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【急募】捨てられてたドラゴン拾った【飼い方】  作者: カズキ
なんかトラブルに巻き込まれた件
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 よく、女の子に対して淡白だと、マサに言われてきた。

 だが、違う。

 破壊の権化、破壊神の生まれ変わりのような姉を見てたら夢を見なくなっただけだ。

 偏見、差別、その他諸々、ネットで炎上しそうなことを呟けば、女というものは老若問わず、猫を被ると知っているからだ。

 まぁ、姉のような豪快で家でも平気で下着もしくは裸族なので裸で過ごすような女はそうそういないとは思うが。

 正直、中身見ても動じなくなってるし。

 あ、でも、姉と違って最近知り合った同年代の女の子達はとてもいい匂いがした。

 別に姉が臭いとかではなく、あんな品のいい香水があるんだと初めて知ったからだ。


 さて、その姉の遠距離操作魔法攻撃が炸裂したのだが。

 こういうのって許可とか資格とかいるはずなんだけどなぁ。

 まぁ、気にしないでおこう。

 雷撃の直撃を受けた、特進クラスの初対面の人は黒焦げになってその場に倒れた。


 『ははっ、金持ち貴族がなんぼのもんじゃい』


 「姉ちゃん、殺人だよ」


 『…………私が、そんなヘマすると思う?

 アンタが思ってる以上に私の交友関係は広いのですよ』


 「どうゆう意味?」


 『アンタ、きーーに、ーーーーっでーー?』


 急に姉の声が遠くなる。

 

 「え? なに?」


 『それーーに、ーーまれたの』


 そこで、通話が切れた。

 見れば、圏外になっている。

 

 「なんなんだ?」


 とりあえず、さっさとここから離れよう。

 俺は携帯をしまって、ふと黒焦げになったそれを見た。

 なんと、黒焦げの死体がゆらり、と立ち上がったのだ。

 なにこのホラー。

 よし、逃げよう。

 俺は、走って出入り口へ行こうとして、途中で見えない壁のようなものに阻まれた。


 「?」


 ブツブツ、背後から黒焦げでもはや顔立ちすら認識できない生徒が迫ってくる。

 壁に手を触れながら、俺は黒焦げから逃げる。

 そして、わかった。

 円形状の見えない壁の中に囚われてしまったのだ。

 と、今度は父とアストリアさんのお父さんが足場なんて無いはずの、もっと言えば建物の側面で窓くらいしかない所から飛ぶようにして、屋上に現れた。

 アストリアさんのお父さん、父さんにおんぶされてる。

 そういや、先輩って言ってたけど学校一緒だったのかな?


 「おい、大丈夫か?」


 「なんとか」


 父へそう返す。

 と、


 「あ、うしろうしろー!! テツ君、うしろー!!」


 アストリアさんのお父さんの声に振り向く。

 黒焦げが、大きな槍を振りかざす。

 うーん、この槍特殊な加工でもされてんのかな?

 全然黒くない。

 俺は転がって攻撃を避ける。


 「おい、お前いい加減降りろよ」


 「えー、先輩の背後が一番安全じゃないですか。

 万が一にも愛する嫁と子供たちを置いてくことになったらどうするんですか!」


 「いや、なら付いてきてんじゃねーよ」


 「だって、もしもテツ君が怪我とかしてたら大変だなって思って。

 冒険者は引退しましたけど、聖職者は現役なんですよ!

 回復なら超優秀ですよ、俺!」


 なんか、子供っぽいひとだなぁ。


 「耳元で騒ぐな、うるさい」


 とかやりながら、父はどこからともなく出現させた刀を一閃させる。

 どうやら見えない壁を斬り裂こうとしたようだ。

 しかし、火花のようなものが微かに散っただけで、壁が無くなった気配は無かった。


 「ちっ、駄目か」


 「先輩、多分ですけどあの黒焦げアンデッド倒さないとなんじゃないですか?」


 あー、やっぱ、そっかー。


 「…………」


 父が苦い顔になった。


 「先輩? なんか心配ごとでもあるんですか?

 先輩のお子さんなら、あんなアンデッドくらい」


 「お前、自分の娘にそれ言えるか?」


 「…………時と場合によりけりです。

 そういう状況にならない限りは遠慮したいですね。

 でも、先輩。今は、そういう状況でしょ?」


 少しの間があって、父が怒鳴るように言った。


 「テツ! お手伝いだ! それを壊せ!!」


 「アイアイサー」


 俺は、父の指示に、その場にただ突っ立った。

 そして、黒焦げがニヤニヤ笑いながら槍を掲げて迫ってくるのを静かに見つめる。

 そして、突いてきた槍を片手で掴んで、そのまま相手ごと持ち上げる。


 「よいしょっと!」


 そのまま勢いよくコンクリートの床へ叩きつけた。

 そして、動けないように手足を踏んで割る。


 壁はまだ消えない。


 「テツ、頭と心臓の部分もだ」


 苦しそうな父の声に、俺は目を瞑り木の枝を踏むイメージで、言われた場所を踏み抜いた。

 頭を踏む直前に、


 「なんで、俺が」


 そんな言葉が聞こえた気がした。


 正直、マサやリーチ、ツカサとか友達の誰かじゃなくて、そして家族の誰かじゃなくて、見ず知らずの誰かさんで良かったと思いながら、俺は下を見ないように、少しだけ上を見るようにして瞼を開けた。

 もう、姉ちゃんが出した黒雲は無かった。

 ただ、ずっと朝から変わらない晴天が広がっていた。


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