第二話 驚愕の事実
ご注意: 今回の話は、人が超死にます。変態が出ます。エッチなシーンがあるかもしれません。それらが苦手な方はこの続きを読まないことをお勧めします
――えっと、咲耶さん。それはもしかして引きこもり宣言というやつですか?
アマネは恐る恐る尋ねてくる。
「うん、そうだよ。ぶっちゃけ、この中すごい快適だし、アマネ一人でも充分人類救えそうなくらい強いから、私たちの出る幕ないもんね」
――そうですか。確かに私一人でも人類を救うことは可能ですが、咲耶さんの態度が気に入りません。予定より早いですが第四の人格を覚醒させましょう……
第四の人格……つまりアマネ、華菜、咲耶の他にも人格が存在しているということをアマネは告げたようだ。
「えっ?転生者って私たちだけじゃないの?」
――えっと……言ってませんでしたか?私の身体に転生した魂は全部で十人です。
え、なにそれ。聞いてないんですけど……
「えっと、流石に十人って多すぎない?」
――大丈夫です。十人目の方が覚醒する頃には世界も救われていると思います。
……それって、転生した意味すら無いのでは……流石に可哀想すぎる。
――さて、そろそろ第四の人格に選ばれた方が、そちらに着きます。何としてでも其処から出てきてもらいますから、覚悟してくださいね。
『ピンポーン』
玄関のチャイムが鳴った。さて、どんな人物が来るというのか……
玄関から現れたのは中年の男性だった。
「うおおっ! 女子高生だ! パンツ舐めさせて!」
しかも変態だった。
「会っていきなりそれか! 死ね!」
私は転生の時に授かったスキル『何でも呼べる便利な召喚魔法』で巨大なハンマーを呼び出し、変態男に殴りかかった。
「ぐえっ!」
男は気持ち悪い声を出して死んだ。
「ふっ、変態は死んで当然です! ……さあ華菜、邪魔者もいなくなったし一緒に子作りしましょう……」
「ふええ〜っ。咲耶ちゃんが変態になったぁ〜」
華菜はどこからとも無くバールのようなものを取り出すと私を思いっきり殴り殺した。そういえばこの空間、何でも呼び出せるんだった。私のスキル意味なかったね……ガクッ。
その後、私と変態男は華菜の白魔法……ではなく、なんか普通に生き返った。
どうもこの空間では死んでも時間が経つと生き返るらしい。
「もう〜。二人とも喧嘩はダメだよ〜」
「ううぅ〜、ゴメンね華菜。愛してる」
「私こそ殺してゴメンね、咲耶ちゃん〜。愛してるわ〜」
私たちが言っている「愛してる」は勿論、友情的な愛だ。決して性的な意味では無い。
私のは違う意味だけど決して性的な意味では無いのだ……それにしても本当にいつ見ても華菜は可愛い。はぁ〜、抱きしめて濃厚なキスがしたい。それからあんな事やこんな事……って、いやいやダメよ私、これは友情よ。ただの友情。決して性的な意味なんて無いんだから……ああ〜、それにしても華菜は可愛い。もうダメ。理性が保たない……
「華菜ぁ〜」
私はついに抑えきれず華菜にキスを迫ろうとしていたが、ふと横を見るとさっきの変態男が私を恍惚な表情で見ていた。うわぁ凄くキモい……
「……あ、僕には構わず、続けてください」
「構うわ、この変態っ!」
私は金属バットで変態男を打ち飛ばした。
「ぐふうっ、ありがとうございますっ!」
変態男は実にいい笑顔で吹き飛ばされていった。
さて、この変態男にも、どうやら人間の名前があるようだ。こんな奴、変態男で良いのに……
「僕の名前は櫻川タクロー享年三十四歳。所持スキルは『何でも見える超視力』です。ロリコンでマゾヒストですっ! よろしくお願いします」
うわぁ〜、こいつ本物の変態だった……しかもスキルがとんでもなく厄介すぎてメイン人格に居てもこの控え室に居ても困るタイプだ。これはやっぱり殺すしか無い!
私はナイフを取り出した。すると華菜が変態を庇うように前に立った。
「華菜どいて! そいつ殺せない!」
私は思わず昔話題になった有名な台詞を使ってしまった。
ふと見ると変態の様子がおかしい。どうやら自分を庇ってくれている華菜を見て興奮しているようだ。
……ん? もしかして華菜の裸体を透視してる? なんてうらやま……許されざる行為を!
華菜もそのことに気付いたようで思わず変態を殺してしまったが、此処ではやっぱり意味が無かった。
これは打開策が見つかるまでこの変態男を定期的に殺し続けるしか無いかな……と二人で誓うのだった。