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13 チキンレース

 アリサは、雷太くんの姿を見ると、私に提案をしてきた。


「ナギサ、雷太が来たから、とりあえず一旦休戦よ」


 一旦も何も、私の圧勝だったんだけど、アリサ的にはまだ負けを認められていないらしい。


 雷太くんが来たから休戦というのは、彼のラッキースケベを恐れてのことだろう。彼女的には雷太くんの存在がそれだけ苦手だということだ。


「……」


 そうだ! いいこと思い付いた。


「ねえ、アリサ。ちょっと勝負しようか。もし私が負けたら、今後一切ソータに近づかないであげる」


 私の提案にアリサが飛びつく。


「えっ? 本当? その勝負、受けて立つわ」


「……えっと、勝負の内容まだ言ってないんだけど、良いの?」


 私は、何をするのかも知らないうちに勝負に乗ってきたアリサの頭を心配して聞き返す。


「何よ。どんな勝負でも受けて立とうじゃない」


 アリサがそう言うので、一応、勝負の内容を説明してから、もう一度聞き返すことにする。


「勝負は、『第一回チキチキ・雷太くんにどこまで近づけるか選手権』……なんだけど、本当に受ける?」


「……ぐっ。……う、受けて立とうじゃない!」


 アリサが勝負を受けたので、私はソータを呼びよせて『(なわ)』を二本渡して言う。


「……というわけで、ソータ。これで私とアリサを動けないように縛って欲しいの」


 私がそう言うと、ソータはどこで覚えたのか、アリサの全身をササっと縛り上げた。

 なんか、凄い手馴れてるなぁ。私は、ソータの『縄を縛る技術力』に感心しつつ、ソータに言った。


「あのね、ソータ……。そんなエッチな縛り方じゃなくて、普通に手足だけで良かったんだけど……。

 っていうか、なんか二人とも手馴れてるね。もしかして前世で二人はそんなプレイでもしてたの?

 まあ、そこの変態(アリサ)はともかくとして、私のことは普通に縛ってね」


 私がそう言うと、ソータが口を開く。


「待ってくれ、ナギサ。俺はアリサとは普通の(プロデューサー)とアイドルの関係だったんだ。だから、全然前世でそういう行為はしてないんだ!」


「えーっ? でも、君の縄を縛る技術力は、どう見ても前世で何かしてたとしか……。やっぱり、ふたりはプリキュ……(ただ)れた関係だったのね――」


 私がソータに言い終わらないうちに、アリサが口を挟んできた。


「えーっ。ソー君、あの日二人で激しく愛し合ったこと忘れちゃったの? 『アリサ、愛してる』って最後までしてくれたじゃない」


「そんなこと、一回もしてないだろ!」


 なんか二人して痴話喧嘩を始めたので私は大人しく待つ事にする。


 ふと見ると、雷太くんが、先ほどのアリサの『最後までしてくれた』という一言にショックを受けているようだ。このままでは勝負に影響が出るので、私は雷太くんに話しかける。


「雷太くん、アリサとソータはキスもしてない、本当に仕事だけの関係みたいだから、その辺は安心して良いよ」


 アリサがソータとキスすらしてないのは、さっき確認済みだ。アリサが自分の口から『ソー君の初めては私が貰う』と、『ファーストキスを奪う』宣言をしたのだから……。


「あ……、そ、そうなのか? だったら、俺にもまだ桃山アリサとお付き合いできるチャンスが有るって事じゃん」


 雷太くんが喜んでジャンプすると、着地に失敗して私を押し倒し、いつものように胸を揉まれた。


「わ、悪りぃ……」


「あー、うん、今回は別に雷太くんが悪いわけじゃないよ。だって雷太くんだもん。これくらいのことは予想済みだし……。だから……ね……、雷太……くん、動……かない……で……。んっ……はぁ……、だめ……。やっ……めて……、んんっ……、やめ……って、やめろって言ってるでしょ〜っ!」


 私は雷太くんの手足を土魔法で拘束する事で難を逃れる。


 雷太くんってば、手を退()けようと必死になって動かすもんだから、却って私の胸を揉みしだく結果になってしまう。ここまでは私も想定していなかった。雷太くんのラッキースケベ恐るべし。


 雷太くんはいつものように落ち込み出す。落ち込まれているとアリサとの勝負に影響が出るので、私は再び雷太くんを励ます。


 すると雷太くんが復活して、転んで、また私の胸を揉む……


 ――えっと、何? この無限ループ……。


 私は適当なところで雷太くんを励ますのを諦めた。


「……ハァ、ハァ、も、もう、私の勝ちで良いような気がしてきたけど……」


 アリサとソータは、私が雷太くんに胸を揉まれているところを全然見ていないようで、まだ痴話喧嘩が続いていた。なんか揉まれ損だったみたいだ。


 まあ、この勝負で私が勝ってしまうと意味が無いので、見てなかったのならそれはそれで良かったのかもだけど……。


「……」


 そういえば、サクヤ姉はどうなったんだろう。さっきから私たち、サクヤ姉の事そっちのけで色々してるけど、特にサクヤ姉から動いて来ないような気が……


 私が疑問に思っていると、神様と目が合った。


「咲耶ちゃんの動向なら、心配しなくてもまだ暫くは大丈夫だお。

 あたいは今、咲耶ちゃんの『下僕』って事になってるから、あたいが皆んなに(たお)されない限り、咲耶ちゃんも何もしてこないと思う。だから皆んな、もうちょっと(くつろ)いでても良いからね」


「えっ? それって……」


 神様が突然、魔王のような、それでいて幼いままの口調で言う。


「ふははははーっ。実は、あたいが咲耶ちゃんに送り込まれた『第二の刺客』なのだ〜。

 とりあえず『第一回チキチキ・雷太くんにどこまで近づけるか選手権』が終わるまで待っててあげるから、ちゃっちゃとアリサと雷太をくっつけちゃってね。

 それが終わったら、皆んなは、あたいと殺し合いをしてもらう事になってるので覚悟しといてね。

 此処が貴様らの墓場となるのだ〜っ!」


 なんか神様がすっごいノリノリで悪役をやってるみたいだけど、私の『アリサと雷太くんをくっつけちゃおう作戦』、神様にはやっぱりバレバレだったか。


 まあ、とりあえず終わるまで邪魔はなさそうだから、ちゃっちゃと進めますかね……


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