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魔導技術とお守り①

~異世界メジューワリデニア国首都クヨトウ南街~

~S&S社屋~

~食堂~


「よし、みんなは?準備良い?」

ピューネにネックレスを付けながら

ソロルが皆に声をかけた。

「いいぜ」

「付けたのです」

ユナとミュウがそう答えると、

皆と同じネックレスを付けた

ロレーヌも続けた。

「OKよ」

目の前には目隠しされたミノアが座らされており

それをアンプレスとナトスが見守っている。

「準備は良いは、ミノア目隠しを外して」

ソロルがそう言うと、

ミノアは目隠しを外し

ゆっくりと目を開けた。

「じゃぁ、鑑定で私達を見て・・」

「わ、わかった・・(鑑定!)」

驚いた表情でミノアが女性陣を見渡す。

「す、凄いや、本当に何も確認できない・・」

それを聞いたアンプレスとナトスも、

こっそり鑑定を発動させる。

アンプレス「(真鑑定すら防ぐか・・)」

ナトス「(・・魔道具・・・)」

ミノアの発言を聞いたミュウが言う。

「本当に防げているみたいなのです・・」

するとユナが、核となっている飾り部分に刻まれた

“HLL”のロゴに気付く。

「あっ、これって今評判の“ハレル”か?」

「そーよ!魔道具って当たり外れあるからさ、一番信頼おいてるブランド、HLLハレル製品よ♪」

得意げに言うソロルの言葉を聞いて

ミュウが続く。

「確かにすごいのです!あの凶悪極まりないミノアさんの鑑定を防ぐなんて凄すぎなのです!」

「(凶悪って・・普通の鑑定だと思うけどなぁ・・・)」

ミノアが苦笑いを受けべる中、

ユナが疑問を口にする。

「HLL製品って確か高かったんじゃなかったっけ?いいのか?買ってもらうのは申し訳ないんだけど」

「いーのいーの、ミノアがみんなに迷惑かけた以上私が責任取らないと」

「(か・・かけてないと思うけど・・)」

肩を落とすミノアを他所に、

ソロルは続ける。

「よし、じゃぁ私はおじいちゃんのところにピューネちゃん送ってくる」

ソロルはユナに視線を向け続ける。

「ユナは・・もう行くの?」

ユナは笑みを浮かべ答える。

「あぁ、準備もできてるしな・・」

ユナはみんなに視線を向け続ける。

「リーダーのソロルには話してたんだけど、2,3日実家に戻るんだ、見合いだなんだってよくない話だけどバシッと断ってすぐ戻ってくるから、それまで迷惑かけるけど・・ごめん」

ナトス「・・・」

「お見合い?いい話な気がするけど・・」

ミノアが素直な意見を言うと

ユナがウンザリしたように言う。

「まだまだそんな気がない私にはよくない話なの!」

「?」

頭に?を浮かべたミノアを他所に

ユナはアンプレスに話を振る。

「アンはどうするんだ?もし良かったらだけど、私が抜けてる間ソロルパーティーが活動できないのも申し訳ないし、アンをリーダーとした臨時パーティーで遺跡関連の任務を受けるとかも良いと思うんだけど・・」

ナトス「・・・」

その提案を聞いたアンプレスが残念そうに答える。

「実入りの少ない俺にとってはありがたい話ではあるが・・俺は俺でやる事があってな・・・それに、抜けるって言っても2,3日の話なんだろ?」

「え・・まぁ・・そうだけど・・アンのやりたいことってなんだよ」

「早々にA´(エープラスワン)になっておこうと思ってね・・」

それを聞いたソロルが呟くとミュウが続く。

「エープラスワンランク・・」

「武闘大会も近いのです、招集がかかる前にランクを上げておかないと出場する羽目になってしまうのです」

「まぁ、大会への参加云々はかまわないというか・・」

アンはミュウの言葉を微妙に否定しつつ、続ける。

「Sランクの挑戦者として出場したいんだ」


~クヨトウ公営ギルドA型事業局南支部~

~マスター室~


コンコンコン。

「お見えになりました」

トコーナが声をかけると、

ベネーが返事をする。

「どうぞお入りください」

トコーナが扉を開くと

後ろに居た男が帽子を取りながら

マスター室へ入っていく。

「マスタープルカーノ、朝早くから申し訳ない」

男がそう言うとベネーは頭を下げる。

「おはようございますオキーフ様、私もお話をお聞きしたいと思っておりましたので、わざわざお越しいただきありがとうございます」

ベネーの前に現れたのはコーディ・オキーフ。

王将官邸でソロル達に絡んだ政活者3人の内1人だった。

ベネーに促されソファーへ座ったコーディは、

目の前に座ったベネーへ目線を移す。

「マスタープルカーノが私と話したかった内容は、来月の大会の件ですよね?」

「おっしゃる通りです、今回の枠組みに追加されたCランク冒険者の推薦・・当ギルドと懇意にして頂いてるオキーフ様の意見をと・・」

それを聞いたオキーフは目の前のお茶を飲み、

答える様に語る。

「・・正直、政活者である私の元に今回の話が来た時、冒険者事情に詳しくない私にどうしろと思ったのですが・・実は今、政活者を中心に上流階級の中では、である話題が持ちきりです」

「ん?どういったおはなしでしょうか?・・推薦にかかわるお話ですよね?」

ベネーの疑問の声にコーディは頷き答える。

「先日、タービの遺跡が踏破されたという話です」

「!?」

「更にそれを成したパーティーの殆どがCランクだったというのです」

ベネーは一瞬狼狽えたが、すぐに落ち着いて答える。

「(遺跡踏破、消滅の話は誰にも話していないはず・・・)先日、隣の解体買取部署へ61体もの魔獣が持ち込まれました、それはタービの遺跡からの持ち込みで、4人中3人がCランクのパーティー・・」

「はっ!それです!」

コーディはベネーの言葉に反応すると、続ける。

「恥ずかしながらその者達の名前も知らず・・ただ、遺跡踏破の件が真実ならその者達を推薦しよと考えていたところでした」

「・・なるほど・・・」

ベネーはそれだけ言うと目の前のお茶を一口飲む。

「?」

コーディは遺跡踏破と言う一大ニュースに、

ベネーが直ぐに同意してくれると考えていた。

しかし淡々としているベネーに疑問が生じる。

「・・はて?・・もしかして別の誰か、候補がおありでしたか?」

「・・・」

返答がないベネーにコーディは続ける。

「マスタープルカーノ、他の政活者がどうかは知りませんが、私は自身の意見を強く押し付ける気はありません・・他の候補者が居るのであれば是非お聞きしたいのですが」

それを聞いたベネーは真っすぐコーディを見据える。

「オキーフ様・・あなた様を信用し、ここだけの話にして頂きたいのですが・・」

「承知した、オキーフ家当主として、公言しない事を約束しよう」

「・・遺跡踏破の件ですが・・実は、それを成したのは私と冒険者ではない二人の男性です・・」

「!?な・・なんと・・そうであったか・・・だとしたらガセ情報に踊らされていたか・・」

コーディが残念そうにそう言うと、

ベネーは続ける。

「申し訳ありません、私が直ぐに踏破を宣言すれば良かったのですが、ある事情で今は伏せております・・・それに時を同じくしてCランクのラレフパーティーがタービの遺跡から魔獣を持ち帰ってしまった・・それで誤解を生んでいたようです」

「なるほど・・しかし困ったな・・先ほど言ったように私は冒険者事情に詳しくない、ほかに思い当たる推薦者など居ないのだが・・・」

「・・その件で、私から推薦したい者が・・」

「おぉ!そうか、ぜひ聞かせて欲しい」

コーディはそう言うと目の前のお茶を口に運ぶ。

「当ギルドを拠点としているソロルパーティっ・・」

「ブーーー!!」

コーディはソロルの名を聞き、

思いっきりお茶を噴出した。

「・・・」

目の前のお茶をかぶったベネーを見て

コーディが慌てて謝罪する。

「す、すまないマスタープルカーノ・・失礼した・・」

「・・・・」

お茶をかぶったベネーは、

無言のまま顔を拭くと怪訝な目をコーディへ向ける。

「そ、そのなんだ・・ソロルとはソロル・ノウビシウム嬢のことか?」

「・・・おっしゃる通りですが・・」

少し怒っているベネーにしり込みしつつ

コーディが提案する。

「そ、そうか・・(昨日の件もある・・ノウビシウム家に恩を売れるかもしれない・・)で、では二枠の内一つをソロル・ノウビシウムで行こうではないか・・・な?」

コーディがベネーをなだめつつ同意を求める様に言うと。

怪訝な表情のままベネーが答える。

「・・ソロル本人は既にBランクです・・私が推薦したいのはソロルパーティーメンバー、斥候のユナと魔法士ミュウの二人です・・・」


~クヨトウ公営ギルドS型事業局~

~マスター室~


2人の男がソファーで向き合い

話し合いをしている。

その内の一人、王将官邸でソロル達に絡んだ政活者。

グコック・ログローグが目の前に座る男を鼻で笑う。

「フン、俺を呼び出すとは・・ゲコック、お前も偉くなったな?」

厭味ったらしく言い放つグコックに、

ゲコックと言われた男が答える。

「そんな言い方よしてくださいよオジキ・・リベロット事件の対応で局長のヴィーロが不在なんです・・サブマスターの私がここを離れるわけにはいかないのです・・」

ゲコックと呼ばれた男はゲコック・ログローグ。

ログローグ家当主、グコック・ログローグの甥にあたる人物。

クヨトウ公営ギルドS型事業局のサブマスターで、

本来のマスターであるヴィーロ・トレヴィーノが

ギルド組合局長としてリベロット事件の対応をしている為、

一次的にマスター代理となりギルドの全権限を持っていた。

「俺も政活で忙しい身、さっさと用件を済ませたい・・話したいこととは此度の武闘大会、それに推薦するべき冒険者の話だな?」

グコックの問いに答えるようにゲコックが言う。

「そうですオジキ、この国の首都、さらには最高位のギルドS型事業局・・そこに強い発言権があるのはログローグ家以外に考えられませんから」

「ふ・・おまえ自身がそのコネでサブマスターの座に居る・・よくわかってるじゃないかゲコック・・まぁヴィーロより話もまとまりやすい、お前でちょうど良かった」

「おや、その口ぶりからして誰か目ぼしい推薦でもあるのですか?」

その問いに、もったいぶりつつグコックは語りだす。

「・・先日、このリデニアで遺跡踏破の偉業をなした冒険者を知っているか?」

「遺跡踏破!?本当ですか!?」

「信頼できる筋からの情報だ、その証拠に遺跡から数十体の魔獣が南本店へ持ち込まれている、ラレフパーティーと言われるCランク冒険者だ」

「・・ラレフ?・・知らない名前です・・・それにそれほどの話ならもっと大騒ぎになってそうなものですが・・・」

懐疑的なゲコックの意見を無視し、

グコックは続ける。

「S型の推薦枠3名を、Cランク剣士のラレフ、同じく魔法士のインフィール、そして斥候のリレージュ、このラレフパーティー3名で提出しておいてくれ」

「ちょ、ちょっとオジキ、本気ですか?」

困惑気味にゲコックが質問すると

グコックは怪訝な目を向ける。

「なんだお前、不服か?それとも何か?おまえ自身推薦したいものでもいるのか?」

質問に質問で返されたゲコックは慌てて答える。

「い、いやそう言うわけでは、私の取り巻きたちは軒並みBランク以上だし特段推薦したいものは居ませんが・・」

「なら話は終わりだ!先ほどの三名でよいな?」

グコックは立ち上がると続ける。

「俺は忙しい、あとは任せたぞ」

バタン。


~S&S社屋~

~入り口前~


「んじゃ!行ってくるぜ」

ユナが元気にそう言うと

見送りに来ていたソロルが笑顔を送る。

「うん、いってらっしゃい!」

手荷物を持つユナはソロルに背を向けると、

手を振りながら歩き出す。

ソロルが見えなくなった時、

スッと路地裏へ入り込んだ。

諜報員としての仕事、任務へ向かおうとしていた

ユナは自分を落ち着かせるように

胸に手をやり深呼吸をする。

「ふぅ・・・(大丈夫よ私・・きっと無事に)」

「心配するなユナ」

「!?」

すると突然名前を呼ばれる。

驚きながらその声の主に視線を移す。

「・・ナ・・ナトス教官・・」

そこにはナトスが立っていた。

ナトスは小さなガラス球を指で摘まみ、

ユナの目の前に突き出していた。

「な、何だよコレ・・」

ユナが自然にそれを受け取ると

ナトスは答える。

「・・お守りの様な物だ、ポケットにしまっておけ」

「お守り?・・何だよ教官そう言うの信じてるのか?」

ユナは嫌味っぽくそう言いつつ、

受け取ったガラス球を胸ポケットへしまった。

「・・ユナ・・お前、死を想定しているのか?・・」

「え・・」

突然のナトスの言葉にユナが驚いていると

ナトスは続ける。

「・・・ソロちゃん達をアンへ託そうとしただろ、あたかも長い間帰れないと言わんばかりに・・・」

「・・・」

先ほどのアンプレスとのやり取りを指摘されたユナは、

返答できずにいた。

「・・失敗しない事だ、一番重要なのは・・」

その言葉にユナは反応する。

「それ、姉御も言ってたけど、つまり成功させろって事でしょ・・」

「最終的にっという意味ではそうなるな・・しかし今お前が言った意味合いとは違う」

「え?・・」

「・・仮に“このままでは成功しない”と仮定しよう、それはそれで強行せずその情報を持ち帰る事が重要・・やり方を変え、考え方を変え、再度成功に向けて進めばいい・・」

「??」

「更に再度進んだその先も“このままでは成功しない”と仮定しよう、やはり強行せずにその情報を持ち帰る事が重要なんだ・・生きてな・・」

「!?」

「死んだらその先は無い、誰の目から見ても次は無い・・つまり“失敗”だ」

ナトスは歩き出しユナの隣に来る。

そして立ち止まり続ける。

「自分がいかなる状況へ陥っても、生きて帰る・・失敗だけはするな・・」

ナトスはそう言うとその場を立ち去ろうと歩き出す。

「ナ・・教っ」

「あぁそうだそうだ」

ナトスを引き留めようとユナが声をかけようとしたとき

ナトスはそれを遮るように大げさに言うと、

立ち止まりつつ続ける。

「さっきのガラス玉だが、もし“失敗”しそうになったとき何が何でも・・砕け・・」

「え・・お、お守りを?・・・」

ナトスはそれだけ言うと、

その場から消え去った。


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