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魂魄④

~30分前・食堂~


ミノアと言葉を交わした後、

テナクスはアンプレスの元へ来ていた。

アンプレスはリデニアの代表テナクス王将が

グラスを持ち近付いてきたことに慌て、

ステーキを一気に呑み込み、

ボトルを手にした。

「ど、どうぞ!テナクス王将!」

アンプレスが畏まってそう言うと、

テナクスは笑みを浮かべグラスを前に出す。

「(近くで見ると、ますます似ている・・・)」

グラスに果実酒が注がれる中、

テナクスはアンプレスに語り掛ける。

「・・君はアモリアの冒険者と言ったな、アモリアの代表チチウス・パーティム首領は俺の戦友・・古くから国同士も友好関係にある、歓迎しよう、自然体で構わぬ、ゆっくりくつろいでくれ」

アンプレスはボトルを置くと、

姿勢を正し、それに答える。

「はっ、ありがたいお言葉感謝いたします!しかしながら、わたくしもAランクの冒険者、母国チチウス首領もテナクス王将も最高ランクの冒険者であり、一国の代表でもあられます!わたくしから見れば雲の上の人物、畏怖し緊張するのも自然体であります」

「フ・・」

テナクスは笑みを浮かべ、

テーブルの上のボトルを手に取る。

それを見たアンプレスは

慌てて自身のグラスを拾い上げた。

テナクスはそのグラスに果実酒を注ぎつつ、

質問を飛ばす。

「・・出身はアモリアのどのあたりになる?」

「え・・」

アンプレスは正確な出身地を聞かれ、

一瞬戸惑いを見せる。

しかしすぐに切り替え返答する。

「・・アモリアの北部、トヨクに隣接した町・・ミーサのあたりです」

「(・・・近いな・・偶然とは思えん・・・)」

テナクスはアンプレス名を聞いた時から、

昔の知人を思い出していた。

「・・ミーサか、懐かしいな・・昔“四伍遺跡”へアタックしていた時、よく出入りしていた、それこそチチウス等と共に」


~回想~

27年前、ミーサの酒場。

苛立つテナクスが呟く。

テナクス「今回もまた15階層へ到達できなかったか・・」

チチウス「・・・」

静かにビールを飲むチチウス。

テナクス「引き返す判断が早すぎたんじゃないか?もう少し行けたと思うが」

チチウス「・・・」

イラッ!

テナクス「おい!聞いてんのか!毎度毎度、寡黙なハードボイルド気取られてもイライラするだけだぞ!チチウス!!」

チチウス「・・気力管理・・」

テナクス「あ!?」

チチウス「・・お前の気力管理がお粗末だからだ」

テナクス「何だと!あのまま進んでいたら俺が気力枯渇に陥り足手まといになってた!そう言いたいんだな!」

チチウス「・・・」

カッチーン!

二人のやり取りを見ていた若い男性

アンデールと女性冒険者が

テナクスをなだめるように割って入る。

アンデール「まぁまぁテナクス様、飲みすぎですよ、師匠の言い方はアレですが、14階層中腹まで誰も欠けず到達できたのはテナクス様のおかげだとみんな思っておりますよ」女性冒険者「アルの言う通りです、前回のアタックから前進はしたんですし、今回はそれで良しにしましょう」

~回想終~


その人物はアモリア国の冒険者で

自分の知る限り、最後はミーサの北東に位置する、

ATNコロニーに住んでいたはず。

その人物の名は“アンプレス”。

しかしそれはあくまでも家名だった。

“アンデール・アンプレス”。

戦友チチウスの一番弟子だった人物。

「お、王将!テナクス王将!」

「はっ!おっとと・・」

テナクスが気付くと

アンプレスのグラスから

果実酒があふれそうになっていた。

アンプレスは苦笑いを浮かべつつ

そっとそれを口に運ぶ。


~回想~

27年前、ミーサの酒場。

テナクスは目の前の人物に

ビール瓶を見せつける。

テナクス「おら!アルも飲め!」

アンデール「テ、テナクス様、もう勘弁してください」

テナクスはアンデールのグラスに

なみなみとビールを注いだ。

アンデールは苦笑いを浮かべ、

それをそっと口に運んだ。

~回想終~


テナクスは思う。

出身地、名前、面影。

偶然とは思えないこの状況で

疑わずにはいられなかった。

「(・・死んだと思われていた・・アルの息子・・・)」

そして核心に迫る質問を投げかける。

「・・アンプレスと言ったか、皆そう呼ぶが・・・それは名なのか?それとも・・家名か?」

ピク・・

その質問にアンプレスは反応する。

当然テナクスはそれを見逃さない。

「(出身地を聞いた時も感じたが・・自身の出生にかかわる話を明らかに嫌っている・・)」

「・・名です・・」

そしてアンプレスは重い口調で返答する。

「上流階級でも何でもない・・アンプレス、ただのアンプレスです」

「・・・」

アンプレスはこの質問にさすがに違和感を覚える。

何も言わないテナクスへ今度は質問を返す。

「・・しかし・・なぜそのような質問を?・・・」

「・・友好関係であるものの、隣国の上流階級の者に怪我を負わせては問題になりかねないからな・・」

「怪我?・・」

「そうだ、ここサキュリフィー邸の中庭は設備が整っている」

「・・せ、設備?・・ですか・・」

テナクスは満面の笑みで答える。

「お前の実力を見てみたい・・模擬戦だ!」

「!!」


中庭に向けて歩くテナクスたちの目に

ソロルとフィニクシーがうつる。

「これはこれは王将、こんなところにどうなさいましたか?」

それに気づいたフィニクシーが声をかけると

テナクスは笑みを浮かべ答える。

「武闘大会も近いのでな、異国の冒険者と手合わせを」

「えぇ!」

それを聞いたソロルが驚きの声を上げ続ける。

「アン!何考えてるの、相手はSSSランク冒険者よ!」

「ま・・まぁしかし、こんな機会なんてそうそうないだろ・・」

狼狽えつつもまんざらじゃないように答える

アンプレスを見てテナクスは笑みを浮かべる。

「ソロルとフィニクシーはここで何を?」

テナクスの質問にフィニクシーが答える。

「ソロルと互いの召喚獣を見せ合おうかと・・屋内では衛兵に怒られてしまうので」

「そうか・・」

テナクスは一瞬考えこみ続ける。

「ただ見せ合うだけではつまらぬぞ、その力量、能力までも見たいと思わぬか?」

アンプレス/ソロル「?」

「・・・なるほど」

ソロル達が頭に?を浮かべる中

フィニクシーが続ける。

「お二人の模擬戦に我々の召喚獣も参戦させようと?」

アンプレス/ソロル「!!?」

「・・そうだ」

アンプレスとソロルが困惑する中

テナクスが言い放つ。

「4者による同時模擬戦・・バトルロワイヤルだ!」

「(ちょ、ちょっとまて・・あの大召喚士フィニクシーの召喚獣とテナクス王将・・さらにはソロルの召喚獣!?あ、あれだろ・・シャリってたしか零一遺跡のパジャードックを一撃で沈めたって・・・)」

「(え?え?シャリが模擬戦?いやちょっとまって、フィ、フィニクシー様の召喚獣と戦うの?マ、マジ?・・え?一番?二番?三番?ど、どれで来るの?ふ、普通に見たかったのに!)」

アンプレスとソロルが狼狽える中

テナクスはフィニクシーに歩み寄る。

そして小声で話しかける。

「・・フィニクシー・・一つ頼みたいことがある」

「?」

「彼を、アンプレスを“鑑定”で確認してほしい」

「確認?・・何を・・」

「・・名だ・・“アルフィーン・アンプレス”・・それが本名かもしれぬ・・」


~現在・中庭~


カチャ・・

テナクスは痺れの残る右腕を前に出し

長剣をアンプレスの前に向けた。

「・・この剣は、50年以上俺と共にあり、死地を潜り抜けて来た・・名を“リーオ”と言う・・・」

「な・・名前?・・・)」


ミュウ「何か話しているようなのです・・」

ソロル「この距離じゃよく聞き取れないわね・・」

ナトス/フィニクシー「・・・」


テナクスは続ける。

「この剣は魔道具化している、その辺の武器なら、先ほどの衝突で簡単にへし折ってしまうほど特殊なものだ・・・」

「ま、魔道具化!?・・ぶ、武器が!?・・」

テナクスはアンプレスの槍斧に視線を向け不敵に笑う。

「フフフ・・久しいぞ、“リーオ”で折れぬ武器は」

「・・・」

アンプレスはマジマジと槍斧を見つめる。

そしてテナクスが言い放つ。

「それは既に魔道具化している!」

「!?」

「その若さで信じがたい部分もあるが、折れぬ以上間違いないだろう・・名づけよ!今ここで!」

「(な、名づける!?)」

「魔導武器“魂の雫”は使用者の魂魄を刷り込み・・生みの親というべきその使用者が名づけることで完成する・・・」

「こ・・魂・・・」

ガシャン・・

テナクスは大盾の裏に剣を刺し

納刀すると続ける。

「その槍斧に名を付け、全身全霊を持ってかかってこい・・“アルフィーン”」

「な!?」

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