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15 ソータが好きな人

 私は、ソータの指差す方向を辿っていき、其処に居た人物を見る――


「ええええぇぇぇ? ちょっ、ちょっと待ってソータ。

 私……今、凄く混乱してるんだけど、ソータって、そんな趣味があったのぉ〜?」


 ソータが指し示す方向に居た人物は、ハゲテールだった。


 ……んんっ? 何だか少し、違和感を覚える。


「えっと……もしかして、ソータはハゲテールが好きなの?」


 私が(さぐ)りを入れるように尋ねると、ソータが平然とした感じで返す。


「悪いな。俺、実はホモだったんだ」


「……そっか、ソータって、そう言う趣味があったんだ。ごめんね、気づいてあげられなくて。私のこと好きとか言ってたのは演技だったんだね。

 でも、ハゲテールは妻帯者だし、ソータはハゲテールのマスターじゃないから、食べられちゃったり……あ、ソータならスキルでなんとか出来そうかも。うう〜っ、でも――」


 私が考え込んでいると、ソータがトドメを刺しにくる。


「というわけで、ナギサ。今から俺とお前は他人だ。俺に話しかけたり指図するのはこれでお(しま)――」


「待って、ソータ。それは違うよ!」


 私はソータの言葉を遮って、更に続ける。


「ソータ、ハゲテールとくっつくなら、ソータは私と他人には成れないよ。

 ハゲテールは私の下僕。だから、下僕とくっつくなら、ソータも私の下僕ってことになるはず。

 つまり、私は、ソータに今まで以上に命令が出来るってことになるよね」


 私の話を聞いたソータは、前言を撤回して、別のことを言い出す。


「さすがナギサだ、俺のウソを見破るとは……。俺が本当に好きなのは、そのハゲテールの後ろにいる人だよ」


 ハゲテールの後ろにいるのは……ああ、マリエルか。


「へえ〜っ、マリエルに変える(・・・)んだ……。どっちにしても、私の下僕になることに変わりはな――」


 すると、ソータが再び前言撤回しようと、辺りをキョロキョロとしだす。


「ち、違う。マリエルでもなくて、えーっと……」


 ふふっ、もう他に居る筈がないよね。ソータが『好きだ』と言える人なんて……。


 私はカナ姉に呼びかける。


「カナ姉! ここにいるソータに削除魔法を!」


 カナ姉が私の呼びかけに応える。


「分かったわ、ナギサ。……ソータくん、ごめんね。『デリート』っ!」


 カナ姉がソータに魔法をかけると、ソータの姿が徐々に消滅していく。


 そして、私の目の前にいたはずのソータは、影も形も残さず、全ての世界から消え去った。


「プロデューサーさ……ソー君、……ああ〜っ、ソー君が……消えちゃった〜」


 消えて行くソータの名前を大声で叫びながら呼び続けていたアリサは、ソータが完全に消滅すると、とてもアイドルとは言えないクシャクシャの泣き顔をさせたまま、私を睨みつける。


「こっ、この人でなしっ! 悪魔っ! 私のソー君を返してよっ!」


 アリサは怒りに任せて、テイミングスキルで育成した『ありとあらゆる生物』を一斉に私に向かって差し向けてくる。


 私は自分の眼前にゲートを作って、アリサが放つ『まるで百鬼夜行かと思えるほどの生物の大群』を、全て別世界へと飛ばしながら、アリサの怒りが収まるのを待つ。


 百鬼夜行が一通り終わると、アリサが私に泣きながら怒鳴りつけてくる。


「ナギサ! あんた、ソー君のこと『愛してる』って言ってたのに、なんで消しちゃったの?

 もしかして、裏切られたから? でも、自分で、ソー君のこと『自由に出来る立場になる』って言ってたよね。だったらなんで? ソー君のこと消しちゃうなんて、酷すぎるよ……」


 ああ〜、アリサって、本当にソータのこと好きだったんだなぁ〜


「まあまあ、ソータなんてどうでもいいじゃない。」


 私がそう言って微笑むと、アリサの顔面が、瞬く間に蒼白になる。


「ナ、ナギサ……。なんか、凄く怖い顔してる……」


 私は、震えるアリサのオデコを軽く小突いてから、そのまま魔法でアリサを眠らせたのだった。

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