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留置場 22日間の記録  作者: 神尾 旭
19/20

8日目① 平成29年10月18日(水)きっかけの取り調べ

 午前中から早々と取り調べ。


 本日のお題は、私と覚醒剤との最初の出会い。

 始めに思い出したかのように、軽く「言いたくなければ言わないでいいんで」と、いつもの決まり文句をとりあえずのように付け加えてスタート。

 この一言を付け加えないと、裁判になったときに大きな問題になるのだろう。



 私は言われるがまま、覚せい剤を始めたきっかけを思い出しながら説明し始めた。

 話の引き出し方が上手なのか、時系列を外れる事がほぼない状態で、当時の状況がそのまま思い浮かんで説明できたと思う。

 そして私は、ほんの些細な好奇心から始めた10年以上前の出来事から、1〜2年前、更には数ヶ月前と、徐々に最近の新しい記憶までの覚せい剤との付き合いを全て話した。


 当時の日記を読み返してると、私は、この女性刑事の印象をあまりよく思ってないのが分かる。


『あんなに一昨日、言いたくないことも言わなければならない次元や、印象が悪くなるなどと、散々言ってきたくせに。


 人としての気持ちがあって言いたくないだけで、覚せい剤をやめたくないとか、またその人から買う為じゃないって言ったにも関わらず、そんな事を言われたのは、本当に納得がいかない。

 人の気持ちを出して印象が悪くなるなんて。』


『法律に詳しいプロ達ばかりの中に、自分一人が放り込まれて、言われるままにみんなの行かせたい答えへ、後ろから突き落とされている気分。』


 二日前に頭ごなしに言われた事と言い方が、相当気に障ったのだろう。

 更には、私が逮捕されるきっかけになった人物の事も書かれている。


『***(私が逮捕されるきっかけになった人物)も同じように、言いたくない事をどんどん言わなければならなくされたのだろう。

(***が逮捕された後)会っても何も言わなかったのは、自分を警察に売った形になるんだから当然。

 せめて連絡して、安否を確認しようという気持ちがあったのだと思う。』



 一旦、午前中で取り調べを終え、留置場に戻った。

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