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「こっちだといい例えしらないんだけど。
ドラゴンって、頭良いんだよ。
まぁ、お前は知ってると思うけど」
火の番はエステルに任せ、レイは俺とゴンスケたちを連れて移動する。
「なんの話だ?」
「例えばの話な。
というか、極端な話な。
戦地とかだとあるらしいんだけど。
誘拐した子供とか孤児とかに爆弾とか、爆発系魔法、まぁ殺傷能力のたかい術式を仕込んでおいて、敵兵が子供を保護しようとしたらその罠が発動。すると敵兵を殺す方法がある。
あとは、例えば子供をただ間引くだけだと勿体なくて、どうせいらない子供なら有効活用しようと、獲物に捕まえさせる。
そこで殺されるならそれはそれ。
上手く餌になってくれるなら、それもよし。
どっちにしても、仕掛ける側は損をしない」
やがて、拓けた場所にでた。
レイは足を止め、変わらずゴンスケの檻の中にいるドラゴンの子供を見た。
「もう、テツならわかってるだろ?」
俺は、頷いてレイを見ながら言った。
「このドラゴンは、家族から捨てられたのか」
「半信半疑だったけどな。
まぁ、外れてるならそれはそれでよかったんだけど。
ほぼハンデのせいで、出来ないことをやれ、やらないのは、やれないのは怠けてるからだっていう根性論がきっと近いんだろうな。
まぁ、こいつの将来を案じて死に場所を用意したってのもあるとは思うけど。
ドラゴンって誇り高いからさ。老齢のやつらだと死に場所を求めて姿を消すやつもいるらしいし。
そこそこの大人のドラゴンだったら、仲間のために自害する知恵もあるらしい。
でも、コイツは子供だ」
そこで、レイは言葉を切って、俺を見てくる。
「なんで、間引くのにその親が手を下さないと思う?」
「え」
「追い詰められたなら、まぁこれも極論だけど。
身内と一緒に逝く選択もするだろ。
でも、大概の生き物には生きたいって願望があるんだ。
もしくは、自分だけは死にたくないって、願望が。
そして、自分達の手をできるだけ汚したくないって願望が。
こっそり間引いて、土の中にでも埋めとけば良い。
でも、それをしないのは、なんでだ?」
「いやいや、殺しは悪いことだろ」
「殺すのがダメで、捨てるのが良いって誰が決めたんだ?」
「それは」
「どっちも人間の道徳基準からすると悪いことだろ?
でもなまじ理性があると最悪より、最良より、最善を選ぶんだよなぁ、人間もドラゴンも。
自分にとっての、最善を選ぶ。
面白いよな」
言いつつ、レイはくるり、と体の向きを変える。
そして、手招きする。
拓けた場所は、崖になっていた。
その下を見ると、少し離れたところに火の明かりと煙が見えた。
先程まで、俺たちがいた場所だ。
そこで、レイがパチンっと指を鳴らした。
すると、背筋に悪寒が走る。
風邪かなぁ。やめて、ほしいわ、こんな場所で風邪引くのはちょっとなぁ。
「おーおー、これはまた」
実にレイは楽しそうに言った。
「きゅうるるる! くぅるるる!」
ガタガタと、今まで以上に黒竜種の子供は檻の中で震えだした。
「ぎゃう?」
「きゅうるるる~。きゃうるるるる~!」
黒竜種の子供は、なにかをゴンスケに訴えている。
「で、ちょっと話を戻すんだけどな」
「うん?」
「ミスディレクションの話、覚えてるか?」
「あぁ、手品の話?」
「それそれ。つっても、俺もまさかこんな原始的なやり方がここまで上手く行くとはおもってなかったんだけど」
スっ、とレイはエステルがいる場所を指さす。
「奇をてらわない方がうまくいくって、ガチなのか」
レイはそんなことを呟く。
同時に、ドラゴンの咆哮が響き渡った。




