四月朔日 エピローグ その1
『咲耶』と『エイプリル』が乗る『コノハナサクヤロボ』が放ったパンチが、『他の七人&猫二匹と同化したアマネ』が乗る『名前もない美少女ロボ』を吹き飛ばした。
うーむ、アマネの設定が、どうにもややこしい。とりあえず名前は『合神アマネ』、ロボの名前は『アマネ機』と呼ぶことにしよう。
呼ぶ時はどちらもアマネで良いだろう。ついでに、咲耶のロボもサクヤと呼ぶことにしよう。
僕は、モニターを見ながらアマネ機に向かって指示を出す。
「アマネ、速やかに起き上がってサクヤに『おっぱいミサイル』を!」
「だ、出せませんよ、そんなの〜っ!」
アマネが涙目で僕のほうを見る。
おかしいな、今までアマネが僕の指示に逆らったことなんて一度もないのに……。
僕は、隣で見ていたナギサに言う。
「ナギサ、ちょっとアマネの上着をはだけさせて、おっぱいをポロンってして来い。あ、男子もいるから全部は脱がさなくても良いぞ」
「パ……ごほんっ。先生、それはいくら何でもダメなんじゃないですか――」
僕がナギサを睨みつけると、ナギサが『ヒィッ! な、何でもありませんっ!』と謝って、渋々とアマネのところへ駆け寄っていく。
「アマネ先輩、ごめんなさい」
そう言ってナギサがアマネのブレザーを脱がす。アマネの真っ白なシャツに、うっすらと下着が透けて見える。
ナギサがアマネの胸を下からポロンと、シャツの埃を叩くように優しくタッチすると、アマネの胸が慎ましげに弾んだ。
「きゃあ〜っ」
アマネが恥ずかしそうに胸を隠しながら泣き出した。
サクヤがアマネの顔を心配そうに覗き込む――
「ああ〜っ、咲耶ちゃんがアマネにキスしようとしてる〜っ! 先生、早く止めさせて〜」
華菜が、咲耶の様子に気づいたようで、僕に潤んだ瞳でそう言ってきた。
「いや、まだダメだ! お前の出番がきたら教えるから、それまで待機しろ」
僕が華菜にそう言ったが、華菜は言うことを聞かずに、慌てて咲耶とアマネの間に割り込んで行った。
「咲耶ぁ〜っ、アマネとキスなんかしちゃダメぇ〜っ」
華菜が、咲耶とアマネを引き離す。
あ〜っ、あいつまたやらかしやがった。
「カーット! 華菜、お前が其処に居ると映像の邪魔になるじゃないか、……ったく、お前のせいで撮り直しだ」
僕は、慌ててビデオを止めた。
先ほどまでキスしそうな距離まで接近していた咲耶とアマネも、呆れ顔で華菜を見る。
「華菜ぁ、私のこと心配してくれてるのは嬉しいけど、これはお芝居なんだから、私が誰かと本当にキスなんかするわけ無いでしょう〜」
咲耶がそう言うと、アマネも続く。
「そうですよ〜、華菜さん。いくら咲耶さんでもお芝居じゃなければ他の人とキスするわけ無いじゃないですか〜」
「ですよね〜、咲耶先輩って、演技だと素敵なのに、実際は世界で一番じゃないかってくらいオクテですもんね〜」
ナギサも一緒になって華菜を糾弾する。
「ひぅっ、みんなひどいよぉ〜。さっきナギサちゃんも割り込んでたのに、何で私だけ怒られるのぉ〜?」
華菜が涙目になる。
「華菜先輩、私は、画面に映らないように割り込みましたよ。でも、華菜先輩は、堂々と画面に映ってました」
ナギサが華菜のミスを指摘した。間違いを指摘された華菜の顔面がみるみる紅潮していく。
「おおっ、それイタダキ!」
僕は、顔面を紅潮させる華菜の様子を、すかさずビデオに収める。
「いやぁああ〜っ、センセェ〜、そんなところ撮らないでください〜」
華菜が僕の眼前で必死に両手をパタパタさせる。うーん、これもなかなか可愛いぞ。
僕は、照れる華菜の姿を余すところなく撮影した。
◆ ◆ ◆
「さて、そんなわけで今日の撮影はこれまでだ。もうこんな時間だし、今日の部活動はここまでにしようか」
僕が顧問を務める『ビデオ部』は、ほとんどの生徒の脳内に組み込まれた『仮想現実体感装置と呼ばれるチップ』を使った『体験型の映画』を作るのを目的とした部活動だ。
まだ部員が十数人程度しかいないので、全員がキャストとして出演している。
僕も、ナギサの父親役や、サンクタロース役など、端役として色々と駆り出されているほどだ。
現在、映像編集できる部員が一人も居ないため、監督から脚本、演出、裏方に至るまで、全て僕任せになってしまっているのだが、これも可愛い生徒たちのためだ。顧問の仕事の範疇を超えている気もするが、彼らのためだと思えば頑張ることができる。
「じゃあ、明後日の部活説明会に向けて、明日は朝早く登校してもらわないといけないから、今日は皆、早く寝ること! ――じゃあ、部長。最後に一言」
僕が、部長の咲耶に合図を送ると、咲耶が締めの言葉を言う。
「みんな、明日も頑張ろうね。みんなで頑張って新入部員をたくさん獲得しよう。では、解散――」
「「「「「「「「今日も、ありがとうございました〜」」」」」」」」
こうして、部活説明会を二日後に控えたビデオ部の一日は終わりを告げた。
桜が舞う季節、僕たちのビデオ部に新しい部員が入ってくれることを僕は、心から願うのだった。
おしまい。
―― エンディング№1 学園オチ 〜 完 〜 ――
この作品は、マルチエンディング形式になっています。
六時間後に、別パターンのエピローグが掲載される予定ですので、お楽しみに……




