完全に豚化してしまった女子大生達④食欲が止まらない
「さぁて準備しなきゃ・・・・でもお腹がすいたわね。」
考えてみれば、丸2日食べていないわけだし、
よしっ、遅れない程度にご飯を買いに行こうか。
アパートから徒歩5分の牛丼チェーンで持ち帰りを頼むこととする。
年頃の女子らしく美しさに気を使っていた時は牛丼屋に入るなんて考えもしなかったけど、
今は、なんせマスクを外したら豚鼻が広がっている容姿なわけであり、
かつ、豚になるウイルスに感染しているらしいという絶望感もあって、
全く気にしなかった。
「いらっしゃいませ!お持ち帰りですか。店内ですか?」
丸2日食べておらず、店内のお肉の臭いをかぐことで食欲が増進される。
お店で食べていこうかしらと一瞬思ったけど・・、
そういえばマスクを外したら感染しているのがばれちゃう可能性があるわよねー、
あぶない、あぶない、お持ち帰りよ!!
「持ち帰りです!!」
「かしこまりました。ご注文は何になさいますか?」
かなりの空腹なため、何でもたくさん食べられそう。
牛丼チェーン店だけど豚丼もあるのね。
あ、でも今、豚丼食べたら、共食いみたいになっちゃうか。
「えーと、牛丼、特盛5つお願いします!」
「確認しますが、本当に牛丼特盛の5つですか!!」
「はい、家族で食べるんですよ、ハハハーーー。」
と私は笑い始めたが、その後すぐに、
「フゴッ!フゴッ!フゴッ!フゴッ!フゴッーーーーー」
と豚鼻の音が止まらなくなる。
店内にいた客の視線が、一気に私に集中する。
や、やばい豚のウイルスに感染していることが、ばれたかしら・・・。
「お、お客様、大丈夫ですか。」
「ご、ごめんなさい。私、笑うと豚鼻が鳴っちゃう癖があって。ご迷惑おかけしてすみません。」
「いえ、大丈夫ですよ。はい、それでは牛丼特盛5つです、ありがとうございます。」
そうして私は牛丼屋を後にした。
出る時に再び客達の視線を感じたが、その後は何事もなく各々が食べているようだった。
私はアパートの自分の部屋に着く。
「なるほど、笑った時に息を吸い込みやすい構造になっているので豚鼻が鳴っちゃうのね、
注意しなきゃ。ほとんど知った顔がいない牛丼屋だったから良かったけど、
これがよく行っていた服やアクセサリーのショップだったら大変なことになってたわ。
ま、そんな店にはもう行くことはないんだろうけどね。」
マスクを外して鏡にうつる豚顔を見ながら、そうつぶやいていた。
「よしっ! ストレス解消よ! 食べるかー!」
特盛牛丼の1つ目を開ける。
「いただきまーす!! あむあむあむ」
今までの自分では信じられないほど、特盛を3分もかからずに完食してしまった。
「おかしいなー全然、満腹にならないブヒ。」
そうして20分もかからないうちに牛丼特盛5つを食べ終えた。
「さすがに満腹よ。これは寝るしかないわね。皆には明日にしましょってメッセージ送らなきゃ。」
メッセージを送って、私は横になる。
スマホの画面には、
「あんたもかよ、私もピザ3枚食べたし、ちょっと寝るわ。」
「私たち顔だけじゃなくて心も豚に近づいているのかもね。」
「でもいっぱい食べれて満足、満足ブヒブヒ。」
「いいわよ、たくさんの食料を買ってきて待っているから・・・私もうどん10杯目だし、寝るわ。」