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使えない力⑤

読んでいただいている方々へ。


更新が滞る状況が続いております。

年内はこんな感じかもしれません。

~クヨトウ公営ギルドA型事業局南支部~


カウンターフロアのテーブルに、

中年女性に寄り添うように座るベネーに

トコーナが歩み寄る。

トコーナがベネーの耳元で何かを言うと、

ベネーはカウンター前に視線を移す。

そこにはナトスが立っており、

それに気づいたベネーは、中年女性に声をかけた後

立ち上がり歩み寄って来た。

「(彼がここを出て80分・・・)」

ベネーは時間を確認しつつ

ナトスの目の前に立つと言う。

「・・依頼の報告と聞いたのですが・・・こんな短時間で何か情報を?」

「中間報告と言う形にはなるが、失踪者は全員発見できた、これから魔獣の方を調査する」

それを聞いたベネーは目を見開き慌てて問いただす。

「ちょ、ちょっと待ってください、失踪者全員を見つけたのですか!?」

中年女性「!?」

思わず声を張り上げてしまったベネーは

慌てて自分の口を押え、落ち着いた口調で続ける。

「こ、こんな短時間に・・・救出部隊等必要ですか?直ぐに手配は・・・え?」

ナトスの視線が自分ではなく、

背後を見ている事に気付いたベネーは

振り返りそこに居た人物に声をかける。

「・・お母さま・・・」

そこには中年女性が近くまで歩み寄る姿があった。

「ベネーさん・・今“見つけた”って聞こえて・・・その方は娘の事件を捜査されている方なのでしょ?・・・な、なら・・娘が見つかったのですか?・・・」

中年女性はそう言うと足早にナトスに近付き、

すがるように続ける。

「ど、どうなんですか!娘は・・娘は無事に見つかったんですか!?」

ナトスは一拍置いて、中年女性の顔つきから、

似ていると感じた名前を口にする。

「・・・娘さんの名前はリリーさんでしょうか?」

「はっ!そ、そうです!!み、見つかったんですね!?」

「はい・・」

「・・・無事なんですよね!?娘は・・無事なんでしょ!?」

「お、お母さま、少し落ち着いて下さい」

興奮しナトスにすがるリリーの母を

ベネーがなだめる様に引き離すと、

ナトスは語りだす。

「・・リリーさんは命に別状有りません・・ベネーさん、救出部隊も不要です、既に治癒院にて保護しています」

「はぁ・・・あぁ・・良かった・・女神様ありがとうございます・・・」

安堵し力なく崩れ落ちそうになるリリーの母を

ベネーは支えつつ、ナトスに質問する。

「ぜ、全員と言いましたね?皆、治癒院に?」

「はっ!そ、そうです!娘の、リリーの婚約者テレンス家の息子さんも一緒ですよね?」

ベネーとリリーの母親からの質問に、

ナトスは少し考えた後答える。

「・・・そのうちわかる事です・・はっきり申し上げますが、失踪していた冒険者7名の内4名は遺体で見つかっています、死亡していたのはすべて男性で、リリーさんを含めた3名の生存者は女性です・・・これは魔獣被害、事故などではなく、人的な犯行・・事件として通報し、犯人はすでに捜査課に引き渡されていると思います・・・」

「そんな・・・殺されていたというの・・・テレンス家の息子さんが・・・な、何故!?どんな理由で犯人はそんな事を!?」

狼狽えるリリーの母をなだめる様にベネーが言う。

「ま、待ってくださいお母さま、彼の依頼範囲はあくまでも捜索、犯人に関する事はこれから捜査課が調べるはずです・・・」

ベネーはナトスに視線を向け続ける。

「(・・・ナトスさんの言い回し・・・状況から考えて恐らく女性は)・・生かされてた・・という事ですか?」

ナトスはベネーの質問の意図を理解し、

それに頷くと、続ける。

「治癒院に上司のロレーヌ所長がおります、同じ女性として俺よりうまく説明できるでしょう・・・俺からはここまでです」

「・・わかりました」

ベネーはナトスに返答すると

リリーの母親に語り掛ける。

「・・お母さま、これから一緒に治癒院へ行きませんか?」

「も、もちろんです!リリーに・・早く顔を見たい・・・」

ナトスは二人に軽く会釈をし言う。

「・・では、俺はこれで」

足早にその場を後にするナトスに

ベネーは声をかけそうになるのを堪え、

静かに見送った。


~S&S社~


ユナ「ハァ~・・(平和だ・・)」

ピューネ「(・・ミノアまだかなぁ・・・)」

ソロルは屋上の二人を食堂の窓から眺めつつ、

コーヒーを三人分入れてきた。

コトン。

「はい、コーヒーよ」

コトン。

「ありがとうお姉」

「いただくよ」

ミノアとアンプレスがそう言うと、

椅子に座りながらソロルは続ける。

「・・っで、あなた達の力・・異世界の能力だけど・・・」

「話を聞く限り万能そうに見えるが・・・“使えない”とはどういう意味だ?」

ソロルに追従するようにアンプレスがそう付け加えた。

ミノアはソロルとアンプレスから異能の力について

質問攻めを受けていた。

「・・えっと・・何て言うか・・そのままと言うか・・・」

ミノアが返答に詰まるのを見て、

アンプレスが続ける。

「明らかに、文字通りの意味とは思えないのだが・・・ゴミ技能過ぎて使えないと言う訳ではないだろう?強力すぎて“使えない”・・・そう言う意味じゃないのか?」

「そーよ、魔獣を拘束して魔法技能までも阻止してたのは目の前で見たわよ、優秀な技能でしかないわ・・・もしかして何かしらの制約があっておいそれと“使えない”って意味?」

ミノアは苦笑いを浮かべつつ答える。

「はははは・・・アンとお姉が言った意味合いが全部あてはまるかも・・・」

アンプレス/ソロル「はぁ?」

声をそろえて困惑する二人に、

ミノアは続ける。

「ど、どこから説明すればいいか分かんないけど・・・」

ミノアはコーヒーを一口飲むと、

一拍置いて語りだした。

「・・・お姉の言う僕たちの異世界の力は、超能力って言われてる、僕らの居た世界ではね」

「ちょーのうりょく?」

「・・“超”能力・・そいつは又大層な名前だな・・・」

「ははは・・確かに・・・お姉たちが見た魔獣を拘束した力も超能力なんだけど、それ系統の能力の事を“念動力”って言ったりもする」

「ねんどうりょく・・?」

ソロルが頭に?浮かべそう呟くと、

ソロルとアンプレスの目の前にあるコーヒーが、

フワフワと宙に浮きだした。

ソロル/アンプレス「!?」

「こんな風に目に見えない、言わば意思の力で物を動かしたりする力の事だよ」

コトン、コトン。

ミノアがそう言うとコーヒーはテーブルに着地した。

ソロルとアンプレスが絶句するなかミノアが続ける。

「アンが言った様に、僕と兄さんの力は強力で範囲も広く出来る事も多い・・・神トゥルチアさんの言葉を借りるなら、神の領域・・・だから、トゥルチアさんからもアルモニアさんからも注意を受けてる、お姉の言った制約みたいなものかな・・」

ミノアがコーヒーを口にすると、

話を聞いていたソロルもつられてコーヒーを飲もうとする。

しかし手を止め、手にしているコーヒーを指さし

ミノアに疑問を投げかける。

「ね、ねぇ・・これって飲んでも大丈夫よね?」

「ははは・・ホント、手で持ち上げてそのまま下ろした見たいなもんだから大丈夫だよ・・中身が変わってるとかないから」

ソロルはそれを聞き安心したようにコーヒーを口にする。

「(・・・神の領域かぁ・・・)」

ソロルがそう思っていると、

同じ様にコーヒーを飲んでいたアンプレスが

疑問を投げかける。

「・・強力すぎて使用を控えるような制約があるのは何となくわかったが、その理由がわからない・・・自分たちの目的があって、それを遂行するためにはガンガン使っていった方が合理的だと思うが・・」

「・・そうだね、さっき話した通り僕たちの目的は女神ゼイアに力を与えられたこの世界の人間を倒す事・・・それ以外の干渉をトゥルチアさん達は嫌ってる・・・あまり説明とか得意じゃないから分かりやすく例えるなら、このクヨトウの何処かに倒したい人物が居るとして、何も考えず僕がこの力を最大限使用するなら、クヨトウ全域を上から押しつぶすか・・・あっ」

ミノアは何かに気付いたように声を漏らすと、

ミノアの言葉に絶句していたソロルとアンプレスに向けて、

笑顔で言う。

「僕より説明が上手な人が帰って来たみたい」

「物騒な話が聞こえたが、一体何の話をしてるんだ?」

三人の居る場所へナトスが戻って来た。

ソロル/アンプレス「ナ、ナトス・・」

ナトスの目には困惑し顔を引きつらせた二人が映る。

・・・・

・・・・

「・・っと、いう所でミノアからクヨトウ壊滅の話がブッコまれたんだ・・・」

落ち着きを取り戻したアンプレスとソロルが事の経緯を説明すると

ナトスは話し出す。

「(合理的ね・・・)まぁ結論から言うなら、ミノアの言った“使えない”力は全部にあてはまるで正解だ、もちろん“ゴミ技能過ぎて使えない”も含めてな」

ソロル/アンプレス「は?」

「はぁ~・・」

ナトスは屋上のユナに視線を向けると

大きなため息を付き続ける。

「俺はまだ仕事中で、暇じゃない、近くに戻っていたから立寄っただけ・・・」

ナトスはミノアに視線を向け言う。

「お前、俺に説明させようとしてるだろ、残念だが自分で広げた風呂敷だ、自分で回収しろよ」

「はははは・・・」

ミノアが苦笑いを受けべる中

ナトスは続ける。

「時にソロちゃん、見るからにあいつは暇そうだから借りても良いか?」

「え!?・・あっ、あいつってユナ?・・特に今日はパーティーで動く予定はないけど」

突然話を振られ驚きつつもソロルが応答すると、

ナトスはその場から消えた。

「あっ!ちょっと!・・・もう・・・」

次の瞬間、屋上のユナの近くに立つナトスを見つけ、

ソロルはミノアに疑問を漏らす。

「なんであいつは、ユナに構おうとするのかしら・・・」

「さ、さぁ・・・あきらかに苛ついては居たけどね・・・ははは」

ミノアは苦笑いを浮かべそう返答した。


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