をし退室していく。

「失礼しました・・」

カチャン。

「・・・」

同室していたガインの側近、アルガ・モンテイロが

ガインに視線を向ける。

ガインが椅子をくるっと回転させると

その背中に向けて、アルガは口を開いた。

「・・指示と違うようですが・・」

「・・・ふん」

ガインが鼻で笑い飛ばすと

アルガは続ける。

「指示はラレフ、インフィール、そしてリレージュの三名・・勝手に息子であるアキトを推薦に挙げてしまった・・」

「細かい奴だ、お前は・・・俺の仕掛けは完璧だ、この手の裏工作で失敗したことはない・・」

「?・・(選出方法も決まっていないのに?・・)」

要領を得ないアルガにガインは続ける。

「正直、アルファドから依頼があった時面倒だと思ったが、そこに自分自身の利益を見出した・・アキトを推薦したのはまさにそれだ・・そしてアルファドの意図は、その三名を推薦する事ではない・・この依頼は完璧に遂行される、他でもない俺のためにもな・・安心しろ」

「・・・」

自信ありげなガインに

アルガは押し黙る。

ガインは椅子を回転させ振り返る。

「そんなことよりアルガ・・地下施設の件は本当に大丈夫なのか?」

「・・万に一つもリデニア側に情報が漏れたとは思われていないのが現状・・しかし、御じい様は念には念にと手は打っているようです・・今の所は予定通りだと・・」

「ふん・・明日、クヨトウギルド局でヴィーロ率いる精鋭が遠征に出る・・気になる動きではあるが、高レベル魔獣の報告があった以上違和感はない・・まっ、仮にバレたとて今や魔獣の巣窟・・裏取りする暇もすべもないだろ・・いよいよだな・・」

自分へ言い聞かせるように語るガインは

歪な笑みを浮かべた。


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