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第六話 そうだ! 冒険に行こう

 私はナギサちゃんにアイテムの使い方とか変身の仕方とかを教えてあげる。


「サクヤおねえちゃん、すごいですニャ。わたし本当にまほうしょうじょになっちゃったですニャ」


 ナギサちゃんは嬉々として魔法の練習をしている。ああ〜、本当に可愛い。

『おねえちゃん』って呼ばれて妹が出来たみたいで嬉しい――これは華菜も言っていた。


「ところで、ナギサちゃんがオモテの世界で戦うことって出来るのかな?」


 私がテレビ画面(モニター)の向こうに問いかけると、アマネが応える。


 ――彼女は転生者では有りませんので此方に来ることは勿論、干渉することも出来ませんよ


 うん、まあ大体予想通りか。ナギサちゃん自身がこの空間外に干渉できないから、魔法少女になれても全く使いどころが無いようだ。


「少なくとも今のところは……ね」――私は既にその打開策を思いついていたので、ナギサちゃんの面倒を華菜とタクローに押し付けて玄関に向かう。


 玄関を開けると外は真っ暗だった。此処が『家の中しか存在しない空間』のため玄関の外は物理的にも精神的にも完全に何も存在しない――否、存在という概念すら持たない『無』の世界になっている。


「つまり何も無いなら作っちゃえば良いんだよね」


 私は玄関の外に仮想現実の世界を召喚する――そう言ってしまうと凄く大がかりな魔法に聞こえるが、発想を逆転させて(・・・・・・・・)私が生前に少し遊んだことがあるオンラインゲーム内にあった空き家の中に此処(人格控え室)の玄関を召喚しただけ――つまり、家の中に家を召喚する引っ越し(・・・・)をしたのだ。


「ふぅ、これで良し」


 私は一仕事終えた満足感を味わいながら家の中に戻った。


 この世界(人格控え室)の在り方を改変したことでアマネの様子が変わっていないか少し心配だったが、テレビを見る限り特に変わった様子はなさそうだ。


 私はナギサちゃんに声をかける。

「ねぇナギサちゃん、これから『狩り』に出掛けようよ」


 私がそういうと、ナギサちゃんは頭上にハテナマーク『?』のアイコンを出した。

 それを見た他の二人がビックリマーク『!』のアイコンを出す。うんうん、ちゃんとゲームと繋がってるみたいだ。


私はみんなの様子に満足すると『頷いているイラスト』のアイコンを出してみせた。


 事情を説明すると他の二人も付いて行きたいと言ったので、私はテレビの向こうのアマネに、家を留守にすることを伝えた。


 ――はぁ〜っ、一体あなたたちは其処(人格控え室)で何をしてるんですか。

 まあ待機中(其処にいる間)は暇になるでしょうからゲームの世界と繋いじゃったことは大目に見ましょう。

 ただ誰か一人でも家に残ってこちら(オモテの世界)の様子を見ていてもらわないと困ります。


 私はアマネの要望『アマネ自身の様子を観察してほしい』は既に対策済みであることを告げる。


「あー、それなら大丈夫。全員ナギサちゃんと同じスマホを使って家のテレビ画面(モニター)が見れるようにしといたから……」


 ――はあ〜っ、そうですか。とりあえず外部の人間に入られると困りますので家の鍵をかける程度はしておいてくださいね。


 アマネは諦観(ていかん)したのか半ば投げやりに最後の要望を言ってきた。


 私たちも知らない人に家に入られるのは困るので、鍵をしっかりと掛けて念のため、華菜に結界魔法も厳重にかけておいてもらった。


 こうして、私たち一行はMMORPG(ゲーム名は知らない)の世界で冒険(狩り)に出かけた。


「まあ、最初だしとりあえず弱そうな敵でも倒してみようか」


 私たちは近くにある洞窟へと入っていったのだった。其処がラストダンジョンだとも知らずに……

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