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【急募】捨てられてたドラゴン拾った【飼い方】  作者: カズキ
ギルドに会員登録して、人助けに繋がった話
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 「で、薬草やら木の実やらを集めてるわけか」


 もはや日課となった採集依頼。

 今日は、謹慎生活二回目の休日である。

 あれから、俺はゴンスケを連れて毎日ちみちみと依頼をこなしていた。

 地味で、他の依頼とは違い報酬が安いらしい採集依頼は不人気で、俺の暇つぶし&ゴンスケの散歩&小遣い稼ぎにはちょうど良かったので、片っ端から徒歩圏内の依頼を受けて小銭(それでも高校生の小遣いとしてはかなり高額)を受け取るという日々を過ごしていた。

 今日は、マサも一緒である。

 数日前の隣国の偉い人を助けたこと以外は、全部話した。

 話を聞いたマサも、暇つぶしに着いてきたのだ。

 父は、職安に行ったあとまた依頼を受けると言っていた。


 家の収入としては、俺も微々たるものだが稼いでいるのでむしろ増えている。

 昨日は、依頼主からお金とは別に高級梨がついてきた。

 あんな滑らかな食感の梨、初めて食べた。


 「ついでに、羽振りがよくなった理由ってわけか」


 「ちゃんと汗水垂らして稼いだ金だぞ」


 ゴンスケの餌代は母に献上したが、差し引いて残ったのは俺の小遣いだ。

 数日で社会人の平均月収三ヶ月分が稼げるとは正直思っていなかったので、本当に驚いている。

 まぁ、受けた依頼の数だけは多かったからなぁ。


 「じゃあ、俺も手伝うからさ焼肉行こうぜ焼肉!」


 「きゅうるる?」


 ゴンスケが『なぁに、それ』と言うふうに、マサに向かって鳴いた。

 俺はゴンスケを撫でながら、


 「飲食店は基本動物入れないから、ゴンスケは留守番だな」


 そういうと、ゴンスケは残念そうにまた鳴いた。


 「ウルるぅ」

 

 と、そこでマサが提案してくる。


 「あ、なら今度ウチでバーベキューやるか?

 シーズンだし」


 「そうだなぁ、そうするか」


 マサの家にも庭がある。

 そこでバーベキューをすれば、ゴンスケでも一緒に楽しめるはずだ。


 「よし、じゃあ来週な! あ、なんならこの前の彼女も連れてこいよ!」


 アストリアさんのことだろうか。

 一応、雲の上の存在だぞ。

 そう指摘すると、

 

 「あー、そういやそうだった。でも俺とお前(テツ)とゴンスケだけって虚しくね?」


 「マサのとこの親父さん達は?」


 「それがさ、来週二人で夫婦水入らずで温泉行くんだと」


 「置いてけぼりか」


 「言うな、なんか悲しくなる」


 「まぁ、でも良いんじゃね?

 それこそ外で無理やりバーベキューしなくても、ホットプレートで家の中で焼肉すりゃあ良いんだし」


 「あ、それもそうだな」


 マサは納得して、ゴンスケを見た。

 

 「よし、ゴンスケ! 来週はウチで一緒にご飯食べような!」


 「ぎゃうっ!」



***


 

 「調べておいた」

 

 冒険者ギルドの応接室にて、ウルクはカリエルとテーブルを挟んで座り、そう言いつつカリエルから渡された書類に目を通す。


 「ありがとうございます」


 「いいって、うちの元従業員が迷惑をかけたお詫びだ」


 「……まぁ、俺が下手に動くとまた圧力がかかりそうだったので」


 解雇されてから今日まで、表立って動こうとすると必ずと言っていい程、就職活動を邪魔されてきた。

 

 「正解だな。

 そもそも役所にすら圧力がかかってる」


 「ということは、政治家ですか?」


 「いいや、その報告書にも書いてあるだろ」


 ウルクは書類に視線を落とす。

 そこには、ウルクの家へ嫌がらせをしている存在の名前が記載されていた。


 「政治家の天下り先の一つ、ってわけですか。

 さすが、持っている人達はやることが陰険でお金がかかってる」


 記載されているのは魔法杖のメーカーの一つとして有名な企業名とそして、その次代を担う跡取りの少年の名前だった。


 「よっぽど、お前の倅が気に食わないらしい」


 「でも、表向きは喧嘩両成敗で片がついたんですよ。

 ウチの子だって、基本自宅で謹慎中ですし」


 「でも、相手は頭を下げた。

 渋々、下の存在にな」


 「選民思想、いや意識、ですか」


 「そういうことだ。加えて、普通なら誰でも使えるはずの魔法が使えないとなると、世間的には底辺以下の存在として扱われるからな。

 制度や法律が整っても、人の心までは調整ができない」


 「まぁ、自分より下がいれば安心できますからね。

 でも、困りました。

 これじゃ、再就職なんて夢のまた夢だ」


 ウルクがいくら生きた伝説級の英雄と言っても、権力はない。

 魔物と違って巨大企業相手では分が悪い。悪すぎる。


 「そのことなんだが、一つ提案がある」


 カリエルが、ウルクの顔色を見ながら言葉を選びつつ言ってきた。

 その内容に、彼の目が驚きで丸くなった。



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