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捜査官ブロード①

~異世界メジューワ、リデニア国首都クヨウトウ南街~

~世界冒険者協会南治癒院~


「ん?(あれは・・)」

ロレーヌと別れて、遺体安置所に向かうブロードが

今まさにそこか退室してきた二人の女性に気が付く。

「うぅ・・う・・」

「大丈夫ですかお母さま・・・」

今にも泣き崩れそうな中年の女性を支え、

寄り添う人物を見てブロードは呟く。

「・・・ベネー様?・・」

ベネーは遺体安置所から退出すると、

扉の前で警備している人物にお礼を言い歩き出した。

「・・ありがとうございました・・・さ、お母さま少し座りましょう」

「手を貸します」

ブロードはベネーの反対側から中年女性を支える様に

腕を絡めそう言うと続ける。

「そこの椅子に」

リリーの母を椅子に座らせると、

ベネーが言う。

「助かりました、ブロードさん」

「いえいえ、それよりもこの方は?遺体安置所から出て来られたように見えましたが」

その問いにベネーは立ち上がりつつ答える。

「・・リリーと言う冒険者がここで保護されていると聞きました・・・その方のお母さまです」

「・・・なるほど」

ブロードも立ち上がり続ける。

「ベネー様、少しお話を伺いたいのですが、よろしいでしょうか?」

ベネーはそれを了承するように、

リリーの母に声をかけた。

「お母さま、少し席を外しますね」

「え・・えぇ・・」

動揺を隠せないでいるリリーの母親が応答すると。

2人はリリーの母親から離れる様に歩きだした。

「・・ベネー様、リリーと言う冒険者の名をどこで?」

「S&S社の方からですよ、わざわざ報告しにギルドまでいらしたので」

「報告・・・」

ブロードはリリーの母親から十分離れたのを確認し立ち止まると、

ベネーの方を向き続ける。

「・・その方は犯人について何か話されましたか?」

「いえ何も・・捜査課から依頼されていたこの件は、当ギルドからS&S社へ委託した時“犯人”が居ると想定していなかったので・・・犯人はそちらに引き渡されているのでは?」

「・・えぇまぁそうですが・・・」

歯切れの悪いブロードに違和感を覚えたベネーは

逆に質問を返す。

「彼からの報告には犯人の人数も目的も有りませんでしたよ、依頼の内容から自然だとは思いますが・・・何か気になる事でも?」

「(彼?男か・・・)」

ブロードは少し思案した後、語りだす。

「・・・ベネー様は、捜査課からこの事件の依頼先、完全に部外者とは言えないのでお話ししますが、犯人グループは全員で7名です、その内3名が生きた状態で捜査課に引き渡されました・・」

「生きた状態!?・・・では残りの犯人は・・・」

「えぇ・・遺体でここへ運ばれています・・・」

「・・・」

何も言わないベネーに、

独り言のようにブロードは語りだす。

「・・どうなんでしょうねぇ・・殺された冒険者の数は4名、遺体で運ばれた犯人の数も4体・・・犯人の遺体は損傷が酷いものからそうでないものまで様々ですが、全て首を落とされたのが死因・・・私ねぇ、自分自身が“目には目を歯には歯を”的な考えをする事が有るので勘ぐってしまうんですよね・・・その“彼”?ですか・・会ってみたいなぁ・・・」

「(・・・ナトスさん・・)」

ベネーはブロードの話を聞き、

ナトスが意図時に犯人を殺傷したのではないかと感じた。

ベネーは“タービの遺跡”へ潜った日、

そこから帰還した後ギルドで話をしたのを思い出していた。

アキト・トラフォールについて。


~回想~

「(・・さ、さっきまで遺跡に居たのに・・・)」

クヨトウ公営ギルドA型事業局南支部の

カウンターロビーに腰かけたベネーは、

遺跡の最深部から一気に戻ってきた事実に

未だ困惑していた。

そんなベネーに、ナトスとミノアが同時に声をかけた。

ナトス/ミノア「・・ベネーさん」

「え!?」

ベネーが驚いたように声を発すると、

ミノアが譲るようにナトスに言う。

「あっ、先に良いよ兄さん、何か聞きたいことあるって言ってたもんね」

「いや、ミノアから先に聞いて良いぞ、俺よりも先にベネーさんと一緒に居たんだ、俺の知らない話がありそうだ・・」

ナトスが譲り返すと、

ミノアが話し出す。

「そっか、実は遺跡に行く前アキト・トラフォールと言う人物について話をしてたんだ」

「・・・なるほど」

ミノアはベネーの方を向き続ける。

「僕の直感が正しければ、お姉は危険にさらされるかもしれない・・・その、何て言うか・・人が人を殺した場合どうなるのかなて・・・この世界の何て言うか、決まりと言うか・・・」

「・・法律、秩序の話だな」

「そう!それ!」

ミノアとナトスのやり取りを聞いていたベネーは

ミノアの意図を汲み取り、釘をさすように答える。

「・・殺人は世の中の平和、秩序を乱すような行いです、世界冒険者協会安全保障部法務課が裁きを下す事になり罪に問われれば償う事になるでしょう・・・仮にあなた達がアキトを殺した場合、ソロルが償う事になりますよ、あなた達を召喚した召喚士ですから・・」

それを聞いたミノアは慌てて質問する。

「え!?た、例えば、それが正当なものだったとしたら許さる的なのはあるの?」

「“正当防衛”ですね?・・・当然その行いが道理にかなっているのかどうか、法務課が裁く事になりますが、召喚士の場合不利に見られます・・・過剰にならない事ですね・・」

ベネーとミノアのやり取りを静かに

聞いていたナトスが口を開く。

「理非など第三者が判断できるものじゃないと俺は思っている・・“目には目を歯には歯を”・・俺達は俺達の為にもソロちゃんを守る・・それだけだ」

~回想終~


「・・ネー様・・ベネー様!」

「え・・あっ、はいはい、どうしましたか?」

ブロードに呼ばれる声に反応し

ベネーが応答するとブロードは続ける。

「あれ?今の独り言だと思いました?・・一応ベネー様に聞いてもらっているつもりだったのですが・・・」

ブロードが疑いの姿勢を見せる中、

ベネーは平然と話し出す。

「ちゃんと聞いていましたよ、あなたの言わんとしている意図を感じ考えていたのです・・私は先ほどその“彼”に会っています・・・私が感じた“彼”の人物像とあなたの言いたい事が全くマッチしないなぁと・・・」

ベネーがブロードの言葉を否定するような意見を述べると

ブロードも調子よく話す。

「あぁなるほどなるほど・・いやぁ私もね、さっきロレーヌさんと話をしてたんですが、どうしても想像が出来ないんです、私が想像しているような現場に彼女が居て起こりえるのかなぁって・・・ロレーヌさんの人間性を考えると想像しにくいんですよね・・・」

「私もロレーヌの事は良く知っています、私も同じように思いますし、あなたの考えすぎなのでは?」

ベネーはブロードの意見に同意しつつ

“彼”への考えに対し否定した。

ブロードは質問を変える。

「やっぱりそうなんですかねぇ・・・時にベネー様、その“彼”ですが・・どれぐらいお強いのでしょうか?」

ピクッ!

ナトスとミノアがどれぐらい強いのか、

ベネー自身も図り切れずにいるその事を言及され、

思わず反応してしまう。

「・・なにか・・ご存じの様で・・・」

ブロードはベネーの反応から独り言のようにつぶやいた。

ベネーは一拍置いて、

観念したように素直に答えた。

「・・・それは・・・私自身も知りたい事です・・どれぐらい強いのでしょうね」

「・・・」

ブロードがベネーの発言に真意思案していると、

背後から声をかけられる。

「ベネーさん」

その声に反応し二人が振り返ると

そこにはリリーの母親が歩み寄るのが見える。

「娘の、娘の所へ行きませんか?早くリリーの顔を見たい・・・」

ベネーはリリーの母親に歩み寄り寄り添うと言う。

「もう大丈夫そうですね、さっそくリリーさんの所へ向かいましょう」

ベネーはリリーの母親が頷くのを確認すると、

ブロードに視線を移し続ける。

「ではブロードさん、私たちはここで・・・また何かあればその時に」

これ以上話をするのは難しいと感じたブロードは

観念したように振り返り言う。

「早く行ってあげてください、私はこれで・・・」

ベネーはブロードがあまりにも簡単に引き下がった事に

違和感を覚えたが、すぐにリリーの母親を促すように歩き出した。

すると後ろから声が響く。

「あっ、そうだ」

ブロードのその声に反応して

ベネーが振り返るとブロードは続ける。

「近くにロレーヌさんが居ると思います、リリーさんの身に何があったのか・・彼女から聞いてみるのも良いかもしれません、私から説明するのが筋なのでしょうが・・・現場に居た同じ女性の彼女の方が適任やもしれません、声をかけてみてください」

その言葉を聞いたベネーは、

先ほどナトスが去り際に言った言葉を思い出し思わず笑ってしまう。

「ふふふ・・」

「ん?なにかおかしなことでも?」

それを疑問に思ったブロードがベネーに問うと、

笑顔のままベネーは言う。

「あなたが気にしてる“彼”だけど、良い友達になれるわよ」

キョトンとした表情のブロードを置いて

ベネー達はその場を後にしていく。

「・・・友達・・ねぇ・・」


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