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暗躍②

~リデニア国首都クヨトウ中央街~

~王将官邸~


業務に就く職員と政活者と言われる者

しか出入りしないこの場所はいわゆる

国の中枢。

その国の有り方、政策や方針を決める為、

職員、政活者も上流階級で占められている。

ここのロビーをオフィームに連れられ、

ソロル、ナトス、ミノア、ロレーヌが歩く。

キョロキョロと辺りを気にする

ソロルが呟く。

「・・へぇぇ・・初めて来た・・・」

それを聞いたオフィームが、

申し訳なさそうに言う。

「・・皆さんをお連れできればよかったのですが・・官邸へお連れできるメンバーは限定されていまして・・・」

「良いのよオフィーム、王将に会うんだもの仕方ないわ」

歩きながら話をするソロル達の前方から

三人組の男達が大きな声で談笑しつつ

歩いてくるのが見えた。

政活者A「がはははは、お前たちもその話を聞いたのか?」

政活者B「えぇ、ギルドに聞かれたら勿論その者達を推薦しますよ」

政活者C「私もそうしようとは思っていますが、何分名前までは解っていないと聞きます」

六つボタンの黒い軍用コートの様な物を着た

その男達は右肩に赤いワッペンと、

左胸にバッチを付けていた。

オフィームは立ち止まりすれ違いざまに

会釈をしたが、ソロル達はその所作の意味が解らず

ただ立ち止まっていた。

政活者A「・・それなら俺が聞いてる、確か・・・ん?」

それに気づいた一番偉そうな男が

突然声を張り上げた。

政活者A「お前たち!どういうつもりだ!礼儀も知らないのか!!」

オフィーム「・・・」

突然の剣幕でソロル達はキョトンとしていると、

他の男達も続ける。

政活者B「そうだぞ!この制服、バッチを見ればわかるだろ!」

政活者C「この国の頭脳!政活者様だ!それにこの方は長年この国を支えるあのログローグ家現当主グコック様だぞ!」

ロレーヌ/ソロル「(・・・はぁ・・)」

ナトス/ミノア「・・・」

反応の無いソロル達を見た、

グコックと呼ばれた男がさらに捲くし立てる。

「これだから低能な下級民は好きじゃないんだ、見るからに品も無い!俺の家やコーディのオキーフ家、バレフのファーガソン家の様に国の為身を削る俺達に対する礼儀を知らなさすぎる!」

「そうだぞお前ら!深々と頭を下げしっかり挨拶をしないか!」

コーディ・オキーフがそう言うと

バレフ・ファーガソンも続く。

「感謝の気持ちも忘れるなよ!そしてさっさと帰れ!お前たちの様な者が来ていい場所じゃない!」

「・・・程度が知れるな・・」

ここまで黙っていたナトスが

突然そう言い放った。

「あぁ?何だと!?」

グコックがそう言うと

ナトスは続ける。

「お前らの様な見るからに頭の悪い奴らが国の頭脳なら、この国の程度が知れると言ったんだ、一回で理解しろ」

ソロル「ちょ・・ナトス」

コーディ「お前なんてことを!」

バレフ「そこまで言ってどうなるか!解ってんだろうな!」

ロレーヌ「(もっと言ってやれ!ナトス!)」

ミノア「・・・はぁ・・」

「お、お前・・低能の分際で・・こ、この俺をバカにしやがったな・・・」

怒り心頭のグコックがそう言うと、

ナトスは涼しい顔で言う。

「えらく俺の言葉がお前に刺さったようだな、残念だがお前の言葉は俺に響かない・・俺にとってお前はどうでもいい無価値な人間でしかないからな」

「兄さん!もうその辺にしときなよ、わざわざ相手のレベルに合わせて同じ土俵に降りてあげなくても良いじゃん、この人たちが可愛そうだよ」

グコック「んぁ!?・・・」

ソロル「ミ、ミノア?・・・」

ロレーヌ「(おお!兄弟そろってエグリ方やば)」

ミノア「え?」

ナトスとミノアの言葉を聞いたグコックは、

それ以上言葉が出ないほど怒りが振り切っていた。

それを見たコーディが言う。

「お、お前ら兄弟か?・・二人そろって・・わかってんだろうな!?」

「お前ら如きが上から目線で言いたい放題言いやがって・・所属は何処だ!?」

バレフも追従するとグコックは

言葉を絞り出すように言い放った。

「・・こ、後悔・・させてやるぞ!若造が!!」

「そこまでです!」

突然オフィームが割って入った。

一瞬の静寂の後オフィームは続ける。

「我々は約束の時間も有り先を急いでおります・・確認ですが、本当にこのまま帰ってもよろしいのでしょうか?」

「あ?お前はそれなりに礼儀の分かる奴だと思ったが、同罪だ!今更ビビっても遅い!さっさと名を言え!・・そして今日は帰らせてやる・・」

グコックがそう言い、最後ニヤ付いた顔を見せると

コーディ―が続く。

「何が起きるか楽しみだな、怯えて待ってろ」

それを聞いたオフィームは

淡々と語りだす。

「なるほど・・グコック・ログローグ様並びにオキーフ家ファーガソン家当主の一存で、テナクス・サキュリフィー王将の客人を追い返すという事で間違いないようですね」

グコック「な!?・・」

コーディ/バレフ「!!」

テナクスの名が出た事で

三人はドキッとし、一瞬しり込みをしたが、

グコックが狼狽えつつも言い放つ。

「う、嘘を言うな!お前らの様な奴が王将の客人な訳がないだろ!」

コーディ/バレフ「・・・」

驚愕の表情を浮かべているコーディと

バレフは、終始落ち着いているこいつ等なら

有りうると感じ、言葉を失っていた。

オフィームはワザとらしく時計を確認すると

淡々と語りだす。

「・・はぁ・・このままでは約束の時間に遅れてしまいそうですし、帰りましょうか・・あっそうです、お三方の名前はしっかりと記憶しています、こちらが名乗らないのは失礼でしたね・・・私、ノウビシウム家執事オフィームと申します」

グコック達「(ノウビシウム家だと!!!)」

オフィームは続ける。

「・・そしてこちらの女性は次期ノウビシウム家当主、ソロル・ノウビシウム様です」

グコック達「!!・・・」

ソロル「(次期?・・)」

絶句しアワアワとしているグコック達を無視し、

オフィームは続ける。

「・・先ほども言いましたがこちらの三名は“S&S社”の方々、我が主、シェンター・ノウビシウムがテナクス王将より命を受け、私が責任をもってお連れした客人・・・」

バレフ「(・・や、やばい・・ノウビシウム家だ・・だとしたら間違いなく王将の客人・・・)」

コーディ「(・・影の参謀と名高いシェンター・ノウビシウムの手の者に何という事を・・我々の名前もバレてる・・)」

グコック「(・・こんな小娘が次期ノウビシウム家当主だと!?・・わかるわけないだろ・・これは事故だ事故・・不慮の事故・・逆らう気などもうとう無い・・どうする?どうする!?)」

オフィームは再度わざとらしく時間を気にする

そぶりを見せた。

「(はっ!遅れてしまっては我々のせいになってしまう)い、急げ、約束の時刻に遅れてしまうぞ・・足止めして申し訳なかった」

バレフがそう言い、

最後ソロルへ向けて謝罪すると

コーディも続く。

「(シェンター殿が関わるなら王将にとって重要な客人)し、知らなかったとは言え非礼をお詫びする・・さぁもう行ってくれ、遅れてしまう」

2人が手のひらを返したのを見て、

グコックも遅れて言う。

「し、知らなかったんだ、事故なんだ・・気品あふれるあなたを見た時に気が付けばよかった、今度当家のパーティーに招待させてください」

「は、はぁ・・」

ソロルが苦笑いを浮かべると、

グコックは態度を変えオフィームに

言い放つ。

「何をしている!急いでお連れしないか!我々はさっきから急ぐように言っているんだ!間違っても遅れた理由などにするんじゃないぞ!」

オフィームは何も言わず会釈すると

ソロル達に向けて言う。

「・・・では。行きましょう」

ソロルがオフィームに習い、

軽く会釈すると、ツンとした表情の

ロレーヌも会釈した。

ミノアも苦笑いを浮かべつつ

会釈したが、ナトスは言葉を発する。

「・・薄っぺらい事・・・」

一同「!!?」

「んだと!?」

グコックが反応すると

ナトスが続ける。

「俺達の様な若造に馬鹿にされたまま、手のひらを返しもう忘れている・・薄っぺらい事この上ない人間だと言ったんだ、一回で理解しろ」

「兄さん!“達”って何だよ“達”って、この人達は自分より強い権力の名に怯え尻尾を巻いて逃げようとしてるんだよ、それでスカッとしたんだしもういいでしょ、これ以上は可哀そうだって僕は止めてる側だよ、兄さんと一緒にしないでよ」

グコック「お、お前らぁ・・」

ロレーヌ「(ミ、ミノアのこれって、もしかして天然?・・)」

ソロル/オフィーム「・・・はぁ・・・」

せっかく場が収まったのに、

ナトスとミノアが再燃させたのを見て

ソロルとオフィームは頭を抱えた。

「グコック様この場は抑えて、もう行きましょう」

コーディがそう言うと、

バレフも続く。

「お前たちももう行ってくれ・・さぁグコック様行きましょう」

「んぬぅぅ・・」

グコックは怒り心頭のまま

コーディ達に連れられその場を後にしていった。

立ち去るのを見送ったナトスが

進行方向へ振り返ると、

オフィームと目が合った。

「・・ナトス様、お願いがございます」

「ん?」

オフィームは続ける。

「これから会うお方は、最高ランクの冒険者にしてこの国のトップ・・代表でございます。先ほどの様な勘違いした者たちとは違い、名実ともにそれにふさわしいお方・・その尊厳は保たれなければなりません・・・」

オフィームの言葉を聞いていたナトスは

笑みを浮かべて答える。

「フ・・何が言いたいか分かってます、オフィームさんの言う通りの人物なら今みたいなことにならないので安心してください・・しかしそいつはどうなるか分かりませんよ」

ナトスがミノアに視線を向け

そう付け加えると、

皆もミノアへ視線を向けた。

「え!?・・そいつって僕の事??」

ミノアがそう言うと

ナトスは続ける。

「意図的にあの発言をした俺は、オフィームさんのお願い通りそうならないようにすることは可能だ・・しかし・・みんなも気付いての通り、ミノアは素であれをやってる・・素直に自身の思いを口にしてるだけに過ぎない・・・恐ろしい限りだ」

「はぁ?変な事言うのやめてよ兄さん!僕は何も変なこと言ってない!」

そう反論するミノアを見て

オフィームは諦めた様に言う。

「・・はぁ・・・無事に事が済むのを祈る事にします・・・」

「何で・・僕は大丈夫だよ、安心してください」

「・・・」

自信満々にミノアはそう言ったが、

オフィームは肩を落とし、

何も言わず歩き出した。

「?」

ミノアが頭に?を浮かべると、

オフィームに続き歩き出したソロルが、

ポンとミノアの肩をたたき言う。

「・・ミノアの事は信じているわ、でも・・何も言わない、それが一番いい事もあるわ」

「え?何なの?」

ソロルがそれだけ言い歩き出すと、

続けてロレーヌがミノアの肩をポンと叩いた。

「・・さすが兄弟ね・・面白い物を見させてもらったわ」

「・・い、意味が解んないよ・・」

困惑するミノアが

ロレーヌを見送っていると、

後から続くナトスが立ち止まり

ミノアへ視線を向け言う。

「・・俺のカウンターでグロッキーの相手に見事な追い打ちアッパーだった・・最後のはダウンした相手を執拗に踏みつけているようで、俺からも可哀そうに見えたほどだった・・・」

ナトスはそう言うと、

親指をグッと立て、

ロレーヌに続き歩いて行く。

「え?え?・・僕はそんなことしてない・・よね?・・・」


グロック達は官邸の外へ来ていた。

「だ、大丈夫ですかグロック様・・」

コーディがそう言うと、

グロックは腕を振りほどきながら喚く。

「うるさい!大丈夫な訳無かろう!」

コーディとバレフが困った顔で

お互いを見あう中、

怒りの収まらないグコックは

憤怒の表情を浮かべていた。

「(・・ゆ・・許さん・・許さんぞあいつら・・特にあの若造!!・・俺が可愛そうだと!?見ててスカッとしただと!?・・め、目に物見せてくれる!・・・確か“S&S”と言っていたな・・・)」


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