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神域の種①

~リデニア国首都クヨトウ中央街~

~王将官邸~


「ふー・・なかなか面白い奴らだ・・お前が気に居るのも頷ける・・」

ソロル達が帰った直後、

テナクスは大きく息を吐きそう呟いた。

「ふぉっふぉっふぉ・・」

シェンターが笑顔を見せると、

フィニクシーは苦笑いを浮かべつつ言う。

「・・しかし・・明確に拒否されてしまいましたね・・仕方のない事ですが・・少々冷たいと感じてしまいました・・・」

それを聞いたテナクスは

会の時、戦争が始まったらリデニア側に

付いてくれると期待していたのを、

“それは無い”と明確に否定されたのを思い出し、

残念そうに追従する。

「・・そうだな・・しかし腑に落ちん、ナトス殿が明確に否定した後の話は、彼らの標的への繋がりを示唆していたように感じたのだが・・俺が女神ゼイアの名を出したのもその流れから・・そもそも全体的に話の結論は見えずじまいだと感じているが、少なくともナトス殿は我々に力を貸す事を否定している・・・」

「・・ふぉっふぉ・・ナトスの性格・・それ故に王将もフィニクシーも誤認しているにすぎん・・」

テナクス/フィニクシー「??」

シェンターの話を聞いた二人が

頭に?を浮かべると、

シェンターは続ける。

「コパローナが仕掛けようとする侵略戦争はナトス等の介入を持って、わしら目線救われる事には変わりない・・」

「え!?・・ちょっと待ってください、あの時ナトスさんは明確に“それは無い”とおっしゃいましたよ!?・・性格?・・嘘を付いたという事ですか!?」

「嘘だと!?・・だとしたら流石に許容できんぞ・・我々の反応を見たという事か?・・仮にお前が信頼を置くと言ったとて、俺は一切の信用を置けぬ・・」

少し怒気を含めた口調のテナクスが

追従すると、シェンターは語りだす。

「・・ナトスは真実しか言うとらん・・さっきほど言うたように、ナトスは他者に誤認させるような言い回しをする性格じゃ、そして・・それにもやはり意味があったようじゃ・・二人ともナトスと言う人物そのものを誤認する結果となっておる・・・」

テナクス「ん?・・」

フィニクシー「それはどういう?・・」


~リデニア国首都クヨトウ南街~

~かぷかぷ~


「せ、戦争そのものを起こさせない!?」

ソロルが声を荒げると、

ナトスは静かに答える。

「・・そうだ、俺は特異点の影響だと断定している、俺とミノアの立場上、それが最善の手段・・」

それを聞いたミノアが言う。

「特異点の影響・・だとしたら、兄さんの言う通り戦争そのものが爪痕・・巻き込まれて誰かが死ぬ事態になりかねないし・・戦争そのものを止める事が最善・・」

「ちょっと待ってナトス・・あなた、それはかなり性格悪いわよ、あなたがそれは無いと言ったとき王将たちは残念そうに肩を落としたのよ・・・“戦争自体起こさせない”と考えているあなたからは“戦争が起きた時リデニアに付く”は無いと断言できるし嘘ではないけど、ちゃんと伝えない事で誤認させた状態のまま放置したのよ・・たぶんあえてね・・」

ソロル「(ロレーヌさん・・・)」

ミノア「(・・・兄さん)」

ロレーヌが怒気をはらんだ表情で

ナトスにそう伝えると、

ナトスは平然と答える。

「フ・・良くわかってるじゃないか、俺は極めて性格が悪い、ソロちゃん達に聞けば口を揃えてそう言うだろう・・重ねて伝えておくが、助けてくれと言われて、はい良いですよ言うような善人ではない」

「私が言いたいのはそう言う事じゃない!あなたなら理解してるでしょ?気づいて居るはず!あなた自身が助けるつもりがなくても、結果的にリデニアの危機を救う事になるんだから王将たちも安心できたはず!普通にそれを伝えればいいだけじゃない!」

「ストーップ!」

感情的になっているロレーヌが

ナトスに詰め寄ると、

ミノアが割って入った。

ロレーヌが止まったのを見て

ミノアは続ける。

「・・所長も兄さんもどうしたの、2人とも感情的になり過ぎだよ」

ナトス/ロレーヌ「・・・」

ソロル「(感情的?・・ナトスも??・・)」

「・・取りあえず社屋に戻ろう、食事会の件皆にも伝えないとだし」

ミノアがそう言うと、

ナトスとロレーヌが

タイミングよく呟く。

ロレーヌ「・・そうね・・」

ナトス「・・そうだな・・」

ロレーヌ/ナトス「・・・」

発言が被った事で気まずい空気と

沈黙が流れる。

ソロル「(・・なんなの二人とも・・・)」


~神界“ナーオス”~

~神エレリオスの部屋~


ガチャ。

「エレリオス様、いる?」

「・・はぁ~・・ノックぐらいして」

パタン。

神エレリオスは読んでいた本を閉じつつ

そう言うと振り返りながら続ける。

「・・もしかして報告?リーオ・・」

女神リーオはエレリオスの前まで来ると

“神水晶”に気付き言う。

「そうだけど・・あっ・・下界見てたんだ」

「報告はあなたで三番目、一応見届けようとは思って・・」

それを聞いたリーオは笑顔で言う。

「んじゃ、話しは早いね、私の啓示が遂行されて彼らに委ねなれた・・予定外だけど想定内では進行してる、私が3番で次は8番・・」

「そっか」

エレリオスはそれだけ言うと

“神水晶”に視線を移した。

リーオは続ける。

「・・8番の前に、何も知らない10番が来るかも・・」

「え!?10番!?」

驚きの声をあげたエレリオスに

リーオは続ける。

「もし10番が動いたら、それは二大神の想定を超えたもの・・だってさ・・私の報告はこれで終わり」

「・・・(二大神・・トゥルチアとアルモニアの想定を超える?・・そんなのセオス様以外に・・はっ!!・・)」


~女神ゼイアの部屋~


チリチリチリチリ・・・

「くそっ!・・やっぱり駄目だ・・・」

女神ゼイアの目の前には黒く焼け焦げる様に

変色していく種が転がっていた。

「(み、水が全然ダメなんだ・・あの方はいったい何処であの水を・・・)」

ゼイアが両手を地面に付きうなだれると、

突然背後から声が響く。

「・・10番女神ゼイア・セアー・・現状の報告を・・」

ビック!

その声に聞きおぼえの有るゼイアは、

冷や汗を流しつつ、狼狽える。

「・・え・・あ、あの・・」

背後の声「・・・」

ゼイアは何とか落ち着く様に

声を絞り出す。

「・・も、申し訳ありません・・い、頂いた水で110個の神域の種を作り出しましたが・・に、二大神の邪魔に会い・・げ、現在は、107番目の世界、め、メジューワのみとなってしまっています・・・」

ゼイアの怯えた報告を聞いた

背後の影は何かを探るように

顔をあげ一呼吸おいて語りだす。

「・・・そう、確かに・・107番の世界メジューワに神域の種を感じます・・あなたの言う通り他の世界線からは感じられない・・」

「も、も、も、申し訳ございません・・」

ゼイアはひどく取り乱し

怯えるようにそう言うと、

背後の影は優しく語りだす。

「何もそんなに怯えなくとも・・わたしは優秀なあなたを称賛しているのですよ、私の与えた材料から2・3個の種しか成功しないと思っていたので・・しかし110個ですか・・ほぼ全てが成功したと・・」

「い、いえ・・そのうちの2個はやはり失敗作でした・・人間が適合する前にその肉体ごと飛散してしまい・・・残りの108個は、全ての世界線に一つずつ植え付けるところまでは成功していたのです・・・そ、それを二大神がよってたかって台無しに・・・」

「そうですか・・可哀そうに・・」

バサ・・。

「ひぃぃぃ・・」

背後の影が動いたのを感じたゼイアが

悲鳴を上げ目をつぶると、

背後の影は続ける。

「・・何を隠そう私の目的はまさに107番目の世界線にこそある・・そこが無事で何よりです、運が良かったですね・・・お互いに」

それを聞き、さらに怯えるゼイアに

背後の影は続ける。

「・・私の創った神域の種です・・あなたに授けます・・」

「・・え・・・」

ゼイアは恐る恐る目を開けると、

目の前に転がる神域の種に気付く。

「107番目の世界・・良い感じに歪んできている・・ふふふ・・何が何でも完成させるのです、あなたの望みを・・・それはもしもの時の予備、素晴らしい報告を待っていますよ・・・」

背後の影は忽然と姿を消し去った。

しかしゼイアは神域の種を見つめたまま、

すぐには動き出せなかった。


~リデニア国首都クヨトウ南街~

~S&S社~


ユナ「えぇぇぇ!!」

ミュウ「食事会!?サキュリフィー邸宅で!?」

社屋に戻ったロレーヌ達から

王将の邸宅で食事会がある事を

伝えられたユナ達が狼狽える中

ソロルが言う。

「こ、声が大きいわね・・」

「そ、そりゃそうだろ・・どうすんだよ着る服とか・・」

「そうなのです・・こんな格好で行くのは失礼にあたるのです・・」

するとロレーヌが言う。

「・・みんなで買いに行く?後2時間もないけど・・」

「そうね・・すぐに行けそう?ピューネちゃんにも可愛い洋服買ってあげたいし」

ソロルがそう言うと、ユナが追従する。

「早速行くか・・って、あれ?・・教官とアンプレスは?・・」

それを聞いてみんなが辺りをキョロキョロした後、

ミノアへ視線が集中していく。

「ははは・・えーっと・・服を買いに行くなら先に行ってて大丈夫だと思うよ・・後から追いつくだろうし・・・ははは・・」

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