16 サクヤ
「さてと、邪魔者がいなくなったところで……『クリエイト』っ!」
私は、魔力探知機を創り出す。
探知機をカナ姉と一緒に覗き込むと案の定、特殊な魔法の反応が見つかった。
「……やっぱり、こんなことだと思ったよ。カナ姉、お願い!」
私が、溜息を吐きながらカナ姉にお願いをすると、カナ姉はフィールドに掛かった魔法に対して、削除魔法を使った。
「んっ……、これ、掛かってる魔法が強すぎて……ムリ……かも……」
どうやらカナ姉が大苦戦しているようだ。
まあ、邪神と化したサクヤ姉が掛けた魔法なのだから、強すぎるのも当たり前だろう。
私は創造魔法で魔力増幅器を大量に作り、片っ端からカナ姉の前に置いていく。
十個くらいの増幅器を設置したところで、フィールドに掛かっていた魔法が漸く解除された。
私たちの目の前には、ダイヤモンドのような硬い素材で出来た『透明なカプセル』に閉じ込められたソータが居た。中のソータは眠っている。
私は、目の前にある『超巨大なオブジェ』の天辺に居る『この魔法を掛けた犯人』に語りかける。
「サクヤ姉、もう意識は戻ってるんでしょう? これ以上、私とソータの恋路を邪魔しないで欲しいんだけど……」
すると、部屋のモニターにサクヤ姉の姿が現れ、私に言った。
「なっ、なんで分かったの? 私が正気に戻ってることも、さっきまで居たソータくんが偽物だったことも……」
「そりゃあ、分かるよ。だって私は、サクヤ姉も、ソータも、どちらも愛してるんだから……」
「ぐうっ……。ナギサちゃん、どうやら私の負けみたいだね」
サクヤ姉は、そう言うと、自分の乗っている超巨大なオブジェを変形させ始めた。
大晦日にテレビに出てきそうな巨大な衣装だったものが変形をし終えると――
……ええええぇぇぇ? こんなの有りなのぉぉぉ?
なんと、変形し終えたそれは『巨大ロボ』だった。それも、先ほどソータが変身した時の五倍くらいの大きさだ。巨大ロボの右手には、先ほどソータがロボ化していた時に握っていた『雷鎚ミョルニル』が握られている。
刹那、神様の身体が黄色い半透明な丸い光に包まれて、巨大ロボに飲み込まれて行く。
サクヤ姉と神様を搭乗させた巨大ロボから、サクヤ姉の声が響く。
『変形! 超巨大メカ『コノハナサクヤロボ』っ!』
「……」
うわぁ〜っ、何というネーミング。確かに『木花咲耶姫』は神様だし、サクヤ姉と漢字も同じだけど、ロボの名前にするようなものじゃないでしょ……というか、最後の『ロボ』がすべてを台無しにしている気がする。
『咲耶ちゃん、ナギサちゃんが、あんなこと思ってるよ』
神様がそう言うと、サクヤ姉が『ふ、ふんっだ! ダサくなんかないもんね』と、言った。
「あれ? ひょっとしてサクヤ姉も人の考え読めるの?」
『そりゃあ、私、『邪神』とはいえ、神の座に就いたんだからね。それくらい朝飯前だよっ』
マジかぁ〜、これは戦いにくそうだなぁ〜。
「……というか、あんな大きな巨大ロボと、どうやって戦ったら良いのか全く見当がつかないんだけど……」
私が途方に暮れていると、今までずっと黙っていたアマネ姉が、口を開いた。
「ナギサさん、合体魔法を使いましょう」
「がっ、合体魔法?」
アマネ姉が、サクヤ姉に提案をする。
「サクヤさん、というわけなので、ソータさんを解放しては頂けないでしょうか?」
すると、サクヤ姉があっさりと、
『オッケー。それくらい強敵じゃないと、戦っても楽しくないから良いよ』
と言って、ソータを解放してくれた。
ソータが解放されたと同時に、アリサも目覚める。
アリサはソータの姿を確認すると頭にハテナマーク『?』を浮かべていた。
全員が揃ったところで、部屋のスピーカーからサクヤ姉の声が響く。
『さあ、ソータくんを解放してあげたからには、みんな全員で私たちに挑んでもらうからね』
こうして、何のために戦うのか全く分からないうちに、サクヤ姉と神様が乗る『コノハナサクヤロボ』と、『此処にいないパパを除く、私たち八人のメンバー』との、最終決戦の火蓋が切って落とされた。




