表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【急募】捨てられてたドラゴン拾った【飼い方】  作者: カズキ
可愛い子に旅行に誘われて行った話
70/130

69

 「で、ここには主に三種類のドラゴンが生息していると言われてる。

 ゴンスケと同じ、遥かな古代にはこの世界を支配したとされる神龍種(シェンロン)。神話の時代には魔神の乗り物だったと伝えられる黒竜種(ナイトドラゴン)。んで、伝説にある大地の女神と契約を交わしたと伝えられる、地竜種(アースドラゴン)


 そんな云われがあったのか、知らんかった。

 まぁ、中央大陸の神話やら伝説なんて、東大陸じゃメジャーじゃ無かったしなぁ。


 「俺の狙いは、黒竜種(ナイトドラゴン)な」


 「ドラゴンってどう見分けるんだ?」


 「もう見た目から違う。ゴンスケは神々しい白い体だろ?」


 俺は、近くの泥であそび始めたゴンスケをみた。

 神々しいとは、お世辞にも言えないくらい泥んこである。


 「黒竜種(ナイトドラゴン)は、体が夜空のような闇色、もしくは黒色で、なんかラメっぽい感じでキラキラしてる」


 「へぇ」


 「で、めっちゃ気性が荒い。

 だから、竜種の中でも一番ペットには向かない」


 うぉい!

 なんで向かないやつを捕まえようと思ったんだ。


 「ん? なんで神龍種は、ロードドラゴンとかゴッドドラゴンじゃないんだ?

 おもしろい、響きだなシェンロンって」


 俺はなんとなく気になって、そう聞いてみた。


 「あー、そっか、そうだよな。まぁ意味は同じだからその辺のことは気にしなくていい。

 で、ここにはいないらしいけど、面白いのが北大陸にいる黒銀竜種(フェンリル)

 これ、どんなドラゴンかわかるか?」


 「あ、名前なら知ってる。たしか北大陸の神話に出てくるでっかい狼だ」

 

 「そう、神話の元ネタになった竜。まぁ、どっちが先だったのかはぶっちゃけわからないんだけど。

 その黒銀竜種(フェンリル)は名前の通り狼の姿をしている。

 名前の表記にあるとおり、黒銀の毛並みをしためちゃデカい狼だ」


 「狼なのに、ドラゴン?」


 「な? おもしろいだろ?」


 「矛盾というか、なんというか、なんか納得いかない」


 「なんで?」


 「なんで、ドラゴン扱いなのかが」


 「うーん、それな。ほんと、それな。

 ちなみに、この黒銀竜種(フェンリル)、相手を主と認めればすんごい、懐くんだよ。

 ウチのマカミ、見るか?」


 「ま、まかみ?」


 「俺が飼ってる黒銀竜種(フェンリル)の名前。マカミって言うんだ。ちょっと前に勝負して、負かしたら懐かれたんだよ。

 話を聞いたら、群れから追い出されたとからしくてさ。

 で、連れ帰って飼ってる。

 人間にも化けれるから、留守番にはもってこいでさ」


 ドラゴン飼ってるなら、わざわざ新しく狩る必要ないんじゃ。

 こいつの意図がいまいちわからん。

 レイはデジカメを取り出すと、画像を見せてきた。

 そこには、獣耳のついた女性が映っていた。

 なんて言うか、キリッとした女性だ。

 あと、どちらかと言うと中性というか、男役をしている女性のようにも見える。


 「ヅカのディスク見せたらさ、ハマって最近ずっとこんな感じなんだよ」


 ヅカってなんだろう?

 カツラのことだろうか。

 いや、会話から連想するにドラマかなにかのキャラかな。


 「服もせがまれたからさ、作った」


 すげぇな、このバカ万能だ。

 バカなのに。

 俺はもう一度、画像に視線を落とす。

 と、ゴンスケが興味を持ったのか、横から泥だらけのまま覗きこんできた。

 じぃっと、画像を見て。

 人間バージョンに姿を変える。

 それから、むむむ、と自分の服装と画像のなかのマカミの格好を見る。


 「むぎゃぁ」


 「お、ゴンスケ、どうした?」


 レイも不思議そうに、声をかけた。


 「ぎゃう、ぎゃっ、ぎゃっ!」


 あ、もしかして。


 「こんな格好してみたいのか?」


 俺の言葉に大きく頷く。


 「あー、姉ちゃんのお古にはこんなの無かったしな。

 母さんの好みにもあわないだろうし」


 というか、これ執事服だからコスプレ用になるんだが。


 「ぎゃっ!」

 

 ゴンスケは、尻尾を矢印にして画像を指し示す。

 それから俺を指して、最後にゴンスケ自身を指した。

 あー、はいはい。買えってことね。


 「わかった。ずっと籠の中でいい子にしてたもんな。

 旅行が終わったら買ってやるよ」


 パァっと、ゴンスケの顔が明るくなった。

 目も輝いている。


 「将来、女の尻に敷かれるなコレ」

 

 おい、聴こえてるぞ、レイ。


 「…………つーか、ドラゴン飼ってるならここに来なくても、わざわざ狩らなくても良いだろ」


 「うーん、マカミは便宜上飼ってるって言っただけで、なんつーのかな?

 ペット扱いじゃないというか」


 なんだそりゃ。


 「それに、さっきも言ったけど、コイツは狼。

 大半の人間が想像する竜とは違うだろ?

 マカミはどっちかって言うと犬扱いだ」


 ドラゴンを犬扱い、か。

 まぁ、俺も似たようなもんだし、その辺は突っ込むとブーメランになるな。


 「それにしても、なんでまたその格好(馬マスク全裸)なんだ?」


 ちなみに、股間にはあの赤ら顔の民芸品が装備されている。

 さすがに、ここは、無人島じゃないしサバイバルしてるわけでもない。

 なのに、なんでレイはこんな格好をするのか、本当に謎である。


 「え、好きだからに決まってんだろ」


 馬鹿に説明を求めた自分が馬鹿だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ