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旧作・駄作・ほぼ没

走り書き

作者: 住友

もともとホラーという概念についての

考察を書くつもりだったが


創作において刺激の強いもの、

血飛沫や内蔵露出などの

すなわち流血表現、

または身体の過剰な露出や淫語、

わいせつ行為、接触などの

すなわち性描写、

これらの素材は

物語の主題をくらませるばかりか

主題にとってかわってしまう

ほどの力を持つ。


……とまで書いたあたりで

自分がそんなにホラーに

詳しくないことに気づいた。

ので、思いきって内容を大きく変更した。


書いてる途中で考えが変わるということが

よくあって、いけないことだなと思う。




・散文の平板さを救う

文章上の技巧として

『対偶』がある。

例として老子の第81章

「信言は美ならず」

「美言は信ならず」



・八島正明(1936~)

『苦い風景』

(1978年、キャンバスに油彩)

夜中の民家の敷地内の風景だろうか。

影の落ちるところは

ものに溢れており具象的で

暗示に満ちた豊かな世界だ。

無人の広間にぽつんと落ちた人影は

没個性で特定の誰かを

表しているのではないと思う。

この人影は夜や物影に調和しており、

不気味というよりは優しい雰囲気を持つ。

それに対して光は

画面構成上において

重要なアクセントとなっている。

具体的に光源が描かれておらず

ただ建物の角の向こうから

仄かに漏れてくるだけで、

民家の明かりなのか

懐中電灯か

車のヘッドライトなのかは

分からないが

とにかく他人の存在を示すものであるのは

間違いないように思われる。

画面の大部分を占める影が

全体的に穏やかで静寂であるのに対し、

この光は緊張と不安を感じさせる。

この絵は孤独な人間だけが見る風景である。

そして光はこの一人の世界に踏み込んでくる

他人を表しているのだ。

影と光は対偶になっていて

絵により深い象徴性をもたらしている。





・まさに火だ。

凄いことだよこれは

彼は火というものを見たことがないはずなのに

弱いところは涙目がうるむようで

激しいところは炎の海が

何もかもを奪い去るが如くだ! 

彼の心は火を知らないどころか

燃えている真っ最中なのだ! 

(辻井伸行 リストのラ・カンパネラ)


・重たい扉をゆっくり開けていって、

最後に風が吹き込んでくる。

(フジ子・ヘミング ラ・カンパネラ)



・シベリウスのバイオリン協奏曲(演奏はハイフェッツ)

を鑑賞。

感想としてまず一言、怖い。

剥き出しになった大自然の力だ。

風や光が、フィヨルドの岩壁や様々な形態の水が

最大の存在感を放っている。

それでいて単なる標題音楽でもない。

ブルックナーから宗教臭さ

(それがまた味でもあるのだが)を

全部抜いた音楽とでもいうべきか。

そうそう思い出した、

シベリウスとはこういう音楽だった、

ドラマ性とは無縁の、人間不在の芸術だ。


・物語は信なりや

信言は物語なりや

そも美なりや物語



古語はほとんど自信がない。

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