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正徳寺会見(後編)

正徳寺会見当日・・・

信長の命令により鉄砲と弓の合計は500挺とこの時代の一番乗りと言っていいほどの数であった。

そして信長の恰好は父織田信秀の葬儀の時を思わせるような、髪は茶髪、湯帷子に太刀・脇差をわら縄で巻き、太い麻縄で腰の周りに火打ち袋や瓢箪をいくつもぶら下げており、袴は虎と豹の皮を四色に染め分けた半袴であった。


「信長様、近くで斎藤道三は見ております。ここで少し面白いことをしませんか?」


と高崎は信長へ告げた。その事で少し困惑した信長であったが、高崎同様ニヤリとした顔になった。


「高崎が言いたいのは鉄砲に火をつけて歩けということだな?よしやってやろう。道三を驚かせてやろうぞ、鉄砲隊!火をつけろ!誤射するでないぞ!」


その言葉で鉄砲隊は火をつけた。


「あの大うつけめ!鉄砲を誤射するのが怖くないのか!」


それを遠くで小さな小屋から見ていた道三は驚いたのであった。


正徳寺現地・・・


道三は少し苛立っていた。会見時間は指定していないが、いくらなんでも遅すぎではないかと。そしてこの高崎義重とかいう侍大将。見た目はちゃんと折り目正しくしていて肩衣・袴姿もちゃんとしていた。しかしこのでかさ、化け物かと思うほどであった。


「遅れてすみません。斎藤道三殿、織田信長只今入ります。」


その言葉の後襖は引かれ信長が見えたのだが道三は驚きに驚いた。先程とは違い、髪を折り曲げに結い、褐色の長袴をはき、小刀を差し、見事な正装に着替えて来たのであった。これを見た斎藤家の家臣達は日ごろのうつけぶりは、わざと装っていたのかと肝を潰したようだ。

そして信長は対面の場へ向かった。

道三の家臣・春日丹後と堀田道空が信長を出迎えるが、無視して諸将が並ぶ前を平然と通り抜け座敷に座った。


「こちらが斎藤山城守道三殿でございます。」


と堀田道空が言うと。


「で、あるか」


といい道三へ挨拶をした。

普通ならば「そうでございますか」などと答えてしまいがちだが、一国の主として、道三を目の前にしても信長は堂々としていた。


「なるほどな・・・して信長殿、随分と鉄砲や弓を揃えたようだが?」


「道三殿、これからは鉄砲の時代でございます。」


この言葉に道三は少し笑いながら言った。


「ハッハッハ、南蛮の玩具と揶揄されていてもか?」


その言葉に少しイラっとした信長は答えた。


「フン、そんな大口を叩いた者なぞ、我の足軽いや、雑兵でも一発で倒せる。それに尾張の兵は日ノ本一の弱者とも言われているが鉄砲や弓さえあれば日ノ本一の最強の兵と変わる。」


その言葉で高崎は思った。この考えがいずれ、武田騎馬隊を鉄砲で全滅させるのかとその事を思うだけで高崎は武者震いした。


その言葉で少しニヤついた顔をした道三だが次の言葉を出す前に真剣な顔になった。


「儂と同盟を組んだ後に攻めるとすれば今川の駿河か?それとも伊勢か?」


信長は道三の言葉に目を瞑り答えた。


「いや・・・俺が攻めるのは美濃だ」


「ぶ!無礼者!お主今なんと申したあぁ!?」


信長の言葉に家臣の春日丹後は切れたが・・・道三は。


「よい春日!聞かせてもらおうか・・・何故なにゆえ美濃にこだわる?」


この言葉で信長は立ちこう答えた。


「マムシが美濃を取ったように同じだ!美濃を制する者こそが天下を制すると!美濃は東と西のを結ぶ日ノ本の中心だ・・・マムシならわかるだろう?その中心に難攻不落の城を築いたとすればそれは天下を取ったと同じだ」


「ムム・・・・確かにそうだな」


その言葉で道三は少し落ち着いた。


「そしてそこに商人が自由に働ける町を作るとしよう。いわば楽市楽座だ。そして次は豊かな国を作る・・・それがあんたの・・・いや道三殿の思惑だろう?」


「確かにそうじゃ・・・すべてお見通しというわけか・・・」


道三は信長にすべてを見透かされていたと気づき少し気持ちが軽くなったとも言えよう。


「美濃はこの信長が頂く!」


この言葉に斎藤家家臣・春日丹後、堀田道空が刀に手をかけ、高崎は持っていた火縄銃春日丹後に頭が当たるよう向けた。しかし道三はこれを許さず手を春日丹後、堀田道空へ止める形となった。無論信長も同様だった。


「ふん・・・儂の美濃を渡すと思うてか?」


「この信長は道三、あんたの夢を継ぐって言ってるんだ。」


その言葉で少し眉間の皺を寄せた道三


「日ノ本を乱れさせに乱れさせた古い制度なんぞいらぬ!そして南蛮、近くの国朝鮮!それに対抗できる新しい国の日本を作る!そして我の見ている先は世界!この夢誰にも邪魔はさせぬ!たとえ家臣でさえもな!」


その言葉ですべての者が動揺した、しかし一人だけ動揺はしていなかった。高崎義重未来から来たこの者だけであった。そして道三は笑った。


「ハッハッハッハ!お主の目は既に海を越え、南蛮を見ていたのか!確かにお主は正しい・・・・だがそれでは誰も付いてこない・・・・それが大うつけと言われた理由であろう?」


「それでも進むだけだ道三殿。」


「フフフ・・・フハハハ!面白い!面白いぞ織田信長!よしお主に美濃を渡そう!後日書状に書いて渡す故これにて会見は終わりじゃ!(わしの息子たちが必ず、あの大うつけの門前に馬をつなぐことになるだろうな・・・)」

正徳寺ウィキペディア

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%96%E5%BE%B3%E5%AF%BA_(%E5%90%8D%E5%8F%A4%E5%B1%8B%E5%B8%82)


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