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胸騒ぎ④

~リデニア国都市コハキ北街~

~民間B型ギルド「オーバー・ザ・リミット」~


トゥルットゥルッ。

マスター室の電話が鳴り、

ギルドマスターのエルガが取る。

ガチャ・・。

「はい、オーバーザリミット、マスターのエルガ・モンテイロです」

「俺だ、こちら側で色々動きがあった、伝えておく」

「お兄様・・・私からもご報告が、ユート・トラフォールの周りで気になる動きがありました・・」

「そうか・・俺から話そう・・」

エルガ・モンテイロ、彼女の電話の相手は、

ガイン・トラフォールの側近中側近、

Sランク冒険者のアルガ・・アルガ・モンテイロだった。

アルガは続ける

「御じい様の指示通り、アキト・トラフォールは“リベロット”の構成員となった、オファククの南、オラミタの港に潜伏していたが、弟たちが上手くやったようだ・・今頃はクヨトウに戻っているだろう・・」

「そうですか、流石ウルガお兄様とオルガですね」

「あぁ・・っで、そちらの報告とは?」

「はい・・アキト・トラフォールの元パーティーメンバーをご存知ですよね?ユナ、ミュウ、そしてソロル・ノウビシウム・・・」

「・・あぁ、ソロルパーティーの周辺調査をガインから依頼されている・・・」

「・・偶然ですが、彼女たちがユートの前に現れました」

「・・・偶然・・なのか?」

アルガがそう質問するとエルガは一拍置いて返答した。

「・・・おそらくは・・しかし、一歩間違えればユートは死亡していたでしょう・・いや、私を含めたその場に居た全員・・・」

「・・・」

「・・・」

沈黙が流れた後、アルガが言う。

「・・一度、本部で会い話をしたい・・イルガにも声をかけておく、良いか?」

「・・はい」

カチャン・・。

受話器を下ろしたエルガはおもむろに立ち上がると、

ベランダへ歩き出した。

そしていつもユートが立っている場所に立つと、

手を胸の前で握り、祈るように目を閉じた。

コンコン。

「ファンです、お伝えしたい事が」

不意に扉が叩かれ、ギルド職員のファンが声をかけてきた。

「・・どうぞ、入ってください」

「失礼します」

ファンは入室しエルガの前まで歩み寄ると、

報告する。

「今、世界冒険者協会総務部広報課がお見えになり、こちらの書面を置いて行かれました」

「書面?」

ファンが前に出した封書を手に取り、

エルガが聞き返すと、ファンは答える。

「今回B型の当ギルドは関係ありませんが、周知をお願いしたいと、次回以降はどうなるか分からないので、目を通しておいてもらいたいとも言われておりました」


~リデニア国首都クヨトウ南街~

~クヨトウ公営ギルドA型事業局南支部~


ベネーは、マスター室の机に座り、

エルガが受け取った封書と同じデザインのものを手にしていた。

書面を取り出して読み入るベネーに、

机の前に立つトコーナが声をかける。

「広報課の人に少し話を聞きましたが・・B昇格の件本当なんですか?・・・」

書面を読み入っていたベネーは

同封されていたもう一枚の紙を手に取り答える。

「その様です・・書面にはこう書かれています」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


緊急通達


歴神323年11月15日に開かれた、

世界冒険者協会緊急役員会議にて下記の内容が

議案され可決された。


記:CランクからBランクへの昇格を追加


なお、歴神323年12月15日から開催される

リャーラ大会にも適応され、その準備期間の少なさから、

各国・各ギルドの協力を下記のルールに則り、

お願いしたい。


記:各国、11月25日までに10名のCランク冒険者を選出

 :各国、11月26日から大会が始まるまでに

10名のBランク冒険者を選出

 :A・S・SSSの昇格枠は従来通り

 :選出するCランク冒険者は、各国のA型以上のギルドが

  A型2名、S型3名を推薦する

 :推薦するCランク冒険者は、

各ギルドの専属・メイン・サブパーティー

メンバーに限らず可能

:推薦するCランク冒険者は、

拠点として活動している冒険者に限らず可能

 :推薦するCランク冒険者は、

  公平性を保つため、各ギルド付有力者の

意見を取り入れなければならない。

 :推薦されたCランク冒険者の中から、

  本戦出場の10名を選出する。

 :選出方法は各国に一存

 :その他Bランク冒険者選出方法等は

  従来通りとする。


現在リデニア国にはS型が3事業局で9名推薦される。

公営A型が15事業局、民間A型が22事業局、

計37事業局で74名の推薦が見込まれる。

延べ83名の推薦者の中から10名を

選出する方法は現時点で未定である。

各A型以上のギルドは、速やかに

推薦状の提出をお願いする。

今回B型以下のギルドには推薦権が無いが、

同封の貼り紙を掲載し周知をお願いする。


推薦状提出先:王将官邸

※11月19日12:00まで


以上。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「やりましたね♪ベネーさん達の嘆願書が実を結んだ形になりました♪」

「えぇ」

トコーナが喜びを露わにすると、

ベネーも笑顔で返した。

ベネーは手に持っている紙をトコーナに手渡し続ける。

「これを下の掲示板に」

「周知用の貼り紙ですね♪ど真ん中に貼っておきます!」

「お願いしますね」

ベネーが笑顔でそう返すと、

トコーナは軽い足取りでマスター室を後にした。

「・・・さて・・」

そう呟いたベネーの表情は少し困惑していた。

何度も嘆願書を出していたベネーにとって

今回の件は正直嬉しいと感じていたが、

手放しで喜べずにいたのだ。

「(・・推薦したいと最初に思い浮かべたのはあの2名・・・しかしこれは・・・)」

“公平性を保つため、各ギルド付有力者の・・・”

今回のルールに記載されているその部分に、

違和感を覚えていた。

「(確かに、各ギルドには付き合いのある有力者・・上流階級とのつながりはありますが・・“公平性”?・・・マスターレベルでも客観的観点から推薦する根拠があるのならそれで問題無いはずですが・・・なぜわざわざ・・)」

ベネー自身、最初に思い浮かべた2名こそ、

客観的にも推薦するに相応しいと感じていたからこそ、

その部分に疑念を抱いた。

「(・・急な変更・・円滑に進めるためには必要なのかもしれませんね・・・取り急ぎ当ギルドからの推薦者を決めなくては・・・)・・ルールに則るほか有りませんね・・・」

ベネーは自分に言い聞かせるようにそう呟いた。


~精神世界~


白く広がる空間。

その空間の至る所に亀裂が見える。

その亀裂は修復される様に消えていくが、

また新たな亀裂が生まれる。

破壊と修復を繰り返すように。

その空間で横たわっているナトスを、

女性が膝枕していた。

ナトスはゆっくりと目を開ける。

「・・・ここか・・」

その声に反応するように、

女性はナトスの亜麻色の髪を撫でる。

ナトスは少し微笑むように目を閉じたが、

すぐに目を開け起き上がった。

女性の前に座ったナトスは、

その顔を見据え呟くように名を呼ぶ。

「・・アルモニア・・」

「あなたは正しい・・・」

「フ・・胸騒ぎの件か?・・」

「そう・・あなたは正しい・・・」

機械的に繰り返すように話す神アルモニアに

ナトスは言う。

「俺の精神に根付く幻影・・・しかし、話しが出来て良かったよ」

神アルモニアは微笑みナトスに伝える。

「あなたは強い、逃げる必要は無い」

「フ・・前ここで、嫌と言うほど聞いたよ」

「そう・・あなたは強い、逃げる必要は無い」

“自発的に起きてくるみたいだし、攻撃を受けたとかじゃないんじゃないかな?”

“何だよ、かな?って、もっとハッキリ言いきれないのかよ、落ち着けねぇじゃん”

“そ、そう言われも・・”

何処からともなく声が響く。

「・・うるさい奴らだ」

ナトスがそう言い立ち上がると神アルモニアが言う。

「逃げなくとも、耐えうる強き人」

「フ・・それも聞いた、その次の言葉もな・・もう行くよ」

「耐えうる強きあなたを愛しています」



~リデニア国首都クヨトウ南街~

~S&S社付近~


ミノア、ソロル、ロレーヌ、ミュウの4人は

S&S社屋に向けて帰路についていた。

ミュウは建物の窓に自身の姿が映ると、

クルクルとポーズを決めニヤつく。

「ふふ・・なかなか良いのです♪」

「ねぇ♪気が引き締まるでしょ、やっぱり冒険者は肉体強度なのよ!」

ミュウの装備は、ソロルと色違い、同じ物に一新されていた。

「ふふ・・先輩とお揃なのも嬉しいのです♪お金も浪費出来て、また就労意欲も湧いてきたのです」

「ははは・・・そういうもん?・・」

苦笑いを浮かべソロルがそう言うと、

2人のやり取りを聞いていたロレーヌが言う。

「あら、ソロルもかなり高価なもの買ってたじゃない」

「シー!!内緒ですよロレーヌさん!」

慌てるソロルを見てミノアが言う。

「やっぱり、お姉も買いたいものあたんだね」

「内緒よ内緒!特にナトスにはね!・・・って、あれ?」

ソロルが進行方向に視線をやると、ある事に気付いた。

その反応と視線につられ、

他の皆も視線をやると、

S&S社の前に立つユナが見える。

落ち着きなくキョロキョロしていたユナも

ソロル達に気付くと、慌てて駆け寄って来た。

「ミ、ミノア!・・」

一同「?」

ソロル達が困惑する中、

駆け寄ったユナが続ける。

「すぐに来てくれ!教官が、ナトスが大変なんだ!」

一同「!?」


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