進化①
久しぶりの更新となります。
「・・・」
グラ・・
フィニクシーがそう言った瞬間、
アンプレスはバランスを崩す。
テナクス「(眩暈か・・)」
百戦錬磨のテナクスもこうなる事を予感していた。
決着の時が来た事を理解し、
その時が来るのを待っていた。
しかし逸ることなく静かにアンプレスを見据える。
アンプレス「が・・まだだ!」
アンプレスは眩暈で沈んだ体の重心を利用するように、
体重の乗った渾身の突きを繰り出す。
テナクス「ふん!」
しかしテナクスはそれを落ち着いて捌き、
バコッ!
アンプレスの槍斧をかちあげた。
アンプレス「ぐっ・・」
アンプレスは彼方へ飛んでいきそうな
槍斧を必死で握っていたが、
抵抗むなしく、その手を放してしまう。
アンプレスの手から、
槍斧が離れた瞬間、
テナクスは、静かに長剣を抜く。
アンプレスの体は起き上がり、
完全なる無防備。
テナクス「(決着の時だ・・両の足を切り落とし、仕舞にしよう・・“剣術・極”)・・!?」
テナクスの目に不敵に笑うアンプレスが映る。
テナクス「(目が死んでいない!!)」
ドゴォォン!
そして次の瞬間、
落雷が起きる。
その落雷は今まさに彼方へ飛び出そうとしていた
槍斧に落ち、アンプレスの手に押し戻していた。
アンプレスは落雷の推進力をそのまま斬撃に乗せ、
テナクスめがけて振り落とす。
アンプレス「おらぁぁぁ!」
テナクス「(盾では受けられない!)」
長剣を抜いた今、盾で受けては破壊される。
咄嗟に盾を庇い、長剣で受ける。
ガギィィィン!!
テナクス「ぐ!!がはっ・・(受けきれぬ・・)」
テナクスはたまらず身を引き、
長剣を傾けると槍斧を地面へいなした。
ビリリリリ!
アンプレスの属性魔法が体を駆け巡るなか、
テナクスはさらなる攻撃に備える。
「見事だ・・(“体術・剛”!!)」
盾が使えない今、あの雷鳴のような攻撃に
その身をさらすことになる。
テナクスが覚悟を決めた瞬間、
ミノア「アンさん・・」
一同「?」
テナクスとアンプレスの戦いは、
テナクス「?・・」
決着がついた。
子犬「クゥーン」
一同「!?」
アンプレスは気力枯渇に陥り、
微動だにしなかった。
これで決着となる瞬間、
テナクスとアンプレスの近くに
子犬が座っていた。
テナクス「(何なんだ!)」
フィニクシー「・・・守ってあげてくださいね」
犬の存在にみんなが気付いた瞬間、
フィニクシーがそう呟くと、
その子犬は急激に巨大化した。
一同「ライス!!?」
ライス「ヴァウゥゥゥゥ!!」
子犬がフィニクシーの召喚獣ライスに変貌すると
その長毛を逆立て属性魔法を発動させる。
テナクス「(い、いかん!!)」
ベリ!ガバ!
アンプレスとテナクスの足元が
地面ごと浮き上がる。
テナクス「(土属性魔法!?“武術・剛”!!)」
テナクスは咄嗟に技能を発動させる。
そして意識を失い立ち尽くすアンプレスを
大盾で覆った。
テナクスたちの足元の地面は
瞬時に壁のように立つと、
そのままテナクスとアンプレスを
シールド目がけて挟み込んだ。
ズガァァァン!!
バリン!
シールドが砕けると同時に
土壁も崩れ落ちる。
その中を、意識をなくした二人が落下していく。
一同「・・・」
絶句するみんなを他所に
審判マークの声が響く。
「王将並びにアンプレス様の戦闘不能を確認!リタイア!よって召喚獣ライスの勝利!」
マークは続けて叫ぶ。
「治癒士!急げ!」
慌ただしい現場を他所に
ソロルたちは放心状態だった。
いまだ状況が呑み込めないソロルに
フィニクシーが近寄る。
「今回は“ライス”が勝たせていただきました」
「え・・」
フィニクシーはライスに視線を移す。
ライスはそれを受けて消失した。
「え・・えっと・・」
うまく言葉が出てこないソロルに代わり
ナトスが言う。
「“たぬき”に化かされたんだろ」
それを聞いたフィニクシーは
ツンとした表情を浮かべる。
「何度もそのような言い方をしていましたが、“したたか”と言ってもらいたいですね」
サキュリフィー邸執事マークが見守る中、
治癒士達が治癒魔法を発動させると、
すぐにテナクスが目を覚ます。
「・・お、俺は大丈夫だ・・それより、彼を・・アンプレスの方を・・」
その言葉を聞いた、
アンプレスの治療にあたっている治癒士が
額に汗をにじませつつ笑顔で答える。
「ご無事ですよ、テナクス王将・・命に別状も有りませんのでご安心ください」
「・・そうか・・・ん?」
テナクスは安心したような表情で視線を移すと、
怒ったような表情のマークが目に入る。
「な・・何だマーク・・怒っているのか?」
「・・えぇまぁ・・少々・・」
テナクスの問いにマークはそう答えると続ける。
「・・友好国アモリアの上位冒険者とは言え、ご自身より優先して守ろうとしたことに怒っております、この国にとっていかに重要なお体なのかはご存知だとは思いますが・・・それに、彼ではなくご自身に盾を使用すれば、ライスと対峙する余力もあったかと・・・」
「う、うむ・・確かにな・・」
テナクスはそう言うと目を閉じた。
「(俺にとってアンプレスが、重要な人物だと透けておったか・・)」
「え!?じゃぁシャリの攻撃で消滅しなかったって事ですか!?」
驚きの声をあげるソロルに、フィニクシーは答える。
「そうです、風属性魔法で周囲の土を巻き上げつつ、土属性魔法で体の表面に膜を作り、等身大の人形を作っていました」
「シャリ蔵の攻撃を受けたのはその土人形、その時には既に小さなタヌキになっていた、鑑定で見ていれば、ライスのHPが減っていない事に気付けたはずだが・・」
ナトスが補足するとフィニクシーが追従する。
「シャリの派手で、強力な攻撃が良い目くらましになったようでしたね、ソロルもアンプレスさんもライスから意識が外れていました・・審判の目は誤魔化せませんでしたが」
「い、言われてみれば・・確かに・・マークさんはライスのリタイアをコールしていない・・」
ソロルが呟くように言うと、ミノアが追従する。
「シャリちゃんの時は消滅と共にすぐにコールが入ったよね、凄いやライス!虎視眈々とチャンスを狙ってたんだね!」
「恐らくライスではなかろう・・」
ミノアの言葉を補足する様にシェンターがそう言うと
続ける。
「手口があまりにも人間味を感じるのぉ・・術者であるフィニクシーのプランじゃな?」
「・・・」
何も言わないフィニクシーにシェンターは続ける。
「わしらのこの位置から王将らの会話は、ほぼ聞き取れかった・・しかし、度々対話しようとする王将の気配は感じ取れた・・恐らくアンプレスは、王将にとって只ならぬ存在・・」
「おっしゃる通りだと思います、俺には二人の会話は聞き取れていました・・そしてフィニクシーさんにも、ライスを通じて筒抜けだった」
ナトスがそう追従するとフィニクシーが語りだす。
「・・ライスは模擬戦とは言え、やるからには勝ちにこだわっていました、その場合必ずしも王将の盾をどうにかしないとなりません・・理想は、盾の破壊・・それが叶わぬなら盾を手放して頂くか・・もしくは・・自信を守らないようにする・・考えがまとまらない私を感じ取ったライスは、時間稼ぎの為、偽装潜伏を選びました・・そしてライスのおかげで、お二人の関係性が自ずと見え結末を描きました・・王将にとってアンプレスさんは特別な存在・・恐らく、咄嗟に自身ではなくアンプレスさんを守るのではないかと・・アンプレスさんの状態が悪ければ悪いほど、手をのばせば盾が届く距離、近ければ近いほど・・そう言う行動に出ると・・」
「ふぉっふぉっふぉ、おぬしの描いた通り、王将は自らを守らなかったのぉ」
「ふふふ、えぇ本当に期待を裏切らない素晴らしいお方ですね」
やけに嬉しそうなシェンターとフィニクシーを他所に、
ソロルが慌てて疑問を投げかける。
「そ、そういえばアンは!?無事なのかなぁ!?」
その問いにシェンターが答えるように言う。
「あの様子なら、雰囲気的に無事じゃろ・・鑑定で確認すれば直ぐにわかるじゃろうが、視力の弱っとるわしはこの位置から鑑定で見てもぼやけるだじぁからのぉ・・・」
ミノア「(視力・・)」
「・・無事のようです、HPのゲージも順調に回復しているのが見て取れます、治癒士の腕がかなり良いようですね」
鑑定で見ているようにフィニクシーが答えると、
ミノアも鑑定を発動させた。
「!!?(ま、また見え方が変わった??・・・)・・死亡率・・」
一同「?」
ミノアの不意に出た言葉に、皆が疑問に思っていると、
シェンターがミノアに問いかける。
「・・なんじゃおぬし、変な見え方でもしとるのか?」
「ミノアの鑑定は、対象の現状をより詳細に見ることが出来るはずです・・・その様子から見ても、また更なる強化でも起きたのか?」
シェンターの疑問に答えつつ、ナトスはミノアに問いかけた。
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氏名:アルフィーン・アンプレス 職業:剣士(冒険者)
レベル:90 lv 年齢:24 歳
状態:意識喪失
(気力消耗による反動で意識がない。
8時間46分後自発的に目を覚ます)
負傷状態:重度(中度)
(負傷と治癒を度々繰り返してきたことで、
治癒魔法の効果を受けやすい体質に変化しており、
現状の治癒効果でも十分に回復する。
完治まで5分25秒。
その他の状態異常はなく死亡率2%(0%))
HP■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□
MP■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
技能:「槍術」「斧術・斬」「剣術」「属性魔法・雷」
「駿足・瞬足」「鑑定」
肉体強度:180 Rp 精神強度:165 Rp
命力:540 気力:504
体力:359 魔力:414
速力:356 知力:396
「視」「武」「斬撃武技」「突撃武技」
「女神の加護:エネア」
魂魄強度:178 Rp
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