アウトロー①
~S&S社~
3階執務室兼応接室のテーブルを
ロレーヌ、ミノア、ジューリム、
そしてバレフ・ファーガソンの
四人が囲んでいる。
「私から、まず紹介させてもらいます・・」
ジューリムはそういうと
バレフに視線を向け続ける。
「この方は政活者のバレフ・ファーガソン様、今回インベル社の件で責任を感じておられ、一緒に話を聞ければと、私がお呼びした」
「・・バ、バレフ・ファーガソンだ・・」
バレフが答えると、ジューリムは続けて
ロレーヌ達に視線を移す。
「この二人はS&Sのロレーヌ所長と調査員のミノア殿」
「その節はどうも」
「ミノアです」
ロレーヌの言葉と微妙な表情を浮かべるミノアを見て
ジューリムは疑問の声を上げる。
「ん?・・面識がおありでしたか?」
「そ、その件も含めこの場を借りて謝罪をさせて欲しい・・申し訳なかった・・」
バレフが深々と頭を下げるのを見て
ジューリムが疑問の顔を浮かべる中、
ロレーヌが切り出す。
「その件は大したことでは無いので・・頭をお上げください」
神妙な顔でバレフが頭置上げるとロレーヌは続ける。
「・・今回の黒岩野営地周辺調査の件で、責任を感じておられると?」
「・・いかにも・・前回インベル社の調査においてミスが発覚したと聞いた、数年前彼らの業務における信頼性を後押しし、以降・・その業務をインベル社に一任する流れを作ったのは他でもない私自身だ・・彼らのミスは私にも責任がある・・」
3階リビング。
「じゃぁ水属性の魔法って・・・」
「そうなのです、だから魔力の値を・・・」
「・・・」
ソロルとミュウが本を片手に話をする中、
冷めたコーヒーを飲むナトスは、
応接室内の話に耳を傾けていた。
バレフが続ける。
「・・原因は何なのか、インベル社の慢心からくるものなのか・・インベル社の今後の為にもそれを知りたいと思い今回同席させてもらった・・そして・・」
バレフはジューリムに視線と体を向けて続けた。
「ジューリム殿、あなたの管理する黒岩野営地を危機的な状況にするところだった・・申し訳なく思っている、すまなかった・・」
バレフは深々と頭を下げると、
ロレーヌ達へ向き直り続ける。
「・・S&S社諸君、首都クヨトウ並びに黒岩野営地の危機を、未然に防いでくれたことを感謝する・・ありがとう・・」
ロレーヌ/ミノア「・・・」
バレフが頭を下げる中沈黙が流れる。
そしてジューリムが切り出す。
「・・ファーガソン様、頭をお上げください・・早速話しを聞いてみましょう」
「ん?・・あぁ、そうだな・・聞かせてくれるか」
ロレーヌは一連のバレフの態度から、
質問を投げかける。
「ファーガソン様・・先に確認なのですが、インベル社からはどのようなお話を?・・」
~回想~
「・・バレフ・ファーガソンだ」
「ファーガソン様!カイファスです、インベル社所長の・・」
カイファスから電話を受けたバレフは答える。
「おぉ、カイファス殿か、どうした?慌てているように見えるが」
「じ、実は・・当社の業務に重大なミスが生じまして・・」
「ミス?」
「は、はい・・ファーガソン様に後押し頂き当社で2年前から受注していた黒岩野営地の周辺調査です・・」
「あぁ・・っで、どういったミスを?」
「三週間前の調査で、魔獣の巣を見落としていたようです・・」
「何だと!?き、規模は!?最悪の事態になりかねないぞ!」
「は、はい・・おっしゃる通りです・・私も焦りパニックになりつつも事態の把握を行ったところです・・最悪の事態は免れていたようで、既に魔獣の巣殲滅任務が出されています・・」
「そうか・・しかしなぜそのような事に、首都を危険にさらすところだったのだぞ!」
「わかっております、任務の重要性は所長である私自身が肝に銘じ、数年間心血を削り遂行してきたのです・・しかし前回、3週間前見落としてしまった・・発見した小規模の魔獣の巣を3か所を殲滅し安心しきったせいかもしれません・・本来なら見落とさない4か所の巣を見落としてしまった・・後悔してもしきれません・・」
「・・・」
バレフは、焦燥し後悔の念を口にするカイファスに
かける言葉が見つからなかった。
「・・いっそのこと罰を受けたい・・今回のミスはそれほど重大な物・・インベル社を廃業しましょう・・いや、それだと社員が路頭に迷ってしまう、どうしたものっ・・」
「まぁ待てカイファス殿・・」
「・・・」
バレフは真摯に責任を取ろうとするカイファスの
言葉を遮り続ける。
「一度のミスで今までの功績までもなかった事には出来ないと私は考える・・インベル社を後押ししてきた私からも世界冒険者協会とギルド組合に謝罪を入れておく、そして何とか今後もインベル社を使ってもらえるように話しをしておくつもりだ・・ミスの責任は今後の業務で取っていくべきだ・・」
「ははぁぁぁ・・有りがたきお言葉・・」
~回想終~
ナトス「・・・」
ロレーヌ/ジューリム「(・・4か所・・)」
バレフの話を聞いてロレーヌとジューリムが
考え込んでいると、ミノアが素直な言葉を発する。
「ミスは誰にでも起き得る事、何か知らないけど最悪の事態にならなくて良かったね、でも・・」
ミノアは自分の書いた略図を開きながら続ける。
「僕が見つけた魔獣の巣は6か所あったよ」
「ん!?そうなのか?」
バレフは驚愕の声を上げ、
ミノアの書いた魔獣の巣位置関係を確認する。
「こことここ・・50km以上離れた位置にある2か所は調査の範囲外、おそらくここ以外の4か所を指していたのだろう・・ここの2か所は見落としやミスに問えないだろう・・」
「あぁそういう事か、だったらインベル社さんに関係ない場所だね」
ミノアが素直にそういうと
ジューリムがロレーヌに目配りをする。
それに気づいたロレーヌは軽く頷いて
バレフに語り出す。
「・・インベル社の主張は解りました、早速ですがこちらから今回の件についてご説明させてもらいます」
「よろしく頼む」
ロレーヌは開かれた地図に視線を移し続ける。
「最初にこことここ・・先ほど関係無いと言われた2か所の説明から・・」
「ん?何故だ?・・そこの説明は不要のはずだが?」
怪訝な表情で見つめるバレフにロレーヌは答える。
「事態の全貌を把握する上で避けては通れないからです・・」
「・・・」
バレフは苛立ち、少し怒った表情を向ける。
それを見てミノアが言う。
「調査範囲は50km以内だったよ、僕はたまたま見えたから取り合えずここに書いたけど、インベル社の人は関係ないんじゃないの?」
それを受けジューリムが答えるように語り出す。
「ファーガソン様・・我々は言われ無き責任までもインベル社に押し付ける事は致しません、まずは話しを聞いてもらえないでしょうか?」
ロレーヌも続ける。
「あなたが正義感の強い人物だと感じています、だからこそ私も話しをしようと思いました・・聞いてもらえますでしょうか?」
バレフはゆっくりと目を閉じると答える。
「・・わかった・・まずは話しを聞こう・・」
「続けます」
ロレーヌは再度地図に視線を向ける。
「まずこの西北西51.85km・・ここにいるリカーリオンと呼ばれる犬魔獣ですが、俗に言う一般魔獣ではなく、本来このような場所に巣を形成する種ではありません」
「ファーガソン様は魔獣の生態についてお詳しいですか?」
ジューリムがロレーヌの話しを補足するように
質問を飛ばすとバレフは申し訳なさそうに答える。
「・・いや・・魔獣の生態に関しては正直疎い方だ・・」
それを聞きロレーヌは続ける。
「・・一般魔獣とは最大レベルも低く、人間の生活圏にも容易に入ってくる魔獣で冒険者などの低ランク任務の討伐対象としてよく見かけます、しかしこのリカーリオンはそうではありません、人間の生活圏内100km以内で見かける事は少ないです、群れとなるとなおさらです・・」
「・・・」
静かに話を聞くバレフに
ロレーヌは続ける。
「・・では何故ここにリカーリオンの巣があるのか・・それは良質な餌場が近くにあるからです」
「餌場?」
ロレーヌは頷き続ける。
「リカーリオンの巣を中心に、一般魔獣の巣・・こことここ・・ロールオータトルとクイックリザドの巣があります・・」
ロレーヌはミノアの書いた略図の①と③を指し続ける。
「リカーリオンは一般魔獣と比べると繁殖力は低いです、しかし既に8匹の群れとなっています・・この規模になる為には、およそ6週間・・それは南南東50.79kmの野牛ボアヘッドも同だと言えます・・・」
バレフはここまでの話の流れから
ロレーヌの言いたい事を悟り、
口を開く。
「・・こ、この・・リカーリオンや野牛ボアヘッドは、危険な魔獣なのか?・・」
「危険です・・」
ジューリムが即答すると、
ロレーヌが補足する。
「リカーリオンは簡単に人間を襲います・・個体のレベルも低くなく、リーダーの統率力も高い為、群れとなるとかなり危険な魔獣しかし、それ以上に・・野牛ボアヘッド・・」
ロレーヌは南側の⑤を指し続ける。
「・・ここはかなり危険な状態でした・・」
「そ、それは・・」
バレフが恐る恐る質問すると
ジューリムが答える様に語りだす。
「野牛ボアヘッドは暴食で有名です・・おそらく、後1週間もすればその個体数も増え、餌場を食い尽くしていたでしょう・・そうなれば次のえさ場を探す・・私の管理する黒岩野営地が標的になっていた可能性が高い・・・」
「・・・そうか・・・」
バレフは納得した表情を浮かべ続ける。
「たしかに、範囲外とは言えインベル社のミスに無関係とは言えないな・・調査範囲の魔獣の巣を見落としてしまったために、更に危険魔獣を呼び寄せてしまった・・その責任は大きい・・話を聞きに来て正解だったようだな・・・」
ロレーヌ/ジューリム「・・・」
バレフは続ける。
「しかし運が良かった、ここまで切迫していた状況だったとは・・本来なら来週末にインベル社が調査に出る予定だったと聞いている、その時には手遅れだったかもしれない・・重ねて礼を言わせてもらう・・」
バレフが深々と頭を下げると、
ロレーヌはバレフの肩に手を添える。
「ファーガソン様、話しはまだ終わっていません・・頭をお上げください・・」
「ん?」
バレフが体を起こし困惑した表情を浮かべると
ジューリムが視線を向ける。
「・・今日・・本来の期間より前倒しでインベル社以外の会社へ調査依頼を出したのは、たまたま運が良かったわけではありません・・・」
「そ、それはどう言う・・」
ロレーヌが続ける。
「ファーガソン様の中で“ミス”である事が前提のようですが、仮に今回の件を“ミス”であると考えるなら、少なくとも3回の調査で立て続けに起きていたことになります・・」
「何だと!?ふざけたことを言うな!前回は3週前、前々回は7週前だぞ!」
バレフはミノアの書いた略図の①を指さし続ける。
「魔獣の生態に疎いと言ったが、この規模になる為には6~7週ほどだという事ぐらいは知っているぞ!3回前は11週も前の話!有りえないだろ!」
正義感から激高するバレフに、
ロレーヌは静かに言う。
「ご説明いたします」
「これ以上何を聞けと言うのだ!」
バレフが立ち上がると、ジューリムが静かに語りだす。
「ファーガソン様、私が前倒しでインベル社以外に調査を依頼したのは、カイファス所長の“不正”を懸念したからです・・たまたま運良く、このタイミングで明るみになったと言う訳ではありません・・」
「ふ、不正?・・・」
「・・話を聞き、ファーガソン様が然るべき判断してください」
「・・・」
絶句するバレフにロレーヌが言う。
「・・話を続けます・・」
それを受けバレフが座ると、
ロレーヌは続ける。
「・・私も、3回も立て続けにインベル社が見落としていた“ミス”だとは考えていません・・私はカイファス所長が何をし何を考えていたのか、容易に想像できます・・これは“ミス”ではなく“不正行為”です」
「くっ!!」
ロレーヌが断言した事に、
バレフは言い返そうとしたが、グッと堪えた。
「ファーガソン様がおっしゃったように、ロールオータトルがこの規模になるまでに6週間はかかります、しかしそれは、ある条件が前提です」
「条件?・・」
ロレーヌは頷き続ける。
「・・先ほどリカーリオンがここへ根付いた理由はご説明しました、それは野牛ボアヘッドも同じ・・近くに餌場があったからです・・」
「それはすでに聞いている、インベル社の“ミス”で招いた危機だと私も認めている事だ」
「・・・あったんです、そこに餌場が・・だからリカーリオンはそこに巣を作り、群れとなったんです・・」
「何なのだ!要領が得ないぞ!何を言いたいのだ!」
「・・つまり、リカーリオンがそこに巣を作ろうと考えた6週間前には、すでに巣があったんです、良質な餌場に見えるほどの巣が・・」
「な・・・」
ロレーヌの言いたい事がぼんやりと
見えだしたバレフが絶句する中、
ロレーヌは続ける。
「ロールオータトル等の一般魔獣がこの場所に巣を作りだしたのが、リカーリオンと同じ6週間前だとは考えにくい・・そのころはまだ巣になりうるかどうかの予兆に過ぎない状況・・とてもリカーリオンが住み着く環境には程遠かったはずです・・」
「それを裏付ける根拠はまだあります、そもそも一般魔獣は外敵の居ない環境で巣を形成します、同じころ野牛ボアヘッドが近くをうろついていたら、とてもじゃないが巣を作る事はしない・・」
ジューリムが追従すると、
ロレーヌが続ける。
「リカーリオンや野牛ボアヘッドがそこに根付くよりもはるか前には巣を形成していた、恐らく今ぐらいの規模で既に巣があったと考えられます」
「既に・・群れを成していたからこそ・・餌場だった・・・」
バレフが呟くように言うと、
答える様にロレーヌは続ける。
「リカーリオンが巣を形成しようと考えた6週間前、既に6週間は経過していたであろう一般魔獣の巣があったんです・・さかのぼる事12週間前、そのとき最初の予兆はあったと考えます・・」
「・・3回前・・前々々回は11週前・・その時から見落としを・・・」
ジューリムが語りだす。
「仮に・・仮に見落とし“ミスだった”としても、インベル社に今後仕事を任せる気にはなりません・・今回の件は運が良かった、リカーリオンや野牛ボアヘッドが住み着いていなかったら“先週”の段階で黒岩野営地は消滅していた・・」
「き、危険な魔獣が住み着いたことが?・・運が良かった?・・」
バレフの疑問に答えるよう、
ロレーヌが追従する。
「そうです・・リカーリオンや野牛ボアヘッドは一般魔獣にとって外敵です、リカーリオンの群れのリーダーは既にリコーリオンへ進化し145LVを超えています、これが何を意味するのか・・この個体に関しては他の魔獣を50体以上捕食している事の証明になります・・」
「先ほど暴食だと説明した野牛ボアヘッド側も同じことが言えます・・8体のボアヘッドの餌場であるなら、最近までこの倍は居たはずです・・先ほどロレーヌ所長が言ったある条件とはこの事・・外敵が居ない場合・・」
「・・・」
ジューリムの補足を聞いて絶句するバレフに
ロレーヌは続ける。
「繁殖力の高い一般魔獣が、外敵の居ない状況で放置されていたら・・もし仮にリカーリオン達がここに巣を作って居なかったら・・・その場合おそらく今の3倍の数に上り、人間の生活圏へ侵入・・人を襲っていたでしょう・・・」
「・・・何という事だ・・」
バレフが頭を抱える中
ジューリムが語りだす。
「その危機的状況・・今日まで運良く起きなかったその危機的な状況は・・“ミス”によるものではなく作為の有る“不正”によるもの・・」
「・・ほ、本当なのか・・カイファス所長の不正とは何なのだ・・・」
「では、その説明を致します・・」
ロレーヌはそう言うと、
ジューリムに視線を移した。
「・・・」
ジューリムが頷くのを見て、
ロレーヌは語りだす。
「ファーガソン様は“オクシリアム”と言うマーケットをご存知ですか?」
「“オクシリアム”・・あぁ知っている、アウトロー集団が結成した闇市・・ブラックマーケットの総称だと聞いている・・」
ナトス「(アウトロー・・闇市・・)」
「おっしゃる通りです、元々“テネブァ”と呼ばれるアウトローファミリーが、冒険者を対象に魔獣の買取をしていたのが始まりと言われています」
「悪名高き“テネブァ”も知っている・・二年前“リベロット”が鳴りを潜めた頃、頭角を現したアウトロー組織・・しかし、それらの組織が何の関係が?」
「・・3週間前の調査の時、インベル社は3か所の魔獣の巣を見つけたとして、20体以上の魔獣を討伐、報告しています・・それは本当に黒岩野営地周辺に居た魔獣なのでしょうか・・・」
「・・どういう意味だ」
「“オクシリアム”は一部の冒険者から魔獣の死体を買い取ります・・・Cランク以下の冒険者パーティーが遺跡やデンスティアから魔獣を持ち帰った場合、規程の世界冒険者協会が管轄する解体買取に出すとどうなるかご存知ですか?」
「あぁ、それは知っている、正規価格の20%ほどでしか買取されないはずだ、ほかでもない我々政活者で整備した規程・・力のない冒険者が金に目がくらみ、むやみやたらと危険な遺跡にアタックしないようする為にな・・」
「“オクシリアム”はそれを正規の70%で買い取ります」
「なんだと!?」
「それだけではありません、損傷がひどく、世界冒険者協会の解体買取に出すと500レアリーにしかならないような状態でも5000レアリーの値は付きます、それは独自の販売ルートがあるからです」
「販・・う、売り先・・」
ロレーヌはジューリムに質問を飛ばす。
「ジューリムさん、調査任務後の派生任務、殲滅対象の魔獣は、提出される際の状態に取り決めなどはありますか?」
「特段ない、“調査報告”にある魔獣なら如何なる状態でも死んでいれば殲滅任務完了となり報酬が支払われる」
ロレーヌはバレフに視線を向け続ける。
「ファーガソン様・・これは調査任務と殲滅任務を一本化するとことで容易に想像つく不正の形です・・インベル社は真面に調査をしていません、調査した振りをして、事前に買い付けておいた魔獣を“調査報告”に記載すればいいだけ・・それだけで殲滅任務の報酬に化ける・・」
「ちょ、ちょっと待て・・証拠は、証拠はあるのか?」
「物的な証拠はありません・・しかし状況から見る限り、少なくとも真面目に調査していないのは間違いないのです、ちゃんと調査していれば3回も立て続けに魔獣の巣を見落とすとは思えません、どこかで必ず気付けたはずです・・」
「・・それはそうだとは思うが・・・」
「“調査していない”と考えるなら逆に不自然です、前回の調査の時20体以上の魔獣をどうやって見つけたのかと疑問に感じます・・」
「・・・」
絶句するバレフにジューリムが語りだす。
「世界冒険者協会の情報網に、カイファス所長と“ピスキー”の関係を疑わせる話が入りました・・それを受けヴィーロ局長に相談し、今回S&S社に依頼したのです・・」
「“ピスキー”・・アウトローファミリーの一つ・・・」
「そして“オクシリアム”の構成組織の一つです」
「・・・」
言葉が出ないバレフにロレーヌが語りだす。
「・・数年前は真面目に調査任務をしていたのでしょう、15万レアリーで割のいい仕事ではないですが、首都の安全にかかわる業務としてしっかりと遂行していたはずです・・しかし、ある時気付いてしまう、調査の際異常を発見し派生任務が発令・・それをインベル社が受注し気付いてしまったんです・・“これは金になる”と・・」
「すぐに悪魔の発想が生まれたのでしょう・・“巣が育ったほうがもうけるのでは?”とね」
「ま、まさか・・・」
ジューリムの追従を聞いてバレフが狼狽える。
それにこたえるようにロレーヌが続ける。
「・・そのまさかです、殲滅対象の魔獣が多いと報酬が大きくなるのは明白・・インベル社は意図的に魔獣の予兆を見逃し育つのを待つようにしていたんです、しかしその場合、今までよりも殲滅任務の発生回数が減り、一回の殲滅任務における魔獣の数が増えることになる、過去のデータと見比べたら違和感になります、そこで・・合間に入れ込んだんです・・“オクシリアム”から魔獣を買い取り小規模の魔獣の巣、殲滅任務を・・そのほうが魔獣の発生自体が活発になっているように見えますから・・・」
アウトロー
〇ピスキー
バーゲルをリーダーとしたアウトローファミリー。
〇テネブァ
アウトロー組織オクシリアムを作ったアウトローファミリー
〇オクシリアム
テネブァを中心に結成された組織。ブラックマーケットの総称。
犯罪行為を引き受け、闇市として違法な売買を行っている。
匿名性も高く、世界中に権力者をはじめ一般的な組織や個人までも利用者が居る。
リベロットが鳴りを潜めたのを良いことに台頭し、犯罪組織として警戒されている。




