完全に豚化してしまった女子大生達⑤肥える&周りが見えなくなる
気がついて、
スマホを見ると、
画面には、2:30となっていた。
どうしたんだっけ?
確か牛丼屋で豚鼻を鳴らしまくるという醜態をさらして、
そして牛丼の特盛5つをあっという間にたいらげて眠くなって寝ちゃって、
だったっけ・・・・・。
食っちゃ寝して深夜に起きるなんて、私って本当に豚みたいじゃないかと思ったけど、
実は今も空腹を感じていた。
顔を洗いに鏡を見ると、豚の顔が見える。
目は細くて、鼻は上向きで突き出て鼻の穴が丸見えで、
さっきまでと違う点といえば、顔にもお腹にも肉がついていて、
より豚に近づいているというところか。
さっき食べた牛丼特盛5つがまるでそのまま脂肪になったかのようで驚いていた。
かつ、美人とまでは言わないがそれなりに容姿に気を使っていた時の私にはもう戻れないんだなと
悟って、一瞬涙が出そうになった。
「ぐーーーーぐーーーーぐーーーーー」
しかし、涙が出る前に、空腹に支配される。
「何でこんなにお腹がすくのかしら。さっきだって、ありえない量を食べたはずなのに。」
理由を求めるが、1人暮らしの部屋には誰も答えてくれる人はいない。
「まーいいわ、とりあえず食べましょう。近所のコンビニでいっぱい買いましょうか。」
私はいつも着ていた服を着ようとするが、
着れない。
「え、そんなに太っちゃったの、私!?」
つい先週には着ることができていた素敵な服が入らない。靴も履けない。
私は、観念して、ダボダボのスウェット上下と裸足にサンダル、すっぴんでマスク着用という身なりで
コンビニへと走っていた。
スウェットで家から出るなんて初めてかもしれないな。
しかし、それを気にする余裕もないほど、お腹が空いていた。
コンビニへ駆け込み、目に入る商品をかごに入れまくる。
どういうわけか今日は脂肪分の多い物や甘い物ばかり取ってしまう。
今までは野菜とか美容に気を使ってたんだけどな・・・・ま、この身なりだし、もうそういうのはいいか。
約2万円分の食料をレジに持っていく。
もちろん店員の若い男性はキョトンとしている。
あ!、この店員さんは、私のことを気になっていたと思われる人だ。
私が就活帰りに何回か夜遅くコンビニに立ち寄ったことがあったけど、
その時に私の方を見ている視線を感じていたわ。
レジ打ちの際にも心なしか緊張していて、
私自身、小綺麗にしてたしね。
自分で言うのもなんだけど、たぶん私に好意があったと思うのよ。
とはいえ、
今、その店員さんは黙々とレジを打っていた。
昔のように私の顔をチラ見するようなことはなく、黙々とレジを打っていた。
以前とのあまりにもの落差に悲しくなり、
私は息を吸い込んでしまう。
「フゴッフゴッフゴッフゴッフゴッーーーーーーーーーー」
2人しかいないコンビニで私の豚鼻がけたたましく鳴り響く。
店員さんはその間は動きが止まり、口の形からこう言ったように思えた。
「うるせぇぞ豚女!」
その後、
何事もなかったかのようにレジ打ちを続けた。
「ありがとうございました。」
私はコンビニを跡にして、家へと向かっていた。
分かってはいたけど、好意を持たれていたっぽい相手にこうも言われるとけっこう辛いわね。
みんなは笑ってくれるかしら、
グループにメッセージを送ってみよう。
コンビニで起きたことをメッセージで送ってみると、
「あんたまだそんなの気にしてるの!?私は会計直後に、我慢できずに店の中で食べ始めたわよ。店員やお客さんが驚いていたみたいだけど、それよりも空腹を満たすことが大事だから。」
「私もお腹が空きすぎて、前を歩いている人が水たまりに落としたおにぎりを急いで食べちゃったわ。前の人には引かれてたみたいだけど、そんなことより自分の空腹を満たすことが大事だしね。」
「私は、レジ待ちの間おしっこもらしてたわよ。並んでいる人が多かったから、たぶん、おしっこ臭い女だなって思われていたと思うわ。でもそんなことより早く食べ物を買うことが大事だしね。」
「おしっこなんて可愛いものね。私なんて、うんちよ、うんち。家に着くまで間に合わないからって道路で排便しちゃったわ。排便してる時に光に照らされた気がするんで、後ろから来た車の人に排便しているのを見られたかもしれないけど、でもそんなことに気を使うよりは排便してすっきりする方がいいからね。」
などと、私の辛さがどうでも良いというかあほらしくなるほど、
皆、周りのことを見ずに思いっきりやっているようだった。
これがちょっと前まで、そこそこ可愛い女子大生5人組という評判で、
合コンなんかにも誘われていた5人組とは思えないわ。
今も画像が送られてくるけど、
私含めみんな順調に肥えてるし、可愛いとは程遠いレベルの醜い豚顔してるし。
笑顔を見ても、悪だくみしているようにしか見えない醜さのそれよ。
私は現状に一抹の不安を感じながらも、
「それじゃあ食べるブヒー!!」
と買ってきた食べ物を凄い勢いでむしゃむしゃと食べていた。