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五感②

~大岩頂上から200m上空(地上から215m)~


ミノアは空中で停滞すると、

南側を向き青白く光る両目を見開いた。

「・・(マジかぁ・・ちょっと数も種類も多くて覚えきれない・・・)」

ミノアはそのまま南西側、樹海の方角へ旋回していく。

「・・(こっちは樹海に入るために人通りがあるんだね・・異常なしっと・・)」

ミノアはそのまま時計回りで西側を向く。

「あ・・(異常あり・・はは、やっぱり一つ一つ覚えるのは無理だ・・この視界を一枚の写真みたいに記憶しよう・・)」

ミノアはパチッと瞬きをすると、そのまま北西側に向きを変える。

「・・・」

ミノアはパチッと瞬きをすると、北側に向きを変える。

「・・(異常なし・・)」

そして北東側、首都クヨトウ側に視線を向ける。

「(こっちも異常なしか・・クヨトウからここまで人の出入りが多そうだし・・それに30km付近がクヨトウの入り口、50kmだともう街中だね・・)」

ミノアは東側を向く。

「・・・(異常なし)」

ミノアは続けて南東側へを向き

パチッと瞬きをした。

最後に最初に見ていた南側に視線を移し

パチッと瞬きをすると

急降下を始める。

「よっと・・」

大岩の頂上へ降り立ったミノアは、

呆然と立ち尽くすロレーヌへ笑顔を向ける。

「調査完了したよ♪」

「・・・」

「紙とペンみたいなのある?」

「へ?」


~黒岩野営地管理テント~


ジューリムは南本店へ帰る前に

ギルド組合から派遣されている

女性冒険者と引継ぎをしていた。

「・・っと言うことで、予定通りこのパーティーは朝出立している」

ジューリムがそう言うと女性冒険者は

資料を手に質問をする。

「・・このパーティーは戻りが今日の朝となっていますがどうなっていますか?」

「あぁこいつらは予定より早く戻ってきたようだ、報告では深夜3時ごろ、まだテントで寝ている、先ほど私自身で確認済みだ」

「ふむふむ、了解です・・問題無しですね・・よしよし・・」

資料に穴が開くほど見入る女性冒険者に

ジューリムは語り掛ける。

「・・アンセラ、やはり事件の事を気に病んでいるな?」

「え・・そりゃまぁ・・当たり前です・・おそらく最後に言葉を交わしたのは私です・・引き留められたのではって、考えてしまいます・・」

「・・・ジョー・テンレス・・たとえアンセラが引き留めたところで止まることはなかったさ、彼はそういうリーダーだった・・・そういうパーティーだった」

「・・・」

「あぁ、そうだそうだ・・アンセラは世界冒険者協会認定調査員を知っているか?」

空気を嫌ったジューリムが突然質問を飛ばすと

困惑した表情でアンセラが答える。

「・・認定調査員・・ですか?都市伝説とか陰謀説とか、その手の話によく出てくる?」

「ははは♪まぁーそうだな・・各種分野、あらゆる業界・・その中で突出した能力を持った人物が選任されると言われる、その認定調査員だ」

「・・そういう“設定”なのは聞いたことありますけど・・」

「せ、設定?・・」

「あとは傲慢で横柄だとか肩書特権を乱用するとか目を付けられると街中歩けなくなるとか・・色々・・」

「あ、あぁ・・“設定”ね・・」

ジューリムが苦笑いを浮かべると

アンセラは質問を投げかける。

「・・でも、その認定調査員がどうかしたんですか?」

「・・・ジョーパーティーが失踪した事件、それを解決した民間会社の調査員に、その資格を持つ人物が居たんだ」

「えぇ!?」

「捜査課が魔獣被害、事故と断定し、ギルド経由でアキトパーティーが捜索に出た・・高レベルの魔獣報告とそのメンバーが行方知れずと聞いた時、正直・・ジョーたちの遺体も見つからないだろうと思っていた・・しかしどうだ?実際は人的被害事件だった、戻らぬと思われた遺体も見つかりましてや生存したメンバーまで保護されている・・犯人も既に確保され解決をみた・・俄かに信じられんと思っていたが、認定調査員がかかわったと知って妙に納得してしまったよ・・」

「じ、実在するんですね・・本当に・・」

ジューリムは薄笑みを浮かべ続ける。

「ふ・・何を隠そう俺は今しがた彼に会い、握手まで交わしたぞ!」

「えー!!・・マァ!?」

「その民間会社の名はS&S社・・」

「エ、S・・」

アンセラは何かに気付いたように

引継ぎ資料視線を移す。

「・・今回の周辺調査を受注した会社・・・」

「そうだ」

アンセラは慌てた様子で続ける。

「これってついさっきの事ですよね!?じゃ、じゃぁまだこの辺に居るんじゃ・・」

アンセラはそれらしい人物を探そうと

キョロキョロとあたりを見まわした。

「ん?」

すると何かに気付き一点を見つめる。

「あぁ間違いなく近くにいるだろう」

ジューリムが得意げに返答する中、

アンセラは立ち上がり声をかけた。

ガタ。

「何か御用ですか?」

「今頃調査に出る準備を・・ん?」

ジューリムはアンセラの動きと言葉に疑問を持ち

アンセラの顔を見た。

その視線は自分の背後に向いていて、

それにつられるように振り返る。

「おぉ、今まさに話をしていたところだった」

そこには笑顔のミノアと、

真剣な表情のロレーヌが立っていた。

緊迫した雰囲気のあるロレーヌに

少し違和感を覚えたが、

ジューリムは立ち上がると

アンセラへ声をかける。

「この二人がS&S社のロレーヌ所長とミノア殿だ」

「う、嘘、ってことは・・」

アンセラは慌てて姿勢を正すと、

笑顔でたたずむ若そうなミノアではなく

険しい表情のロレーヌへ視線を向ける。

「ん?」

アンセラの視線に気づいたロレーヌと目が合った

アンセラはさらに慌てて挨拶を始める。

「はっ!えっと、あ・・リデニア国Ⅽランク冒険者、アンセラ・プランプと申します!ク、クヨトウ地区ギルド組合の職員も兼務していて・・」

ジューリム「アンセラ・・」

「そ、その・・微力ではありますが協力は惜しみません!何でも申し・・」

「おい、アンセラ!」

「・・え?」

ジューリムがアンセラを落ち着かせるように

呼びかけると、やっと反応を示す。

そしてジューリムは続ける。

「落ち着けアンセラ、彼女は所長のロレーヌ、認定調査員は彼の方だ、それと・・その設定は忘れろ・・」

ミノア「(設定??)」

「彼はミノア殿、そのような物の言い方が苦手らしい、普通の接し方の方が良いだろ・・」

「苦手??」

アンセラが不思議そうな顔で

ミノアに視線を移すと、

少し苛立ったようなロレーヌが口をはさむ。

「そろそろいいかしら?早急に報告したいんだけど・・」

「報告?なんのだ?何か確認したいことがあり戻ってきたのではないのか?」

ジューリムが素直な疑問の声を上げると

ロレーヌは手に持っていた紙を開き

机に置きながら言い放った。

「調査が完了したの!これが報告よ」

「なんだって?・・・!!?これは・・」

「っ!!?」

ジューリムは疑問の声を上げたが、

机に広げられた紙を見て言葉を失う。

その紙が何を意味しているのか

直ぐに理解できたアンセラも

同じく言葉を失った。

「落ち着いて報告したいの、座ってもらえる?」

ロレーヌが促すと、

ジューリムもアンセラも無言のまま座った。

ジューリムの隣にミノアが座ると、

アンセラの隣に回り込んだロレーヌも

着席する。

そしてある部分を指でトントンと指しながら

続けた。

「ここ・・・はっきり言ってヤバいわよ・・・あとここもね・・」

ロレーヌが別の所に指を動かすと、

魔獣の生態系に詳しいジューリムもアンセラも

ロレーヌの言いたいことに気づく。

ジューリム/アンセラ「・・・」

言葉が出ない二人を見て

ミノアが笑顔で説明を開始する。

「ははは、ごめん・・説明なしじゃよく解んないよね・・ここの真ん中にある黒い点が、ここ大岩の場所、周りに数字の①②③④⑤⑥って書いてあるでしょ?これは今実際にあの大岩の周りに矢印と一緒に書いてきました、その矢印の方向にひたすらまっすぐ進めば、紙に書いてある魔獣の巣があります、一応上の方角が北で下の方が南で書いてるのと、そこまでの距離も記載しているから迷わないとは思います」

ミノアが指を動かし説明した紙には

無数の魔獣の名前とレベルが記載されていた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

西へ37.45km①

ロールオータトル60Lv

ロールオータトル59Lv

ロールオータトル52Lv×5匹

ロールオータトル49Lv×5匹

ロールオータトル43Lv×15匹

ロールオータトル40Lv×5匹


西北西へ51.85km②

リコーリオン145Lv

リカーリオン105Lv

リカーリオン100Lv

リカーリオン97Lv×2匹

リカーリオン90Lv×3匹


北西へ43.69km③

クイックリザド50Lv

クイックリザド49Lv

クイックリザド42Lv×5匹

クイックリザド39Lv×4匹

クイックリザド32Lv×3匹


南へ45.36km④

ハードクロコディ50Lv

ハードクロコディ49Lv×2匹

ハードクロコディ43Lv×7匹

ハードクロコディ40Lv×3匹

ハードクロコディ37Lv×15匹


南南東へ50.79km⑤

野牛ボアヘッド120Lv

野牛ボアヘッド100Lv×5匹

野牛ボアヘッド90Lv×2匹


南東へ33.26km⑥

クロコストロンガー90Lv×20匹


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「他にもタトルスピンとかリザトプロンプとかいろんな魔獣が点在してたけど、住処みたいなものの近くで明らかに群れだって思えるところはこの6か所だけだったよ」

「こ・・こんなことが・・信じられない・・・」

ジューリムがそう呟くと、

ある事に気づいたアンセラが狼狽えつつ

手元の引継ぎ資料に視線を向ける。

「あ、あの・・ちょっと待ってください・・確かこの資料ではジューリムさんとS&S社が任務の確認を行ったのはつい先ほど・・30分もたっていないのでは?・・そんな短い時間で今回の調査範囲すべてを完了させたってことですか?・・・」

「・・え?・・・な、なんだ・・」

ジューリムはアンセラの言葉をよく言いていなかった。

いや、既に頭の中は当初からあったある懸念でいっぱいになり、

アンセラの言葉を聞く余裕がなくなっていた。

ミノアはあまりにも調査が早く終わったことで

真面目にしていないと疑われたと感じ

素直に答える。

「ちゃんとこの目で視認し鑑定で確認もしました、信じて下さい」

「この情報は間違いないわ、私自身も②の場所へ直接確認しに行ったの」

「ん?いや、そういうわけではない・・」

ジューリムは誤解されたことに気づき語りだす。

「そもそも世界冒険者協会認定調査員の情報だ、疑いの余地もない、寧ろこの情報を真として見ているからこそ、ある疑念・・不安を抱えたに過ぎない」

その様子を見ていたロレーヌが呟くように言う。

「やっぱり・・何かあるのね?」

「・・・」

何も言わないジューリムへ

ロレーヌは続ける。

「インベル社と揉めていた時、ジューリムさんは何も知らないと言ってたけど本当は裏があった・・そのあとに私と話してた時違和感があったの・・・インベル社がこの仕事にこだわった理由・・“利権”じゃないんじゃない?」

ジューリムは一泊置いて語りだす。

「・・・S&S社ロレーヌ所長、その件に関しては御社の意見も聞きたいと思っている、後でそちらの会社へ出向くつもりだ・・今は、何においてもやらねばならない事がある・・」

その言葉を聞いたアンセラも続く。

「あっ!そうですよ!直ぐに派生任務に切り替えます」

「魔獣の巣殲滅依頼だ・・」

ジューリムはロレーヌに視線を向け続ける。

「・・どうする?話したとは思うがその任務S&S社に受注権がある、6か所の巣を殲滅、100を超える魔獣の討伐・・1300万レアリーを超える仕事だが・・・」

「パス、30分で15万・・調査任務だけで割は充分よ」

ジューリムはロレーヌの回答を聞いて

笑みを浮かべる。

「そうか、では公示手続きに入らせてもらう」

ロレーヌはすまし顔で、

“どうぞ”と、ジェスチャーを送った。


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