表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/49

12 激突! 魔法少女 vs アイドル

 私がゲートを設置するや否や、クソビッ……アリサが部屋に入ってきた。


「バカナギサ! 何で私を亜空間(あっち)に戻したのよっ!」


 アリサが開口一番、私に文句を言うもんだから、いつものように口喧嘩が始まる。


「あっ、ゴメーン。ボタン押し間違えちゃった。テヘッ☆」


 私がわざとらしくそう言うと、アリサが激昂する。


「ボタンって何よ! あんたの魔法でしょっ!」


「全くアリサは細かいことまで、イチイチうるさいなあ。これだからクソビッチだって言われるんだよ」


 私が努めて冷静にそう返すと、アリサが、とんでもないことを言い出す。


「クソビッ……って、そんなこと言ってるの、あんただけでしょ〜が、クソババァ」


 カチーン! 頭に(アッタマ)来た! このクソビッチ、自分の方が年上のくせに、私のことババァとか言いやがって……


「私の方がアリサより若いでしょ? この年増!」


「年増……って、あたし十七歳だから、そんな『年増』っていうような年齢じゃないでしょ〜が!」


 ――アリサは、十五歳でアイドルデビューしてトップアイドルまで上り詰めたものの、十七歳になったある日、ソータとのスキャンダル発覚でアイドル転落、そのまま自殺したのだそうだ。

 そのトップアイドルの突然の死に、ソータは当初、かなり世間から叩かれたらしい。

 しかし二週間くらい後に、そのスキャンダルが週刊誌の記者による『でっち上げ』だったことが発覚したことによって、標的はソータから雑誌社に変わり、ソータも無事プロデューサー業に復帰できたのだそうだ。

 そんな事情もあって、ソータはアリサのことを今も避けているのだが、アリサは『当のでっち上げ』とは裏腹に、実は本当にソータの事を好きだったらしく、死んでなお、ソータに付きまとっているのだ。

 そんなビッチでストーカーのアリサが自分のことを『年増じゃない』と反論するのなら、私だって返す言葉は同じだ――


「だったら私だってまだ十五歳なんだよ。全然ババァじゃないからねっ! というかアリサより若いんだからね!」


「そうかもしれないけど、あんた、ソー君と同い年なんでしょ? だったら私より『一回(ひとまわ)り年上』じゃない」


「アリサって、ひょっとしてバカなの? 一回りって十二歳差の事だよ。ソータとアリサの歳の差って、たしか十歳だったでしょ?」


 私は、思ったことを口にする。すると――


「うるさい、バカって言った方がバカなのよ。バカ〜っ!」


 ……ププッ。自分で言ったそばからバカって言ってるよ。この子……。


「じゃあ、やっぱりアリサがバカなんだ……。

 どうやら今回も、私の勝ちのようだね。というか、私に口喧嘩で勝とうなんて、十年早いよ」


 私がドヤ顔でアリサを見ると、アリサはアイドルモードに移行してソータに助けを求めだした。


「うわあ〜〜ん。プロデューサーさん、助けて〜」


 アリサは胸の前で手を組んで、上目遣いでソータを見ながら、キモ……普段より甘えた声で懇願する。


 しかしソータは咄嗟に逃げ出して、私の『影』に隠れてしまった。比喩的な『陰に隠れる』ではなく、自分の変身能力を利用して、文字どおり影に隠れたのだ。


 私の影に同化しているソータが、アリサに言う。


『アリサ、俺はナギサが好きだ。だから、お前の味方にはなれない』


 おお〜っ! アリサがみるみる落ち込んでいく。

 落ち込むアリサを見ていると、私の怒りも次第に治まってくる。いいぞ! ソータ。もっと言ってやって……


「……って、あたしがそんな簡単に落ち込むとでも思った? ソー君がナギサを好きなのは百も承知よ。だけど……ナギサ! ソー君の初めては、あたしが貰っちゃうから、覚悟しときなさいよね」


 アリサがそんなことを言い出した。これはもしかして、ソータ貞操の危機?


「……えっと、アリサ? 一応聞くけど、その初めてって何のこと?」


 私がそう聞いてみたら、アリサが応えた。


「それは、も、もちろん、キ……キ……キスのことに決まってるじゃない!」


 ……あっ、そういえばこいつバカだった。


「ふーん、そっかぁ〜。キスなら私、もうソータに何十回もされちゃってるんだけど、まあ、精々頑張って『ソータのファーストキス』を奪ってね」


 私は手をヒラヒラとさせながらそう言ってやった。


「ムキーッ!」


 アリサが顔を真っ赤にして悔しそうにする。これで本日二回目の勝利だ。実に気持ちがいい。


 部屋の中を見回すと、ゲートから雷太くんが出てくるのが見えた。そういや、彼を呼び出そうとしてたんだったっけ? すっかり忘れてた……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ