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留置場 22日間の記録  作者: 神尾 旭
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1日目② 平成29年10月11日(水) かかりつけの病院

 手錠をはめ、腰にロープを巻かれ家を出る。

 私は普段から騒音も出さず、周囲に迷惑をかけないで、おとなしく生活していた方だと思う。


 朝、掃除をしている近所のおばあちゃんが、うちのアパートの前を掃除してくれてるのを見た時にも、「いつもこちらまで掃除して頂いてすみません」と、まるで大家づらして挨拶をしていた。好青年という印象を植え付けてたのだ。


 そんな私が、手錠を付けて連行される姿を、近所の人に見られたらなんて考えたら、もう恥ずかしくて恥ずかしくて。


 そういうようなことも考慮しているのか、警察の方々は、入り口のところに車を止めて、車内に乗り込むようにしてくれているのはありがたいな。

 なんてその時は思っていたが、逃走の危険という部分の方が強いだろう。


 そして、かかりつけの病院で薬を処方してもらいに行く。

 家宅捜査をすると同時に、持病があるかを聞かれ、診察券とお薬手帳も一緒に持っていくことになる。

 留置している期間、持病の薬を確保する為なのだろう。


 ここら辺の記憶が曖昧なのだが、一度警察署に行ってから病院に向かったのか、その足で直接病院に行ったのかよく覚えてない。

 なるべくスムーズに診察ができるように、病院に到着時間を何度も電話している。

 私が通院している時には、よく遅刻しまくっていたというのに。

 時間通りに行動するというのは、とても大切なことなんだと感じた。


 病院に到着。

 なるべく他の患者や人と接することのないように、関係者用のエレベーターや、人の少ない裏ルートのような通路を通って診察室へ向かう。

 これは捕まってみないと知り得なかった、犯罪者への配慮ではないだろうか。


 つい数日前に来院した患者が、手錠と腰縄を付けて診察に来たのを、先生や看護師の方はどう感じてるのかということばかり気になっていた。

 しっかり印象を付けたに違いない。


 そんな犯罪者の心を見抜いているのか、病院の方々は、笑顔を交えながら普通通りに業務をこなしていく。

 看護師の方々は荒んだ心までも癒す、まるで天使のようだ。


 私が通っていたのは、大きい大学病院だったので、待ち時間がとにかく長い。

 病院に到着しても診察の順番が来るまで車内で待たされ、診察終わって薬を処方してもらう間も車内で待つ。

 車内では、たまに会話が交わされながらも、緊張と沈黙に包まれた狭い空間で待ち続ける。

 …のは、きっと私だけだった。


 朝早くから私を逮捕する為に起きて、支度をして出かけた捜査官は眠たそう。

 というか、あなた少し寝てるでしょ。


 ニュースで捕まえた犯人が逃げた話を聞いたことあるが、きっとこういう隙を逃さないのかもしれない。

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