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留置場 22日間の記録  作者: 神尾 旭
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6日目② 平成29年10月16日(月)言いたくなくても

 午後、取り調べ室に呼ばれる。


 どうやらスマホにロックが掛かったらしく、IDを教えて欲しいと言われる。

 この時に拒否をしたり、分からないとか、忘れたというとどうなるんだろうと一瞬考えたが、正直さがウリなので素直にIDを教える。


 ロックを解除されたスマホ。

 何かのアプリの通知が「999」と表示されてるのを初めて見て驚いてる私に、刑事さんは「なにもいじってないですよ」と、親がする言い訳のように返す。疑わしきは罰せずだ。


 今日はスマホのロック解除だけだったが、明日取り調べがあると告げられる。覚せい剤の購入先について詳しく聞くそうだ。


 私は「あの…やっぱり言いたくないです…」と答えた。自分の罪は認めて償うし、携帯を調べて、勝手に捜査する分にはいいけど、自分の発言のせいで他人を不幸にしたくないとも言った。


 すると、そういう次元じゃないと返してきた。

 30代になりたてですでに役職も付いているやり手の女性刑事は、私に対して煽るかのように、言わなければいけない理由をふっかけてくる。

 覚せい剤を辞める気あるのかと始まり、今後留置場を出てからの世間体から、辞めなかった時の妄想をまくし立てるように私に言ってきた。まあ、向こうもやらなければならない仕事の為だから仕方がないのだろう。


 取り調べや検察などで毎回必ず最初に言われる「言いたくないことは言わないでいいです」とは、つい出てしまった口癖のような言葉なのだ。


 私は徐々に警察や検事側と容疑者側が、法律スレスレの部分(時には法律違反に触れてることを隠し)で、せめぎ合いをするゲームなんだと、今やっと気付き始めた。


 それと同時に、私が起こした法律違反以外の事を聞き出す為に、人を見下した妄想を言うような対応をしてくるなら、法律を知らないながらの対処をしていこうと考えだしていた。




 少ししてお互い冷静になり、気になっていたことを聞いた。

 今回、区内に住む私が、なぜ縁もゆかりもない東京都下の警察に逮捕されたのか知りたかった。


 捜査の関係で詳しくは言えないが、との前置きがあって、別の交遊関係で私の友達が捕まり、私からしか覚せい剤を譲ってもらってないと聞き、私の捜査、そして逮捕へ繋がったのだと教えてくれた。

 まさにこの系統で逮捕される芋づるに、見事私も繋がっていたのだった。

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