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呪詛①

~S&S社・屋上~


ミノアとロレーヌが瞬間移動で、到達する。

「あれ?兄さんとお姉が居ないみたい・・」

ロレーヌがリビングに視線を移すと、

本を開き勉強するようなミュウを見つける。

「ミュウは居るみたいね・・」

すると背後にナトスとソロルが瞬間移動で現れる。

「どっか行ってたの?」

「ピューちゃんを送って来た」

「おかえり&ただいまー」

ソロルが明るく付け加えると

ナトスは続ける。

「そう言うお前の仕事は終わったのか?」

「終わったわよ、私達も今帰ってきたところ」

ミノアの代わりにロレーヌが答えると

リビングに視線を向け続ける。

「コーヒーでも飲む?」

「あっ、私淹れますよ」

『少し良いか?』

『ん?』

「ピューネちゃんはどうだったの?」

「すごく喜んでましたよ」

ロレーヌとソロルが雑談しつつ

リビングに向かう中、

ナトスはミノアを念話で引き留めた。


コトン、コトン。

「はいどうぞ、ミュウの分もあるよ」

「頂くのです」

ソロルとロレーヌは

笑顔でコーヒーを飲むミュウから

屋上へ視線を移した。

そこにはナトスとミノアが居る。

「何か話してんだか・・」

「コーヒー冷めちゃう・・」


「え!?レイコ・シブサワ!?」

ミノアが驚愕の声をあげると、

ナトスは頷き続ける。

「・・ミノアもこの名の響きに思うところありか・・」

「思う所も何も・・それって・・・」

そのまま絶句してしまったミノアに

ナトスは続ける。

「・・先ほどノウビシウム邸で、その人物に会った・・」


~回想~

ノウビシウム邸の一室。

その部屋を見たピューネが目を輝かせる。

「わぁぁ・・」

「どうピューネちゃん♪部屋にある物好きに使っていいからね♪」

ソロルが笑顔でピューネに言うと

申し訳なさそうにピューネが呟く。

「・・で、でも・・ソロルお姉さんが使ってた部屋・・」

「いーのいーの♪この鏡台もベットも今日からピューネちゃんの物、自分の好きに模様替えしたって誰も文句言わないし♪」

それを聞いたピューネが再度目を輝かせると、

扉の前に居たオフィームが声をかける。

「皆様にご紹介したい者がおります」

室内にいたソロルとピューネ、ナトスが

その声に視線を向けると、オフィームの後ろから

女執事が現れる。

扉の前で一礼したその女執事は、

一歩部屋の中へ入り続けた。

「サキュリフィー邸よりテナクス王将の命を受け、ピューネ・ノウビシウム様の専属執事となりました“レイコ・シブサワ”と申します」

ナトス「!?」

「専属?」

ソロルがそう呟くと、

それに答える様にレイコが続ける。

「はい。ノウビシウム邸には有能な執事がおりますが、ピューネ様が女性である事への配慮と安全に安心して暮らせるようにと・・念には念をっと言った所でしょうか・・」

レイコはそのままピューネに近付き、膝をつく。

ピューネの目線に合わせ続ける。

「よろしくお願いしますね、ピューネ様」

「・・は、はい・・」

様を付けられ少し照れながらピューネが答えると、

ナトスが質問を飛ばした。

「立ち居振る舞いから、オフィームさんと同格の“護衛”と見受けました・・・ちなみに出身地、国はどちらに?」

オフィーム「・・・」

レイコはスッと立ち上がるとナトスに視線を向ける。

「ナトス様ですね。ノウビシウム家当主よりあなた様からの質問には素直に答えるよう申し受けております。チャチェー国首都チャカロ出身です」

「・・シブサワと言う家名がある事から、チャチェー国の、所謂上流階級で?・・」

「そう言うわけではありません、チャチェー国で家名は一般的な物です。すべての国民に家名が存在します」

「・・・」

レイコの回答を得たナトスが、

何かを考えているようなそぶりを見せると、

オフィームが追従する。

「ご安心ください、レイコも私と同じ特殊な教育機関の出身、その風貌からは想像も出来ない強い力を有します・・まっ、ナトス様を相手取っては、説得力の欠片もございませんが・・・」

「・・いえ、そこに疑問を持ったわけでは・・」

オフィームの言葉を聞いて

ナトスがそう答えると、

レイコに視線を移し続けた。

「最後に一つだけお聞きしたい・・“ジングウジ”と言う家名をご存知で?」

「・・いえ、お会いした事もございません」

ナトス「・・・」

~回想終~


「そっかぁ・・この世界に神宮寺さんは居ないんだね」

ナトスの話を聞いてミノアが素直にそう言うと

ナトスは笑みを浮かべて答える。

「いやいや、その逆だ・・ジングウジと言う家名はおそらく存在する」

「え?・・だってレイコさんは知らないって言ったんじゃないの?」

「まぁ、そうだな・・シェンター殿の言いつけも有り嘘はつかないだろう」

「じゃぁなおさらじゃない?何で居るってなるの?」

「・・・曲解と歪曲・・」

「??」

「彼女の回答の仕方だよ“あった事が無い”と言っただけだろ?」

要領を得ないミノアに、

ナトスは続ける。

「彼女は当主の言いつけ通り嘘は付けなかった・・もし仮にジングウジが存在しないとするなら、どう答える?普通なら“いえ、聞いたこともございません”って言わないか?」

「まぁ確かに・・」

「・・俺の質問“知って居るか?”を自分の中で曲解させたんだ・・文字通り“知り合いか?”とね・・そしてその曲解させた質問に正直に答えた、知り合いではない、あった事も無いのだからと、その言い方は事実を歪曲させる・・存在しないと受け取れる答え方・・」

「な、何でそんな事を?・・」

「・・・おそらく俺がそのまま突っ込んでいたらジングウジと言う家名が存在する事は認めていただろう、しかし意図をもって隠そうとした以上聞くまでもない・・この世界メジューワにおいても神宮寺は重要な裏がある・・それだけで十分な情報・・」

「・・33番目の世界“シキ島”・・僕たちの居た世界との繋がり・・」

「・・そして神と呼ばれる存在、女神の本質・・・」

「・・神仏しゅ・・」

ナトス/ミノア「ん?」

ソロル「あんた達、コーヒー冷めるわよー」

ナトス達が何かに気付いたそぶりを見せた時

ソロルの呼ぶ声が響く。

「うん、すぐ行くよ~・・でも・・」

ミノアが返答すると、

リビングに近付き続ける。

「お客さんみたいだよ」


~リベロット本拠地~


どこかに存在する犯罪組織リベロットの本拠地。

両手が黒く変色した数人の人間が

魔石の加工をしている。

その部屋の隅に両膝を抱え

うずくまる若い女性がいた。

焦燥し疲れ切った表情の女性は、

魔石加工をしている中年の男性を

呆然と見つめる。

「・・・(魔石加工・・・あの男性は・・確か・・)」


~回想~


クヨトウ西街、老夫婦の家。

猿轡をされ、後ろ手に縛られたテレサは

無理やり立たされる。

「転移の魔導具で本拠地に飛びやすよ」

「準備は良いですかねTの旦那・・」

「・・気は乗らねぇけどな・・いつでも良い・・」

オルガとウルガの声掛けに

アキトが答えると赤い魔方陣が浮かぶ。


リベロット本拠地。

恐怖で涙を浮かべるテレサの前には、

Zが座っている。

「・・面白い事をやってくれるな・・R・・」

Zがそう呟くとウルガことUが進言する。

「どうしやすかZ、こいつの技術力はわかったもんじゃないでやす」

「Rの旦那はああ言いやしたが、材料に回しやすか?」

「・・・」

Zは無言のままテレサを見据える。

テレサの表情はさらに恐怖で歪む。

「・・・T、この女にここを案内しろ」

「(ゲ!・・またあの光景を!?・・)わ、わかりました・・)」

「加工部屋へ連れて行きナトゥラの下に付けろ・・」

O/U/T「承知・・」


加工部屋の扉から、テレサが押し込まれる。

「おら、ここがお前の仕事場だ!」

オルガに手荒に扱われたテレサは

力なく倒れ込む。

「うぅ・・」

焦燥し動かないテレサを見た、

加工部屋に居た中年の男は

直ぐにテレサへ駆け寄る。

「大丈夫か君!?」

それを見たアキトが男に言う。

「あんたの弟子だとよ、しっかり面倒見ろよ」

それだけ言い放ち立ち去ろうとするアキトに

中年の男は怒鳴る。

「まだ子供じゃないか!!何故こんな事が出来る!!」

それを無視し出て行ったアキトに代わり

オルガが割って入る。

「落ち着けナトゥラ、そんなに興奮すると大変な事になりやすよ・・」

「お前ら!!」

ナトゥラと呼ばれた中年の男性が、

激高しオルガに詰め寄ろうとしたとき

異変が起きる。

「!!ぐぁ・・」

黒く変色したナトゥラの両腕から

黒い靄が湧き出て、苦しみだす。

「言わんこっちゃない・・」

オルガがそう呟くとウルガが続く。

「何してるキヨミ!さっさとするでやす!」

「は、はい・・」

キヨミと呼ばれた若い女性は

慌ててナトゥラに駆け寄り、

直ぐに技能を発動させる。

「治癒魔法・呪!!・・」

光に包まれるナトゥラの両腕から

黒い靄が飛散していく。

侵食するように広がっていた

両腕の黒い変色も一定の位置で

落ち着いていった。

「・・・」

テレサはただただその光景を眺めていた。


~回想終~


テレサはここへ来て初めて人間味を感じた

そのナトゥラを呆然と眺めていた。

「・・・!?」

テレサは魔石加工を行うナトゥラの

姿勢・振る舞いに、一瞬ある人物が重なる。

「(師匠?・・・)」

「大丈夫?」

突然声をかけられたテレサは

その声の主に視線を向ける。

声をかけた若い女性はそのままテレサの横に

腰を掛けた。

「・・同い年ぐらいだよね?・・私はキヨミ・テラウチ・・あなたは?」

「・・・テレサ・・」

「そっか・・テレサはいくつなの?私は17歳だよ・・」

テレサは努めて明るく振舞おうとするキヨミに

視線を向ける。

「・・私も17歳だよ・・」

カチャ・・

加工部屋の扉が開く音が聞こえ

テレサたちは視線を向ける。

男「おら、しっかり頑張れよ!」

壮年の女性「・・・」

男は壮年の女性を加工部屋に押し込むと

扉を閉ざす。

女性が涙を浮かべているように見えた

テレサが呟く。

「・・泣いてるみたい・・」

「あの人は先月ここへ連れてこられた魔石加工士・・今息子さんに面会してたんだと思う・・」

「面会?」

キヨミは加工部屋に居る数人の魔石加工士に視線を向け

答えるように語り出す。

「ここに居る魔石加工士さんたちは、みんな大事な家族を人質に取られてる・・強制的に働かされてるの・・リベロットの魔導具を作る為に・・」

「ひ、人質!?」

「うん・・さっきテレサが見てたあの男性、ナトゥラさんも奥さんを人質に取られてる・・」

「・・・」

テレサは再度ナトゥラに視線を向ける。

「ナトゥラさんがこの中で一番長いみたい・・両腕の黒い変色・・一番広いでしょ?あれは呪いなの・・」

「呪い!?」

「・・今みんなが加工してる魔石・・あれは人工的に作られた物・・人間から作られた呪われた魔石・・」

「・・・」

テレサはアキトに本拠地を案内されたときに

見た光景を思い出す。

「・・呪われた魔石を触れ続けると呪いが伝染するの・・私は魔石加工士じゃなくて治癒士・・みんなの呪いの進行を抑えるためにここに居る・・」

「・・・」

テレサはナトゥラの両腕から噴き出た黒い靄を

キヨミが抑え込んだのを思い出す。

「テレサは・・魔石加工士?・・だよね?・・」

「・・・ナトゥラさん?・・から技術を学べって・・」

「そっか・・」

キヨミはそういうと立ち上がる。

テレサは立ち去ろうとするキヨミに

疑問を投げかける。

「・・キヨミも家族を人質に取られてるの?・・・」

「・・・」

キヨミは立ち止まると、振り返り

その問いに答えるように語る。

「私は・・売られたの・・家族に」


キャラ紹介

〇ハレル・ローリード

ナトゥラと呼ばれる人物に魔導士として弟子入り。

魔石加工の分野で高度な技術を持ち「HLL」と言うメーカーを立ち上げている。


〇ナトゥラ

高名な魔導士で魔導具分野におけるスペシャリスト。

テナクス王将の魔導具、大楯を作成した人物。

現在はリベロットで強制労働を強いられており、妻を人質に取られている。


〇キヨミ・テラウチ

治癒士の女性で傷などの治癒より呪詛の治癒に長けている。

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